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2026.09.20 採用支援コラム

外部人材活用の経営説明|派遣を3年超えて続けるときの書面

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

書類トレイが二段重なり、上段に紙の束、下段に色の違うファイルが差し込まれている写真。人も文字も写っていない

この記事の結論

  • 事業所での派遣の受入れを3年を超えて続けるには、過半数労働組合等の意見を聴いて派遣可能期間を延長します。
  • 意見を聴く前には、延長する事業所等と延長する期間の2つを書面で通知します。
  • 延長の理由などの説明が義務になるのは、過半数労働組合等が異議を述べたときだけです。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

派遣で来てもらっている人たちに、この先も同じ事業所で働いてもらいたい。けれども「派遣は3年まで」と聞いていて、何をすれば続けられるのかが分からない——。外部人材活用を進める現場では、こうした迷いが起こりがちです。ここでいう外部人材活用の経営説明とは、派遣での受入れを続けるかどうかを社内で決めるときに、何をいつ行ったかを示すことを指します。

受入れを3年を超えて続けるには、派遣可能期間を延長する手続が要ります。その手続を順に進めると、日付と書面が手元に残り、それがそのまま経営説明の材料になります。ただし万能ではなく、延ばせるのは事業所ごとの期間で、同じ人に来てもらえる期間までは延びません。本記事では、派遣で人に来てもらっている会社の担当者に向けて、延長の仕組み、意見を聴く前後に行うこと、異議が出たときの説明、そして経営説明の材料として残るものを整理します。

派遣可能期間の延長とは

労働者派遣法は、人に来てもらっている側を派遣先、その人を雇って送り出している側を派遣元事業主と呼びます。派遣先は、事業所など派遣で働いてもらう場所ごとの業務について、派遣可能期間を超えて続けて派遣を受けることができません。この派遣可能期間は3年です。*1 法律の細かな手続を定めた施行規則では、こうした場所をまとめて事業所等と呼んでいるので、以下でもこの呼び方を使います。

3年を超えて受け入れたいときは、意見聴取期間と呼ばれる期間のうちに手続を行えば、3年を限りとして派遣可能期間を延長できます(法第40条の2第3項)。一方で、この上限がかからない労働者派遣もあります。法第40条の2第1項がただし書きで挙げる労働者派遣で、たとえば第1号は、派遣元に期間の定めなく雇われている無期雇用派遣労働者の派遣です。*1 これらに当たる場合は、延長の手続も要りません。

注意したいのは、延長で延びるのは事業所等ごとの期間だという点です。派遣可能期間を延長したあとでも、組織単位ごとの業務について、同じ派遣労働者に3年を超えて来てもらうことは、法第40条の3が別に禁じています。*1 人ごとの期間については「労働者派遣法の抵触日とは|IT人材派遣の3年ルール対応」で扱っています。

意見を聴く期間

延長しようとする派遣先は、意見聴取期間に、過半数労働組合等の意見を聴かなければなりません(法第40条の2第4項)。過半数労働組合等とは、その事業所に労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合を、なければ労働者の過半数を代表する者を指します。*1 後者を過半数代表者と呼びます。過半数代表者の選び方は「過半数代表者の選出の進め方|2つの要件と投票・挙手」で扱っています。

意見聴取期間の始まりは、その業務で派遣の受入れが始まった日です。すでに一度延長しているときは、延長前の派遣可能期間が経過した日が始まりになります。終わりは、その業務が3年の上限に抵触することとなる最初の日(以下、抵触日)の1か月前の日です。*1

派遣可能期間を延長するときの手続を時間の順に並べた図。役務の提供が開始された日から、抵触することとなる最初の日の1月前の日までが意見聴取期間。その期間に、まず書面で2つの事項を通知し、次に過半数労働組合等の意見を聴く。聴いたあとは4つの事項を書面に記載し、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存して周知する。異議が述べられたときだけ、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、2つの事項を説明する。

意見を聴く前の通知

意見を聴くに当たっては、過半数労働組合または過半数代表者に、次の2つの事項を書面で通知しなければなりません(施行規則第33条の3第1項)。*2

  • 派遣可能期間を延長しようとする事業所等
  • 延長しようとする期間

通知する事項に、延長の理由は入っていません。延長の理由の説明が条文に出てくるのは、あとで見る異議の場面です。とはいえ、意見を求められた側は、なぜ受入れを続けたいのかが分からないままでは考えをまとめにくいはずです。通知の書面とは別に、受入れを続けたい理由を短くまとめて渡しておくと、話し合いを進めやすくなります。

聴いたあとの書面と周知

意見を聴いたら、次の4つの事項を書面に記載し、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存しなければなりません(施行規則第33条の3第3項)。*2

意見を聴いたあとに書面へ記載する事項(労働者派遣法施行規則第33条の3第3項。番号は条文の号の順)
号 書面に記載する事項
第1号 意見を聴いた過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名
第2号 第1項の規定により通知した日及び通知した事項
第3号 意見を聴いた日及び当該意見の内容
第4号 意見を聴いて、延長する期間を変更したときは、その変更した期間

第4号は、意見を聴いた結果、延長する期間を変えたときにだけ記載する事項です。期間を変えなかったときは、第4号に書くことはありません。第2号と第3号には日付が入るので、この書面を見れば、いつ通知し、いつ意見を聴いたかが分かります。

記載した事項は、その事業所等の労働者に周知しなければなりません(同条第4項)。方法は、見やすい場所への掲示または備付け、書面の交付、パソコンなどのファイルに記録して、労働者がいつでも内容を見られる機器を置くことの3つで、このうちいずれかの方法を使います。*2 意見を聴いた相手に伝えるだけでなく、事業所等の労働者に知らせるところまでが手続に含まれます。

異議が出たときの説明

意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、派遣先は、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、延長の理由などを説明しなければなりません(法第40条の2第5項)。*1 異議が述べられなければ、この説明の義務は生じません。

説明する事項は、施行規則第33条の4第1項が2つ定めています。1つめは延長の理由と延長の期間、2つめは異議への対応に関する方針です。ただし2つめが求められるのは、異議が「労働者派遣により労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行が損なわれるおそれがある旨の意見」である場合に限られます。*2 つまり、派遣の受入れが続くと、働く人が長く安定して雇われ、能力を生かせる雇用の慣行が損なわれるおそれがある、という異議です。

説明したあとも記録が要ります。説明した日と説明した内容を書面に記載し、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存します。あわせて、意見を聴いたときの書面と同じ方法で、事業所等の労働者に周知します(同条第2項・第3項)。*2

法第40条の2第6項は、意見の聴取と異議が出たときの説明を、この法律の趣旨にのっとり誠実に行うよう努めなければならない、としています。*1 意見を聴くことと説明することそのものは義務で、その進め方に誠実さが求められています。

経営説明に使える日付と書面

ここまでの手続を進めると、外部人材活用の経営説明に使える材料として、日付と書面の2つが手元に残ります。受入れを続けるかどうかを社内で諮るときは、この2つを並べて示すと、何をいつ行ったかが伝わりやすくなります。

日付で押さえておきたいのは、2つの期限です。1つは意見を聴く期限で、意見聴取期間の終わりにあたる抵触日の1か月前の日です。もう1つは、異議が出たときに説明する期限で、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日です。説明は意見を聴いたあとに行うので、手続は通知、意見の聴取、異議があれば説明、という順に進みます。

書面は、まず意見を聴いたときに4つの事項を記載したものが残り、異議が述べられたときは、説明した日と内容を記載したものが加わります。一方、延長にかかる費用や受入れを続ける効果は、法律と施行規則が求める記載事項には含まれていません。経営説明でそれらを示すなら、社内で別に用意することになります。

つまずきやすい点

一つ目は、準備を始めるのが遅れることです。意見を聴く期限は抵触日そのものではなく、その1か月前の日です。抵触日が近づいてから気づくと、通知の書面を用意して意見を聴く時間が残っていないことがあります。受入れを始めた時点で抵触日を確かめ、そこから1か月さかのぼった日を社内の予定に入れておくと進めやすくなります。

二つ目は、前の節で見た2つの期限を取り違えることです。意見を聴く期限と、異議が出たときに説明する期限は、条文での書き方が違います。社内の予定には、どちらの期限かを書き分けて入れておくと取り違えを防げます。

三つ目は、書面を作って保存したところで手続が終わったと考えてしまうことです。周知まで済ませて手続が終わります。どの方法で周知したかも、書面と一緒に控えておきます。

まとめ:派遣期間の延長で確かめておきたい3つの点

派遣の受入れを3年を超えて続け、その経緯を外部人材活用の経営説明に使ううえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、抵触日の1か月前の日までに、延長しようとする事業所等と期間を書面で通知したうえで、過半数労働組合等の意見を聴くこと。第二に、聴いたあとは4つの事項を書面に記載して3年間保存し、事業所等の労働者に周知すること。第三に、異議が述べられたときは、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに延長の理由などを説明し、その記録も残すことです。この3点を踏まえておけば、「延長するつもりでいたのに、意見を聴く期限を過ぎていた」という事態を避けやすくなります。受入れの続け方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

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よくある質問

過半数労働組合等が異議を述べたら、延長はできないのですか

法第40条の2と施行規則の該当条文には、異議が述べられると延長できないという定めは置かれていません。定められているのは、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、延長の理由などを説明することです。*1

一度延長したあと、さらに延長することはできますか

できます。法第40条の2第3項は、延長した期間が経過したあとでさらに延長しようとするときも同様とする、と定めています。*1 そのたびに意見聴取期間のうちに意見を聴く手続を行い、1回に延ばせるのは3年までです。

延長したら、派遣元事業主にも何か伝える必要がありますか

あります。派遣先は、派遣可能期間を延長したときは、速やかに、派遣元事業主に抵触日を通知しなければなりません(法第40条の2第7項)。*1 過半数労働組合等への通知は意見を聴く前、派遣元事業主への通知は延長したあとで、相手も時期も違います。

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出典

  1. *1 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律。第40条の2(派遣可能期間、意見聴取期間と延長、意見聴取、異議が述べられたときの説明、誠実に行う努力、派遣元事業主への通知)と第40条の3を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則。第33条の3(書面による通知事項、書面記載事項と3年間保存、周知の方法)と第33条の4(説明事項、記録と保存、周知)を参照(2026年9月確認)




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