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SESパートナーの要員確保|統計で見る技術者の数の読み方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 経済センサスでは、出向や派遣で他社に送り出されている人は、送り出した側の事業所で数えます。
- その事業所から賃金・給与を受け取っていない人は、そこで働いていても従業者に含めません。
- 1事業所あたりの従業者は情報通信業で25.2人ですが、稼働できる技術者の数ではありません。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
SESパートナーに要員確保を頼みたいが、相手の会社にどれくらいの技術者がいるのか見当がつかない。自社の人数を業界の数字と比べたいが、受け入れている技術者を数に入れてよいのか迷う——。SES(技術者に開発へ加わってもらう契約)で開発の人員をそろえている現場では、こうした疑問が出てきがちです。公的な統計で人数を確かめるときに使うのが、総務省統計局の経済センサスです。経済センサスの従業者数とは、事業所ごとに、そこに所属して働いている人を数えた数字です。
相手の規模の見当をつけたり、自社の人数を業界の平均と並べたりするときには使える数字です。ただし万能ではなく、誰をどちらの事業所で数えるかには決まりがあり、すぐに仕事に就ける技術者の数は表していません。本記事では、SESパートナーに要員確保を頼む実務担当者に向けて、経済センサスの数え方、受け入れた技術者の扱い、情報通信業の人数、そしてこの数字を使うときに確認したい点を整理します。
目次
経済センサスの従業者とは
ここで取り上げるのは、令和6年経済センサス‐基礎調査のうち、民営事業所を対象にした甲調査の確報(速報の後に出る確定の集計)です。調査日は2024年6月1日なので、いまの人数ではなく、その日の時点の人数です。*1 甲調査は、国や地方公共団体の事業所と、雇用者のいない個人経営の事業所などを対象から外しています。
数える単位は会社ではなく事業所です。資料は事業所を、経済活動が行われている場所ごとの単位としています。物の生産や販売、サービスの提供が、従業者と設備を持って続けて行われている場所が1つの事業所です。同じ会社でも、本社と支店は別の事業所として数えます。
従業者は、調査日の時点でその事業所に所属して働いている全ての人を指します。正社員だけでなく、期間を定めて雇われている人や、有給の役員なども含む数字です。このうち、期間を定めずに雇われている人と、1か月以上の期間を定めて雇われている人を常用雇用者と呼び、1か月未満の期間で雇われている人や日々雇われている人は臨時雇用者として分けています。
事業所と企業等との違い
2024年6月1日現在の民営事業所は5,060,494事業所です。このうち、調査票の記入の不備などで事業の内容が分からない事業所を除いた4,023,941事業所で、従業者は56,285,043人、1事業所あたり14.0人でした。*1 除かれた事業所は、総数から計算すると1,036,553事業所で、全体の20.5%にあたります。以下の割合は、この4,023,941事業所をもとにしています。
会社の単位で数えた集計も別にあります。資料は、事業や活動を行う法人と、個人経営の事業所をあわせて企業等と呼んでいます。企業等の数は2,549,827で、そのうち情報通信業は65,603です。事業所を1つだけ持つ企業等が2,261,664で88.7%を占め、複数の事業所を持つ企業等は288,163でした。*1
企業等の集計では、支所を含めた会社全体の主な事業を見て、どの産業に入れるかを決めています。事業所の集計とは、数える対象も産業の分け方も違うので、2つの数字をそのまま比べたり引き算したりはできません。相手の会社の人数を聞いたときも、1つの拠点の人数なのか、会社全体の人数なのかを先に確かめておくと、比べる相手を取り違えずに済みます。
受け入れた技術者はどちらで数えるのか
SESパートナーから技術者を受け入れて要員確保をしている会社にとって、いちばん気になるのがこの点でしょう。資料は従業者の範囲について、2つのことを定めています。1つめは、従業者には「他の会社などの別経営の事業所へ出向又は派遣している人も含まれる」ということです。*1 送り出した側の会社は、その人を自社の従業者として数えます。
2つめは、その事業所で働いている人であっても、「他の会社などの別経営の事業所から出向又は派遣されているなど、当該事業所から賃金・給与を支給されていない人は従業者に含めない」ということです。*1 引用に「など」とあるように、出向と派遣は例として挙げられたもので、含めるかどうかを決めるのは、その事業所が賃金・給与を支給しているかどうかです。
この基準をSESパートナーとの取引に当てはめると、自社がその技術者に賃金・給与を支給していなければ、どれだけ長く自社の現場で働いていても、自社の事業所の従業者数には入りません。支給しているかどうかは、自社の給与の支払いの記録で確かめられます。SESのような契約の形の名前ではなく、誰が給与を払っているかで決まります。
同じ基準を相手の会社に当てると、SESパートナーの従業者数には、他社の現場で働いている技術者も入っています。そのうち何人がすぐに新しい仕事に就けるかは、統計には出てきません。
情報通信業の1事業所あたりの人数
次に、情報通信業の数字を見てみます。情報通信業の事業所は85,992で、全体の2.1%です。従業者は2,169,025人で全体の3.9%、1事業所あたりの従業者は25.2人でした。*1 事業所数の割合(2.1%)より従業者数の割合(3.9%)が大きく、全産業の14.0人よりも1つの事業所に多くの人が集まっている産業だといえます。
1事業所あたりの従業者が多い産業は、製造業の26.6人、運輸業・郵便業の26.1人に続いて、情報通信業の25.2人が3番目です。少ないほうでは、不動産業・物品賃貸業が5.1人、生活関連サービス業・娯楽業が8.4人、建設業が8.6人でした。*1 ただし、これは85,992の事業所をならした平均です。大きな事業所と小さな事業所がどれだけあるかは、この数字からは分かりません。
雇われ方も見ておきます。情報通信業の従業者2,169,025人のうち、常用雇用者は2,067,616人で、常用雇用者の比率は95.3%です。全産業では90.6%で、情報通信業より高いのは複合サービス事業の97.4%と金融業・保険業の96.4%だけでした。*1 情報通信業は、全産業と比べて常用雇用者の比率が高い産業です。
平均だけでは見えないこと
平均の内訳は、従業者の人数の規模別に事業所を分けた集計で分かります。この集計は全産業のもので、情報通信業だけの規模別の内訳は公表されていません。以下は、全体の傾向をつかむための数字として見てください。
| 従業者規模 | 事業所数 | 事業所数の割合 | 従業者数 | 従業者数の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 総数 | 4,023,941 | 100.0% | 56,285,043人 | 100.0% |
| 1〜4人 | 1,893,344 | 47.1% | 4,412,901人 | 7.8% |
| 5〜9人 | 898,472 | 22.3% | 5,917,336人 | 10.5% |
| 10〜19人 | 615,626 | 15.3% | 8,305,396人 | 14.8% |
| 20〜29人 | 238,880 | 5.9% | 5,672,423人 | 10.1% |
| 30〜49人 | 176,501 | 4.4% | 6,623,955人 | 11.8% |
| 50〜99人 | 107,221 | 2.7% | 7,341,161人 | 13.0% |
| 100〜199人 | 42,730 | 1.1% | 5,794,705人 | 10.3% |
| 200〜299人 | 11,279 | 0.3% | 2,723,027人 | 4.8% |
| 300人以上 | 13,635 | 0.3% | 9,494,139人 | 16.9% |
事業所の数で見ると、従業者1〜4人の事業所が47.1%で最も多く、5〜9人の22.3%、10〜19人の15.3%が続きます。ところが、従業者の数で見ると、1〜4人の事業所で働く人は全体の7.8%にとどまります。*1 小さな事業所は数が多くても、そこで働く人の数は全体のわずかです。
表の数字から計算すると、従業者の68.0%は100人未満の事業所で、32.0%は100人以上の事業所で働いています。20人未満の事業所で働く人は33.1%です。なお、表の区分ごとの人数の幅はそろっていません。1〜4人の区分は4人分、200〜299人の区分は100人分の幅があり、300人以上には上限がありません。300人以上の16.9%が最も高く見えるのはそのためで、割合の高さをそのまま比べることはできません。
つまずきやすい点
一つ目は、事業所の数と会社の数を混ぜてしまうことです。情報通信業には事業所が85,992、企業等が65,603ありますが、この2つは数える対象が違うので、並べて比べられません。*1 SESパートナーから会社の人数を聞いたときに、統計の1事業所あたり25.2人と比べると、会社全体の数字と1拠点の平均を比べることになります。
二つ目は、自社の人数を統計と比べるときに、受け入れている技術者を自社の数に入れてしまうことです。統計では、自社が賃金・給与を支給していない人は自社の従業者に入りません。反対に、自社から他社へ出向している人は自社の数に入ります。受け入れている人と送り出している人がそれぞれ何人いるかで、統計上の自社の人数は実際に現場にいる人数より多くも少なくもなります。
三つ目は、平均の25.2人を要員確保の見込みとして読んでしまうことです。この統計には、技術者がいま何の仕事に就いているかや、募集の状況は出てきません。要員確保を頼むときは、相手の会社に、求める技術を持つ技術者のうち何人がいつから加われるかを直接確かめておくと進めやすくなります。開発1件に月あたり何人の要員が加わるかを別の統計で見た記事は、「月あたりの要員数の違い」で扱っています。
まとめ:統計の人数で確かめておきたい3つの点
SESパートナーに要員確保を頼む場面で統計の人数を使うとき、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、その数字が事業所の単位なのか、企業等(会社)の単位なのかを確かめること。第二に、賃金・給与を支給していない人はその事業所の従業者に含めず、他社へ出向や派遣で送り出している人は送り出した側で数えると知っておくこと。第三に、情報通信業の1事業所あたり25.2人は2024年6月1日時点の平均で、すぐに仕事に就ける技術者の数ではないと押さえることです。この3点を踏まえておけば、「統計では大きな会社に見えたのに、頼んでみたら加われる技術者がいなかった」という事態を避けやすくなります。要員確保の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
この数字を過去の経済センサスと比べて、増えたか減ったかを見られますか
そのまま並べることはできません。令和6年の甲調査は雇用者のいない個人経営の事業所を調査の対象にしておらず、過去の経済センサスとは調査の対象の範囲が異なるため、比較には留意が必要だと資料が述べています。*2
事業内容などが分からない事業所とは、どういうものですか
事業所として存在しているものの、調査票の記入内容の不備などで事業の内容が分からないものを指します。民営事業所の総数5,060,494のうち、こうした事業所を除いた4,023,941事業所が、産業別や規模別の集計のもとになっています。*1
常用雇用者でない残りの人は、すべて臨時で雇われている人ですか
いいえ。常用雇用者以外には、臨時雇用者のほか、個人業主、有給役員、家族従業者が含まれると資料は注記しています。情報通信業では、この人たちが従業者の4.7%にあたります。*1
国や自治体の事業所の人数は、この数字に入っていますか
入っていません。令和6年経済センサス‐基礎調査では、民営事業所を甲調査、国及び地方公共団体の事業所を乙調査として分けており、本記事で扱った数字は甲調査のものです。
要員確保の範囲を整理したいとき
どの作業に何人の技術者が要るかがまだ決まっていない段階からご相談いただけます。
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出典
- *1 参考:令和6年経済センサス‐基礎調査(民営事業所)確報集計結果 結果の概要(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/e-census/2024/pdf/kekka_k.pdf)。出典:総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査(甲調査)確報集計結果 結果の概要」(令和7年12月24日公表)。事業所・従業者・常用雇用者・臨時雇用者・企業産業分類の定義、産業大分類別の事業所数・従業者数・1事業所当たり従業者数、常用雇用者比率、従業者規模別事業所数及び従業者数、企業等数と単一・複数事業所企業数を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:令和6年経済センサス‐基礎調査 甲調査確報集計結果 利用上の注意(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/e-census/2024/pdf/riyou_k.pdf)。出典:総務省統計局「令和6年経済センサス‐基礎調査 甲調査確報集計結果 利用上の注意」。雇用者のいない個人経営の事業所を調査対象としておらず、過去の経済センサスとは調査対象範囲が異なるため比較には留意が必要である旨を参照(2026年9月確認)