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2026.09.20 採用支援コラム

エンジニア採用と社員化|特定の努力義務は紹介予定派遣を除く




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 紹介予定派遣は、職業紹介を予定した労働者派遣:労働者派遣法第2条第4号は、紹介予定派遣を労働者派遣の一類型として定めています。*1 派遣元事業主が、派遣の始まる前か始まった後に、その派遣労働者と派遣先について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けるか届出をして、職業紹介を行うか、行うことを予定してする労働者派遣です。*1
  • 特定を目的とする行為の努力義務から外れる:第26条第6項は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないとしています。*1 ただしこの項がかかる労働者派遣から、紹介予定派遣は除かれています。*1
  • 雇用しない場合は、求めに応じて理由を明示する:紹介予定派遣では、派遣先が職業紹介を受けることを希望しない場合か、職業紹介を受けた者を雇用しない場合に、派遣元事業主から求められれば派遣先が理由を明示する、という旨を契約に係る書面に記載します。*2

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

派遣で来ているエンジニアに、そのまま自社の社員になってもらいたい。エンジニア採用の打ち手として、開発の現場ではよく出てくる話です。労働者派遣法は、派遣先が誰に来てもらうかを事前に選ぶ行為について、紹介予定派遣かどうかで条文の当て方を変えています。

この記事で読むのは、労働者派遣法と労働者派遣法施行規則の条文です。*1*2 条文でいう派遣先が、エンジニアに来てもらっている自社です。派遣元事業主は、その人を雇って送り出している会社です。*1

どの会社に頼むか、職業紹介の手数料をいくら払うかは、この記事では書きません。手数料の定めは、今回参照した条文には出てきません。派遣元との契約で直接雇用をどこまで制限できるかも、各契約で確かめることになります。

社員化という語は、今回参照した条文には出てきません。条文が使っているのは職業紹介と雇用という語です。この記事でいう職業紹介は、派遣元事業主が派遣先へ人を紹介することを指す条文の語で、公共職業安定所が行うものに限りません。*1

白い紙の面を写した写真。繊維の粒が見えるだけで、人も読める文字も写っていない

紹介予定派遣は第2条第4号で定められている

先に定義を確かめます。労働者派遣法第2条第4号は、紹介予定派遣を、労働者派遣のうち、派遣元事業主が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び当該派遣労働者に係る派遣先について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものと定めています。*1

この定義には続きがあります。当該職業紹介により派遣労働者が派遣先に雇用される旨が、労働者派遣の役務の提供の終了前に派遣労働者と派遣先との間で約されるものを含むものとする、としています。*1

2つの読みどころがあります。1つは、職業紹介を実際に行っていなくても、許可を受けるか届出をしたうえで行うことを予定していれば紹介予定派遣にあたることです。*1 もう1つは、役務の提供が終わる前に雇用される旨が約されている形も含むことです。*1

同じ条文が紹介予定派遣かどうかで別の扱いになることを並べた図。労働者派遣法第26条第6項の、派遣労働者を特定することを目的とする行為は、紹介予定派遣でない場合は努力義務がかかるが、条文が紹介予定派遣を除くと書いている。第26条第1項第9号の労働者派遣契約に定める事項は、紹介予定派遣でない場合は紹介予定派遣の定めが不要で、紹介予定派遣の場合は職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件を定める。施行規則第22条の2第1号の契約に係る書面は、紹介予定派遣でない場合は記載を求められず、紹介予定派遣の場合は雇用しない場合の理由を明示する旨を記載する。第32条第2項の既に雇用している労働者を対象にするときは、明示して同意を得るもので、紹介予定派遣の対象とする旨も明示する。

許可や届出を求められているのは派遣元事業主の側です。派遣元事業主は第5条第1項の許可を受けた者で、*1 職業紹介のほうも、派遣元事業主が職業安定法その他の法律の規定による許可を受けるか届出をしていることが定義に入っています。*1 エンジニア採用をする派遣先の側の要件は、この号には出てきません。

特定を目的とする行為の努力義務が、紹介予定派遣を除いている

ここが本題です。第26条第6項は「労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」です。*1

読みどころは、引用のなかのかっこ書き「紹介予定派遣を除く。」です。*1 紹介予定派遣でない労働者派遣を受けようとする者に、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努める義務がかかります。*1 紹介予定派遣は、この項の対象から外れています。*1

紹介予定派遣かどうかで当たり方が変わる条(労働者派遣法および同法施行規則の条文。2026年9月20日確認)
紹介予定派遣でない場合 紹介予定派遣の場合
法第26条第6項 契約の締結に際し、特定することを目的とする行為をしないよう努める この項の対象から除かれている(かっこ書き)
法第26条第1項第9号 この号は当たらない 職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項を定める
施行規則第22条の2第1号 この号は当たらない 雇用しない場合に求められれば派遣先が理由を明示する旨を書面に記載する
法第32条第1項 派遣労働者として雇い入れる旨を明示する 紹介予定派遣に係る旨も含めて明示する
法第32条第2項 新たに労働者派遣の対象とする旨を明示し同意を得る 明示と同意に加えて、新たに紹介予定派遣の対象とする旨も明示する
法第42条第1項第9号 この号は当たらない 紹介予定派遣に関する事項を派遣先管理台帳に記載する
法第37条第1項第12号 この号は当たらない 紹介予定派遣に関する事項を派遣元管理台帳に記載する

ただし条文は、努めなければならないという書き方です。*1 しなければならない、ではありません。*1 努めなかった場合に何が起きるかは、今回参照した条文には書かれていません。

特定することを目的とする行為が具体的に何を指すかは、今回参照した条文には書かれていません。

契約に定めることと、書面に書くことが増える

紹介予定派遣にすると、労働者派遣契約に定める事項が1つ増えます。第26条第1項は、契約の当事者が締結に際して定める事項を列挙していて、その第9号が紹介予定派遣に係るものです。*1

第9号は「労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあつては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項」です。*1 第1号が派遣労働者が従事する業務の内容を定めるのに対し、*1 第9号は職業紹介の後に従事することになる業務の内容と労働条件です。両方を定めることになります。

書面のほうにも足すものがあります。労働者派遣法施行規則第22条の2は、同規則第21条第3項に規定する書面の記載事項を場合ごとに分けていて、その第1号が紹介予定派遣の場合です。*2 その書面が何かは、今回参照した条文の範囲では確かめていません。

第1号は、派遣先が職業紹介を受けることを希望しない場合又は職業紹介を受けた者を雇用しない場合には、派遣元事業主の求めに応じ、その理由を書面の交付等により派遣元事業主に対して明示する旨を記載する、としています。*2 理由を明示するのは派遣先で、求めるのは派遣元事業主です。*2 書面の交付等には、書面の交付、ファクシミリを利用してする送信、電子メール等の送信が含まれます。*2

つまり記載するのは理由そのものではなく、求められたら理由を明示する旨です。*2 場面は2つあり、職業紹介を受けることを希望しない場合と、職業紹介を受けた者を雇用しない場合です。*2 前者は紹介そのものを受けないと決める場面、後者は紹介を受けたうえで雇わないと決める場面です。これはこの記事の読み方です。

働く人への明示は、第32条の第1項と第2項で分かれる

第32条は、派遣労働者であることの明示等という条です。*1 第1項は、派遣元事業主が労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときに、あらかじめ当該労働者にその旨を明示しなければならないとしていて、紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れる場合はその旨を含む、と続きます。*1

第2項は場面が違います。派遣元事業主が、すでに雇っている労働者であって派遣労働者として雇い入れた労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとするときは、あらかじめ当該労働者にその旨を明示し、その同意を得なければならないとしています。*1 新たに紹介予定派遣の対象とする場合は、その旨を含みます。*1

第1項は明示だけ、第2項は明示とその同意です。*1 どちらも派遣元事業主が負う義務で、派遣先は出てきません。これはこの記事の読み方です。

管理台帳の記載と、派遣先が確かめる3点

管理台帳にも紹介予定派遣の欄があります。第42条第1項は、派遣先が派遣就業に関し作成する派遣先管理台帳の記載事項を挙げていて、その第9号が紹介予定派遣に関する事項です。*1 第2項は、派遣先はこの台帳を3年間保存しなければならないとしています。*1

派遣元の側にも同じ構造があります。第37条第1項第12号が、派遣元管理台帳における紹介予定派遣に関する事項です。*1 第2項の保存期間も3年間です。*1

ここまでを踏まえて、エンジニア採用の一手として社員化を考えるときに、今回読んだ条文から確かめられる点を3つ挙げます。この整理はこの記事のものです。

1つめは、いま受けている労働者派遣が紹介予定派遣かどうかです。労働者派遣契約に第26条第1項第9号の定めがあれば、その契約は紹介予定派遣に係るものと読めます。これはこの記事の読み方です。定めが無いことが紹介予定派遣でないことの裏づけになるかは、今回参照した条文からは決まりません。

2つめは、雇用しない場合の理由の明示です。紹介予定派遣なら、派遣元事業主から求められたときに派遣先が理由を明示する旨を、契約に係る書面に記載することになっています。*2 3つめは、派遣先管理台帳に第42条第1項第9号の事項があるかどうかです。*1 記載が無いことが紹介予定派遣でないことの裏づけになるかは、契約の定めと同じく条文からは決まりません。

派遣を受け続けられる期間が区切りに近づいたときに派遣元と派遣先がそれぞれ負う義務は、記事「SESから自社雇用へ切り替える手順」で扱っています。

まとめ:条文は紹介予定派遣だけ別の扱いにしている

派遣で来ているエンジニアの社員化について、今回参照した条文から読み取れることは5つです。第一に、紹介予定派遣は第2条第4号で、職業紹介を行い、又は行うことを予定してする労働者派遣と定められています。*1 第二に、第26条第6項の、労働者派遣契約の締結に際して特定を目的とする行為をしないよう努める義務は、かっこ書きで紹介予定派遣を除いています。*1 第三に、第26条第1項第9号により、労働者派遣契約に職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項を定めます。*1 第四に、施行規則第22条の2第1号により、雇用しない場合に求められれば派遣先が理由を明示する旨を契約に係る書面に記載します。*2 第五に、第42条第1項第9号により、派遣先管理台帳に紹介予定派遣に関する事項を記載し、第2項により3年間保存します。*1 第三と第四は契約の当事者が定めるもの、第五は派遣先が自分で作るものです。

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よくある質問

紹介予定派遣なら、派遣先が事前に人を選んでよいのですか

第26条第6項は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないとする対象から、紹介予定派遣を除いています。*1 紹介予定派遣がこの項の対象に入らない、というところまでが条文の定めで、選び方そのものについてこの項は何も書いていません。

紹介予定派遣かどうかは、どこで分かりますか

労働者派遣契約に、第26条第1項第9号の定めがあるかどうかです。*1 第9号は、紹介予定派遣に係るものである場合に、職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項を定めるとしています。*1 定めが無い場合の扱いは、今回参照した条文からは決まりません。

雇用しないと決めたら、理由をいつも伝えるのですか

施行規則第22条の2第1号は、派遣元事業主の求めに応じ、派遣先がその理由を書面の交付等により明示する旨を契約に係る書面に記載するとしています。*2 求めに応じ、という書き方なので、求めがあったときに明示することになります。これはこの記事の読み方です。

すでに雇われている人を紹介予定派遣の対象にできますか

第32条第2項は、派遣元事業主がその雇用する労働者であって派遣労働者として雇い入れた労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとするときは、あらかじめその旨を明示し、その同意を得なければならないとしています。*1 新たに紹介予定派遣の対象とする場合は、その旨も明示します。*1

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出典

  1. *1 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)。第2条第4号(紹介予定派遣の定義)、第5条第1項(許可)、第26条第1項第1号及び第9号並びに第6項(契約の内容等)、第30条第1項(特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等)、第32条第1項及び第2項(派遣労働者であることの明示等)、第37条第1項第12号及び第2項(派遣元管理台帳)、第42条第1項第9号及び第2項(派遣先管理台帳)の一次情報として参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第20号)(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361M50002000020)。出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第20号)。第22条の2第1号(契約に係る書面の記載事項)、第25条の5第2号(法第30条第1項第4号の厚生労働省令で定める措置)の一次情報として参照(2026年9月確認)




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