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2026.09.29 採用支援コラム

リモート採用の全国採用|地方在住者を採る募集と入社後の関わり方




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 全国採用では、求人票に住む場所の条件と出社の回数、出社にかかる費用の扱いを書きます。
  • 賃金は任せる仕事と役割で決め、応募者が住んでいる地域によって金額を変えないようにします。
  • テレワークで最も多く挙がる不便は相談のしにくさなので、入社後に相談できる相手と時間を決めておきます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

求人を出しても、事業所の近くに住む応募者がなかなか見つからない。フルリモートにしたら遠方からの応募は増えたものの、社内で条件や入社後の関わり方を決めていなかった——。エンジニアの採用を進める会社では、こうした戸惑いが起こりがちです。全国採用とは、応募者の住む場所を問わずに社員を募集し、自宅で働いてもらう採用のやり方を指します。

フルリモートで働く社員を募集するリモート採用を全国採用に広げると、事業所から遠い地方在住者にも求人が届くようになります。ただし全国採用も万能ではなく、募集の書き方や賃金・出社の条件、入社後の連絡の取り方を先に決めておかないと、入社してから会社と本人の間で食い違いが出ます。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、地方に住む人のテレワークの経験、募集の出し方、条件の決め方、選考で尋ねないこと、入社後の関わり方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

緑の山のふもとに田んぼと家が並び、脇に細い道が続く地方の町の写真

全国採用とは

全国採用が、事業所の近くに住む人を募集する通常の採用と違う点は2つあります。1つは応募者が住んでいる場所を条件にしないこと、もう1つは社員の自宅を就業場所にすることです。本記事で扱うのは、会社が雇用する社員の募集です。業務委託で開発に加わってもらう人を全国から探す方法もありますが、契約の形が違うので、ここでは社員の採用に絞って話を進めます。

似た言葉に「転職なき移住」があります。政府の「地方創生テレワーク推進に向けた検討会議」は2021年の提言で、これを「東京圏に立地する企業などに勤めたまま地方に移住して地方で仕事をする」働き方として示しました。*1 転職なき移住は、すでに勤めている社員が住む場所を変える話です。これに対して全国採用は、もともと地方に住んでいる人を新しく採用する話です。

この違いで、会社が最初に決めることも変わります。転職なき移住では、社員の移住を認めるかどうかが最初の論点になります。全国採用では、まだ会ったことのない地方在住者に、どんな仕事をどんな条件で任せるのかを、求人の段階で示すところから始まります。以下では、募集、条件、選考、入社後の順に見ていきます。

地方に住む人のテレワークの経験

国土交通省の「令和7年度テレワーク人口実態調査」(2025年10月〜11月のWEB調査)は、会社などに雇われて働く雇用型就業者36,391人について、住んでいる地域別にテレワークの経験を集計しています。*2 これまでにテレワークをしたことがある人の割合は、首都圏の37.7%に対し、地方都市圏では17.2%でした。*2 地方都市圏は、首都圏・中京圏・近畿圏に含まれない道県を指します。*2 地方都市圏の雇用型就業者の8割以上は、テレワークをしたことがないことになります。

住んでいる地域別に雇用型就業者のテレワークの経験を示した横棒グラフ。これまでにテレワークをしたことがある人の割合は首都圏37.7%、近畿圏25.0%、中京圏22.8%、地方都市圏17.2%、全国25.2%。直近1年間にテレワークをした人の割合は首都圏28.1%、近畿圏15.6%、中京圏14.3%、地方都市圏9.8%、全国16.8%。出典は国土交通省「令和7年度テレワーク人口実態調査」。

直近1年間にテレワークをした人に限ると、首都圏は28.1%、地方都市圏は9.8%で、首都圏は地方都市圏の約2.9倍になります。*2 なお、この調査は職種をエンジニアに絞った集計ではありません。

地方在住者の応募者には、テレワークで働いた経験のない人も多くいると考えて、受け入れを準備します。前の勤め先ではずっと出社していた人が応募してくることも考えて、使う機器の設定、連絡に使う道具、作業の報告の仕方を、入社前の案内にひととおり書いておきます。この案内は、テレワークの経験がある人が会社ごとの決まりを確かめるのにも使えます。

募集の出し方

内閣府の「第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2023年3月、回収10,056人)は、感染症が広がる前と比べて働くうえで重視するようになったものを就業者に尋ねています(複数回答)。*3 テレワーク経験者で最も多かったのは「テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方ができること」で、39.9%でした。就業者全体では16.5%です。*3

働き方を重く見る応募者に向けては、求人票に「フルリモート」と書くだけでは足りません。住む場所の条件を書き添えます。国内であればどこに住んでいてもよいのか、出社が必要な日に日帰りで来られる地域に限るのかで、応募できる人が変わります。自宅を就業場所として書くときの書き方は「リモート採用の勤務条件、就業場所に自宅を含める書き方」で扱っています。

あわせて、出社の回数と目的を書きます。「入社の手続きで初日に1回、その後は四半期に1回の全体会議」のように書けば、遠方の応募者も移動の負担を見積もれます。出社の頻度を決める手順は「リモート採用の勤務条件で出社頻度を決める手順と書き方」にまとめました。地方への移住を考えている人に求人を届けたいときは、都道府県が運営する、移住を考えている人向けの求人サイトに載せる方法もあります(「移住支援金の対象求人」)。

賃金と出社の費用の決め方

賃金は、任せる仕事と役割、求める経験で決めます。全国採用で地方在住者を採るときに、住んでいる地域の賃金の水準に合わせて金額を下げる、という決め方はしないようにします。同じ仕事を任せる社員の間で、住所によって賃金が違うと、評価や昇給のたびに理由を説明できなくなるためです。求人の段階で仕事の内容と役割ごとの賃金を示しておけば、応募者も自分の経験と比べやすくなります。

出社にかかる費用も、先に決めておきたい条件です。事業所から遠い地域に住む社員は、1回の出社に交通費と宿泊費がかかります。会社が全額を負担するのか、上限を設けるのかを、就業規則や旅費の規程で決め、求人の段階で伝えます。出社の回数を求人票に書いても、費用の扱いが書かれていなければ、応募者は負担を見積もれません。

自宅で使う機器と通信費の扱いも同じです。先の内閣府の調査では、テレワークをした人が不便な点を3つまで選ぶ問いで、「通信費の自己負担が発生」を17.3%が挙げています。*3 パソコンを貸与するのか、通信費を手当として支給するのかを決め、労働条件の説明に含めておくと、入社後の食い違いを減らせます。

選考で尋ねないこと

リモート採用の面接では、応募者が自宅で落ち着いて働けるかが気になり、家の様子を尋ねたくなることがあります。しかし厚生労働省は、「住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)」や「生活環境・家庭環境などに関すること」を応募書類や面接で把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。*4 「現住所の略図等を提出させること」も、生活環境の把握や身元調査につながる可能性があるとされています。*4

面接で確かめるのは、任せる仕事をこなせるかどうかです。地方に住んでいる理由や、なぜ都市部で働かないのかといった質問も、仕事の能力とは関係がありません。自宅の作業環境は、入社の手続きの中で、会社が決めた基準(机と椅子、通信回線、業務の画面をほかの人に見られない作業場所)を示して確認します。入社初日までに整えておくことは「リモート採用のオンボーディング、入社初日の作業環境の不備を防ぐ」で扱っています。

面接をオンラインで行う場合も、質問の項目と評価の基準は、住む場所に関係なくすべての応募者で同じにします。遠方の応募者だけ面接の回数を減らす、あるいは来社を求める、といった扱いの差をつけると、応募者どうしを同じ基準で比べられなくなります。

入社後の関わり方

入社したあとに起こりやすいのは、相談のしにくさです。内閣府の同じ調査で、テレワークをした人が不便な点として最も多く挙げたのは「社内での気軽な相談・報告が困難」で36.0%、次いで「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」が30.2%でした(3つまで回答)。*3 事業所の近くに住む社員が出社し、地方在住者だけが自宅で働くチームでは、地方在住者だけが相談しにくい立場に置かれがちです。

そこで、入社したらまず、仕事の進め方を聞ける相手を1人決めます。毎日15分の短い打ち合わせのように、相談できる時間も予定に入れておきます。出社している社員どうしが席で決めたことは、チャットや作業の管理表に書き残し、自宅で働く社員にも同じ情報が届くようにします。

顔を合わせる機会も、先に予定を立てておきます。入社して最初の1か月のうちに1回、その後は求人票に書いた回数どおりに集まる、という形です。旅費は先に決めた規程のとおりに会社が扱います。入社直後に相談できる相手と時間の決め方は「リモート採用のオンボーディングの基本、聞ける相手と時間を決める」も参考になります。

つまずきやすい点

一つ目は、住む場所の条件を書かずに募集してしまうことです。面接が進んでから、月に何度も出社が必要だと分かり、遠方の応募者が辞退する、ということが起こります。出社の回数と費用の扱いは、求人票の段階で示しておきます。

二つ目は、地方在住者を採用するときにだけ、賃金を別の基準で決めてしまうことです。入社後に同じチームの社員と比べて差が分かれば、本人の納得は得られません。三つ目は、自宅で働く社員が1人だけのチームで、決めたことを口頭だけで伝え続けることです。出社している社員の会話で決まったことが届かず、作業のやり直しにつながります。どれも、採用の前に決めておけば避けやすい点です。

外部に委託するときに確認しておきたい点

採用が決まるまでの開発を業務委託の専門人材に任せる場合は、任せる作業と期間、打ち合わせの頻度、貸与する機器と扱う情報の決まりを、契約の前に書き出しておきます。社員として迎える地方在住者と、業務委託で加わる人が同じチームで働くなら、連絡に使う道具と作業の記録の残し方をそろえておくと、情報の行き違いを減らせます。

まとめ:全国採用で確かめておきたい3つの点

リモート採用を全国採用に広げて地方在住者を迎えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、住む場所の条件、出社の回数と費用の扱いを求人の段階で示すこと。第二に、賃金を任せる仕事と役割で決め、住んでいる地域で金額を変えないこと。第三に、入社後に相談できる相手と時間を決め、自宅で働く社員にも同じ情報が届くようにすることです。この3点を踏まえておけば、「採用はできたのに、出社や連絡のことで食い違って早々に辞めてしまった」という事態を避けやすくなります。募集の条件の決め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

全国採用に切り替えても、社内の募集だけでは条件に合う候補者が見つからないことがあります。採用が決まるまでの開発を、全国の専門人材に業務委託で任せる方法も選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

遠方に住む応募者の面接は、すべてオンラインで行ってよいですか

オンラインだけで選考を終えることもできます。入社前に一度来社してもらう場合は、その旅費を会社が負担するかどうかを、面接の案内の段階で伝えておくと応募者が判断しやすくなります。

入社後に社員が引っ越す場合は、どう扱えばよいですか

住所が変わったときの届出の手順を就業規則で決めておきます。求人票で住む場所の条件を示していた場合は、引っ越し先がその条件に合うかどうかも、あわせて本人と確かめます。

チームで地方在住者が1人だけでも、全国採用を始めてよいですか

始めることはできます。その場合は、会議を画面越しに参加できる形で開き、決めたことを文字で残す決まりを、採用の前にチームで決めておきます。集まる日をあらかじめ年間の予定に入れておくと、出社の調整も進めやすくなります。

全国からのエンジニア採用を相談したいとき

住む場所の条件、出社の回数、任せる仕事の整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も、住む地域を問わずに探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:地方創生テレワーク推進に向けた検討会議 とりまとめ提言「「転職なき移住」による地方への人と知の流れの創出」(PDF)(https://www.chisou.go.jp/sousei/meeting/telework_suishin_kentoukaigi/pdf/torimatome.pdf)。出典:地方創生テレワーク推進に向けた検討会議 とりまとめ提言(会議は令和2年12月〜令和3年3月に開催)。「地方創生テレワーク推進を取り巻く現状」にある「転職なき移住」の説明を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:国土交通省「令和7年度テレワーク人口実態調査 -調査結果-」(PDF)(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001989216.pdf)。出典:国土交通省「令和7年度テレワーク人口実態調査 -調査結果-」(令和8年3月)。WEB調査、2025年10月24日〜11月4日。2-2 居住地域別テレワーカーの割合(雇用型テレワーカーの割合、R7:首都圏n=11,252・地方都市圏n=16,215・全国n=36,391)と、居住地域別直近1年間のテレワーク実施率、地域区分の定義を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:内閣府「第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(PDF)(https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/result6_covid.pdf)。出典:内閣府「第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2023年4月19日公表、インターネット調査、2023年3月2日〜11日、回収10,056)。「働く上で重視するもの」(就業者全体・テレワーク経験者)と「テレワークで不便な点」(2023年3月)を参照。設問文は同調査の第6回調査項目(問3-2・問3-8)で確認(2026年9月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm)。出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(3)採用選考時に配慮すべき事項(a 本人に責任のない事項の把握、c 採用選考の方法)を参照(2026年9月確認)




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