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労働基準法改正の論点と勤怠システムへの影響
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 論点は四つ:上限規制、週44時間の特例措置、年次有給休暇、裁量労働制が検討の論点として示されています*1。
- 条文はまだ固まっていない:令和8年7月の分科会でも、資料は「論点」「課題」の形で提示された段階です*4。
- 電子化はもう動いている:3手続の電子申請利用率は令和7年に45.9%、目標は令和8年度までに50%です*4。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
「労働基準法が変わる」という話は数年前から流れていますが、条文の姿はまだ固まっていません。労働政策審議会労働条件分科会では、令和7年(2025年)12月24日の第206回で「労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点について」が示され、時間外・休日労働の上限規制、法定労働時間週44時間の特例措置、年次有給休暇、裁量労働制の四つが論点として並びました*1。
その後も議論は続いています。令和8年(2026年)3月13日の第207回では働き方改革関連法施行後5年の「総点検」の結果が報告され*3、7月14日の第210回では届出の電子申請の状況が報告されました*4。つまり、制度そのものは検討の途中にありながら、届出の電子化という現実の変化は先に進んでいる状態です。
本記事は、勤怠管理や労務のシステムを持つ情報システム部門と、その開発・改修を受託する立場に向けて、いま何が論点になっているのか、そして条文が固まる前にシステム側で何を決めておけるのかを整理します。制度の解釈が必要な部分は、公式資料と社会保険労務士等への確認を経て進めてください。
目次
論点は四つ——まず全体像を押さえる
第206回の資料は、検討の論点を四つのかたまりで示しています*1。
一つ目は時間外・休日労働の上限規制です。時間外労働の上限規制など働き方改革関連法の施行後、週60時間以上の長時間労働は減少傾向となり、女性・高齢者の労働参加が進むなど一定の成果が見られるが、過労死等の件数は増加傾向にある、と現状が整理されています*1。そのうえで、誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、脳・心臓疾患の労災認定基準も踏まえてどのように考えるかが問われています*1。
二つ目は法定労働時間週44時間の特例措置。特例措置の対象事業場でも所定労働時間を40時間以内としている場合が多い一方、業種による違いや、この特例措置を利用している事業場も存在することを踏まえてどう考えるか、という立て方です*1。
三つ目は年次有給休暇です。時季指定義務の日数が期間の短い労働者についても5日となっている点、時間単位年休の上限日数(5日)、そして年休取得時の賃金の算定方法で金額が異なる点の三つが挙がっています*1。
四つ目は裁量労働制。働き手一人一人の能力発揮を促すため労使の十分な協議や健康確保等を前提に見直しを行うべきとの意見がある一方、長時間労働を助長しかねず、2024年に見直しを行ったばかりであり緩和すべきでないとの意見もある、と両論が併記されました*1。
押さえておきたいのは、四つとも「どう考えるか」という問いの形で示されている点です。数値や条文が確定した通知ではありません。システムの側から見れば、作り込むべきなのは特定の数値ではなく、数値が変わったときに追随できる構造ということになります。勤怠管理システムの開発で扱うような、しきい値やアラート条件を設定として外に出しておく作りが、この局面では強みになります。
上限規制——水準を動かす前に、実態を見る段階
上限規制について、労働基準関係法制研究会の報告書概要は慎重な書き方をしています*2。
労働時間短縮の効果はある程度表れていると考えられるものの、2020年(令和2年)以降は新型コロナウイルス感染症の影響が無視できないことなどから、上限そのものを変更するための社会的合意を得るには引き続き施行状況やその影響を注視することが適当ではないか、という整理です*2。あわせて、上限を36協定の原則である月45時間・年360時間に近付けられるよう努め、定期的に実態を把握して水準の見直しを議論することが必要とも書かれています*2。
背景の数字を見ると、この慎重さの理由がわかります。令和6年度の脳・心臓疾患に係る労災請求件数は1,030件、支給決定(認定)件数は247件(うち死亡70件)でいずれも前年度比で増加*2。精神障害に係る請求件数は3,780件、支給決定件数は1,057件で、こちらも増加しています*2。
産業別の姿も見ておきたいところです。年間総実労働時間の直近値では、情報通信業が1,889時間で、調査産業計の1,643時間を上回っています*2。製造業1,877時間と並ぶ水準であり、「デスクワークだから短い」という前提は成り立ちません。
企業ヒアリングでは、施行後の取組として勤怠管理の見直しが挙げられました*3。月の時間外労働が一定の時間(月30時間超、45時間超等)に達した場合に上司および対象労働者へアラートが出る仕組みを導入したところ、部署内の業務調整や人員が足りない部署の把握ができるようになった、という声です*3。
この事例には、実装上の要点が二つ含まれています。第一に、通知先が上司と本人の両方であること。本人だけに出すと自己管理の話で終わり、上司だけに出すと本人が気づけません。第二に、しきい値が複数段あること。月30時間超と45時間超のように段を分けると、余裕のある段階で調整に入れます。単一のしきい値で「超えたら警告」にすると、警告が出る時点でもう手が打てない状況になりがちです。
週44時間の特例措置——「役割を終えた」との整理
四つの論点のうち、方向性が比較的はっきりしているのがここです*2。
労働基準法別表第1の第8号(商業)、第10号(映画・演劇業。映画の製作の事業を除く)、第13号(保健衛生業)および第14号(接客娯楽業)のうち、常時10人未満の労働者を使用するものについては、1週の法定労働時間が44時間とされています(労働基準法施行規則第25条の2)*2。手待ち時間が多い等の特殊性を考慮した措置です*2。
研究会報告書概要は、この特例措置の対象事業場について、87.2%の事業場がこの特例措置を使っていない現状に鑑みると概ねその役割を終えていると考えられる、と述べています*2。現状のより詳細な実態把握とともに、特例措置の撤廃に向けた検討に取り組むべきであり、その際は業種に特徴的な労働時間の実態もあることから業種による状況の違いを把握しつつ検討するべき、というのが結びです*2。
システムの観点で問われるのは二点です。まず、法定労働時間を事業場単位の属性として持てているか。週44時間の事業場と週40時間の事業場が同じ法人に併存すると、割増賃金の計算基礎が事業場によって変わります。全社で一つの値を持つ作りでは、この併存期間を扱えません。
切り替えに施行日を持てているか。撤廃が決まれば、ある日を境に対象事業場の法定労働時間が変わります。属性を上書きする作りでは、切り替え前の期間を後から再計算できません。時期ごとの値として持てば、遡って確認する場面にも耐えられます。人事・給与システムの連携で扱うような、給与計算側との受け渡しにも、同じ考え方が要るでしょう。
年次有給休暇——時間単位年休と「年休の賃金」
年休は、四つの論点のうちシステムへの影響がもっとも具体的に見える領域です*1。
現行の制度では、付与の時季の決定方法が三つあります*2。労働者による請求(労基法第39条第5項)、労使協定による計画年休(同条第6項)、平成30年改正で新設された使用者による時季指定(同条第7項)です*2。時季指定は、年休が年10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)について、そのうち5日を使用者が指定して取得させる義務で、指定に当たっては労働者の意見を聴取することとされています*2。
取得単位は原則として1日単位で、時間単位の取得は労使協定の定めがあれば年に5日を限度として可能です*2。取得率は令和6年で66.9%と昭和59年以降でもっとも高い水準になったものの、政府目標の70%は未達成*2。時間単位年休の導入率は令和7年に30.4%まで上がってきました*2。
ここで注目したいのが、時間単位年休の上限です。規制改革実施計画(令和7年6月13日閣議決定)では、時間単位年休の上限を、例えば年次有給休暇の付与日数の50%程度に緩和することなどの見直しの要否も含め、労働政策審議会において検討し結論を得ることとされました*2。一方で研究会報告書概要は、年次有給休暇の本来の趣旨から考えれば現在の5日間から直ちに変更すべき必要性があるとは思われない、との見方も示しています*2。
「年5日固定」ではなく「付与日数に対する比率」になる可能性がある点が、実装上の分かれ目です。5日を定数で持つ作りだと、比率方式になったときに計算の入口から書き換えになります。付与日数から上限を求める関数として持てば、定数方式も設定の一種として表現できます。
もう一つの論点は、年休取得時に支払われる賃金です。労基法第39条第9項により、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、三つのいずれかを支払うこととされています*2。
| 算定方法 | 根拠・条件 | 報告書概要での言及 |
|---|---|---|
| 平均賃金 | 労働基準法第12条の平均賃金 | 日給制・時給制の場合等ではこの手法により賃金が大きく減額され得る*2 |
| 通常の賃金 | 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金 | 原則としてこの手法をとるようにしていくべきではないか*2 |
| 標準報酬月額の30分の1 | 健康保険法上の標準報酬月額の30分の1に相当する額。過半数代表との労使協定が必要 | 日給制・時給制の場合等ではこの手法により賃金が大きく減額され得る*2 |
月給制では通常の賃金の方法により月給から減算しない手法がとられることが多いとされる一方、日給制・時給制で他の二つがとられると賃金が大きく減額され得る、という指摘です*2。
システムとしては、算定方法を事業場ごと・雇用区分ごとに選べる形で持っているかが問われます。就業規則で定めるものなので、法人で一つの方法だけを使う前提の作りでは、区分を分けたい要望に応えられません。給与システムの改修と同じく、計算ロジックを条件つきの選択として持つ設計が土台になります。
裁量労働制——適用は少数、争点は労働時間の状況の把握
裁量労働制は話題になりやすい制度ですが、適用の広がりは限られています*2。
令和7年就労条件総合調査では、専門業務型裁量労働制の適用労働者の割合が1.1%、導入企業の割合が2.1%。企画業務型はさらに少なく、適用労働者0.3%、導入企業1.0%です*2。
制度の骨格を確認しておくと、専門業務型は労使協定で対象業務・みなし労働時間・健康福祉確保措置・本人同意と同意の撤回の手続等を定め、労働基準監督署へ届け出ます*2。対象業務には情報処理システムの設計や新商品・新技術の研究開発などが例示されています*2。企画業務型は労使委員会での決議(5分の4以上の多数決)と届出が必要で、対象労働者の賃金・評価制度を変更する場合の説明も決議事項です*2。
なお、法定労働時間を超過するみなし労働時間を設定する場合は、通常の労働時間制の場合と同様に36協定の締結・届出と時間外割増賃金の支払いが必要とされています*2。「裁量労働制なら残業代が不要」という理解は誤りです。
企業ヒアリングでは、対象労働者の範囲や適用業務が判断に迷うため明確にしてほしい、本人同意を都度ではなく撤回しない限り有効な形にできないか、といった要望が挙がりました*3。
システムに落ちてくるのは、同意の記録と労働時間の状況の把握の二つです。同意は取得日・撤回日・対象期間を持てる形にしておくと、都度同意でも期間同意でも同じ構造で扱えます。把握については、裁量労働制実態調査でタイムカード・ICカード、PCのログイン・ログアウト、その他の客観的方法、自己申告、管理監督者の現認といった区分で集計されており、「自己申告」がいずれの区分でも2割台から3割台を占めています*2。客観的な記録と自己申告を併存させ、両者の差を見られる状態にしておくと実務的な備えになります。企業ヒアリングでも、パソコンのログ時間と残業時間の乖離について理由を明確にするよう求められることがある、という声が出ています*3。
届出の電子化は、もう動いている
制度の中身が検討中である一方、手続の電子化は着実に進んでいます。ここは受託開発の対象になりやすい領域です*4。
厚生労働省の「オンライン利用率引き上げに係る基本計画」では、時間外労働・休日労働に関する協定届、就業規則(変更)届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届の3手続が対象です*4。令和5年度までに20%という目標はすでに達成したため、令和6年12月に計画を改定し、現在は令和8年度までに50%を目標としています*4。
| 手続 | 電子申請利用率(前年比) | 電子申請件数 | 全申請件数(紙+電子) |
|---|---|---|---|
| 時間外・休日労働に関する協定届 | 40.2%(+7.0%) | 827,485件 | 2,059,188件 |
| 就業規則(変更)届 | 58.2%(+6.2%) | 844,089件 | 1,450,465件 |
| 1年単位の変形労働時間制の協定届 | 30.4%(+6.1%) | 116,031件 | 381,403件 |
| 上記3手続の合計 | 45.9%(+7.8%) | 1,787,605件 | 3,891,056件 |
これまでの取組を追うと、システム連携の余地が広がってきたことがわかります*4。令和2年3月に本社一括届出が可能な事業場数を50から30,000事業場へ拡大。令和3年4月に電子署名・電子証明書の添付を不要とし、同年6月には民間のソフトウェアから電子申請ができるようAPI仕様書を公開しました*4。令和7年3月31日には労働条件ポータルサイト「確かめよう 労働条件」に電子申請機能が加わり、内容の異なる事業場も含めた一括届出、事業場一覧(CSVファイル)の自動作成と自動添付、所轄労働基準監督署の自動選択、有効期間の満了30日前のお知らせメール、前回の届出内容の複写が使えるようになっています*4。
この先の予定も示されています。令和9年度からの運用開始を予定している労働基準行政の新たなウェブサイトに同様の機能を設け、入力ガイドの追加やエラーチェックの強化等を図るとされています*4。新ウェブサイトにはGビズIDでログインする企業マイページ機能が置かれ、一度入力した事業場情報の再入力を不要にする想定です*4。ポータルサイトは令和9年度に並行稼働した上で、令和10年度に廃止予定とされました*4。
受託の観点では、三つが仕事になります。第一に、自社システムから届出データを作る部分。API仕様書が公開されているため*4、勤怠側のデータから協定届の項目を組み立てる処理は自社実装の対象です。第二に、事業場マスタの整備。一括届出は事業場一覧を前提とするため、所在地や所轄署の情報が揃っていないと使えません。第三に、並行稼働と廃止への追随*4。連携先のURLや画面遷移は定数で埋め込まず、設定として持つ作りが望ましいでしょう。法定三帳簿の管理や労働条件明示のルールで扱う記録と、届出データの出どころは重なります。
総点検が示した「現場の希望」と設計への含み
制度の議論を読むうえで、実態調査の結果は判断の材料になります*3。
令和7年10月の労働時間等に関する労働者の意識・意向調査(有効回収数3,000)では、労働時間を減らしたい者が約30.0%、このままでよい者が約59.5%、増やしたい者が約10.5%でした*3。企業ヒアリング(327社)でも、現状のままがいいと回答した企業が201社と多数を占めています*3。
制度に対する要望として目立つのが、複雑さへの訴えです。労働時間制度を含めさまざまな制度が複雑化し理解するのに苦労している、届出の様式や必要なものをまとめて一覧化できるサイトがあるとよい、副業・兼業の労働時間の通算ルールが分かりづらく負担である、といった声が挙がりました*3。
これは、システムの作り方に直接つながります。複雑さを画面の外に出しておくことが要点でしょう。制度の分岐を担当者に判断させる作りだと、上の声がそのまま自社システムへの不満になります。事業場の属性から適用される制度を決め、担当者には結果だけを見せる形にできると、負担が減ります。社労士業務の仕組みやシフト作成の自動化も、この延長線上にあります。
条文が固まる前に決めておけること
着手の順序を挙げます。いずれも、制度がどちらに転んでも無駄になりません。
第一に、しきい値を設定として外に出すことです。月45時間・年360時間・複数月平均80時間といった値を、コード内の定数ではなく設定として持ちます。水準が動いた場合の改修が、設定変更で済みます。
第二に、事業場単位の属性を持つことです。法定労働時間、年休の賃金の算定方法、適用している労働時間制度。いずれも事業場や雇用区分ごとに違い得るため、法人で一つの値を持つ作りは避けます。
第三に、属性を時期ごとの値として持つことです。上書きではなく履歴として持てば、切り替え前の期間を後から再計算できます。マスタデータの管理で扱う、属性と履歴を分ける考え方が土台になります。
第四に、届出データの出口を用意することです。勤怠側のデータから届出の項目を組み立てられるかを確認し、事業場一覧のCSVを作れる状態にしておくと、一括届出に乗せられます*4。
受託で進める場合の要点も挙げておきます。
制度解釈の担い手を決めることです。四つの論点はいずれも検討の途中です*1。開発側が解釈を先取りして仕様に書き込むと、確定内容と違ったときに手戻りになります。解釈は業務側と社会保険労務士等が担う切り分けが穏当でしょう。
案の段階のものを作り込まないことです。時間単位年休の上限の緩和は、規制改革実施計画で検討事項として挙げられた段階です*2。比率方式の画面を先に作るのではなく、上限を関数として持つところまでを先に整えるほうが確かでしょう。
移行の入口が動く前提で見積もることです。電子申請の入口は令和9年度から令和10年度にかけて新ウェブサイトへ移ります*4。一度作って終わりではなく、並行稼働と切り替えの期間の保守まで含めて計画に入れておきたいところです。データ移行の進め方で扱う段取りが、そのまま関わってきます。
体制としては、労務の実務と給与計算の両方を理解している要員が入れるかが分かれ目です。36協定の締結と届出の流れ、割増賃金の計算基礎、年休の付与と時季指定の運用。これらは仕様書の項目名だけを見ていても判断できません。賃金差異の公表対応や給与のデジタル払いのように、同じ台帳を土台にする制度改正が並行して来ることも見込んでおくとよいでしょう。
まとめ:労働基準法改正の論点で押さえる3つの視点
労働政策審議会労働条件分科会では、令和7年12月24日の第206回で労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点が示され、時間外・休日労働の上限規制、法定労働時間週44時間の特例措置、年次有給休暇、裁量労働制の四つが並びました。押さえたい視点は三つです。第一に、四つの論点はいずれも「どう考えるか」という問いの形で示されており、条文の姿は固まっていないこと。上限規制については、施行状況やその影響を引き続き注視することが適当ではないかという慎重な整理が示されています。第二に、方向性が比較的はっきりしているのが週44時間の特例措置で、87.2%の事業場が使っていない現状から概ねその役割を終えていると考えられ、撤廃に向けた検討に取り組むべきとされていること。第三に、制度の議論とは別に、届出の電子化はすでに動いていること。3手続の電子申請利用率は令和7年で合計45.9%に達し、令和8年度までに50%が目標です。API仕様書も公開済みで、令和9年度からは新ウェブサイトへ入口が移ります。システム側の備えとしては、しきい値を設定として外に出すこと、法定労働時間や年休の賃金の算定方法を事業場単位の属性として持つこと、その属性を時期ごとの値として持つことの三つから着手するのが堅実でしょう。
よくある質問
労働基準法の改正はいつ施行されるのですか。
施行日を示せる段階にはありません。労働政策審議会労働条件分科会では、令和7年12月24日の第206回で「労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点について」が示され、四つの論点がいずれも「どのように考えるか」という問いの形で提示されています。令和8年7月14日の第210回でも、資料は届出の電子申請の状況などの報告でした。最新の状況は労働条件分科会の資料で確認してください。
四つの論点とは何を指しますか。
時間外・休日労働の上限規制、法定労働時間週44時間の特例措置、年次有給休暇、裁量労働制の四つです。年次有給休暇については時季指定義務の日数・時間単位年休の上限日数・年休取得時の賃金の算定方法の三つが挙げられ、裁量労働制については見直すべきとの意見と緩和すべきでないとの意見が併記されています。
週44時間の特例措置はなくなるのですか。
労働基準関係法制研究会の報告書概要では、対象事業場のうち87.2%がこの特例措置を使っていない現状に鑑みると概ねその役割を終えていると考えられるとされ、撤廃に向けた検討に取り組むべきと述べられています。ただし撤廃の時期が決まった段階ではありません。対象は商業・映画演劇業・保健衛生業・接客娯楽業のうち常時10人未満の労働者を使用する事業場です。
36協定の電子申請はどのくらい使われていますか。
令和7年の時間外労働・休日労働に関する協定届の電子申請利用率は40.2%で、電子申請件数は827,485件です。就業規則(変更)届と1年単位の変形労働時間制に関する協定届を合わせた3手続の合計では45.9%となり、令和8年度までに50%が目標です。民間のソフトウェアから電子申請ができるよう、API仕様書が令和3年6月に公開されています。
勤怠管理システムはいま何を直しておくべきですか。
条文が固まる前でも役に立つ備えとして三つが挙げられます。第一に、月45時間などのしきい値をコード内の定数ではなく設定として外に出すこと。第二に、法定労働時間や年休の賃金の算定方法を、事業場・雇用区分ごとの属性として持つこと。第三に、その属性を上書きではなく時期ごとの値として持つことです。いずれも制度がどちらに転んでも無駄になりません。
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出典
- *1 参考:厚生労働省労働基準局「労働時間法制の具体的課題に関する検討の論点について」(労働政策審議会労働条件分科会 第206回 資料No.2-1、令和7年12月24日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001619721.pdf)。検討の四つの論点と、その現状整理・両論併記の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:厚生労働省労働基準局「労働時間法制の具体的課題について」(労働政策審議会労働条件分科会 第206回 資料No.2-2、令和7年12月24日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001619722.pdf)。研究会報告書概要の記述、労災件数、労働時間の統計、週44時間の特例措置、年休と裁量労働制の制度・数値の確認として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省「働き方改革の「総点検」について」(労働政策審議会労働条件分科会 第207回 資料No. 1、令和8年3月13日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001672458.pdf)。意識・意向調査とヒアリング調査の結果、制度への課題・要望の確認として(2026年8月確認)
- *4 参考:厚生労働省労働基準局監督課「労働基準法等に基づく届出等に係る電子申請の状況について」(労働政策審議会労働条件分科会 第210回 資料No.2-3、令和8年7月14日)(https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001722483.pdf)。3手続の電子申請利用率・件数と目標、これまでの取組、今後の新ウェブサイトの予定の一次情報として(2026年8月確認)