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要件変更への対応とは、従業員数で20.1ポイントひらく項目
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 首位は教育で83.0%:要件が変わったときの対応として挙がりました*1。
- 外部委託は42.5%で下端:8項目のうち最も低い値でした*1。
- 従業員数で20.1ポイント差:外部委託は101人以上の層で55.3%です*1。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
要件が途中で変わり、案件が止まる。よくある形です。
そのとき何から手を打つかは、決まっているようで決まっていません。人を増やすのか、進め方を変えるのか、外に出すのか。
手がかりは、要件の変化への対応として何が重要かを企業に聞いた調査です。
IPAの調査では、首位が技術者の教育・訓練で83.0%、外部の専門企業への委託は42.5%で8項目の下端でした*1。
ところが従業員数別に見ると形が変わります*1。外部への委託は101人以上の層で55.3%あり、20人以下の層の35.2%と20.1ポイントひらいていました*1。
目次
要件が変わって止まったとき、何から手を打つか
要件の変化そのものは避けられません。作っている途中で市場が動けば、仕様も動きます。
問題は、動いたあとです。止まった工程を誰が拾うのか、どこまで社内で持つのかが決まらないまま日数が過ぎていきます。
この判断の材料になる調査があります*1。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、2023年6月12日に発行されました*1。
改版も記録されています*1。2023年7月25日に一部の設問の記載が改められています*1。
調査の時期も示されています*1。2022年11月から12月にかけて実施されたものです*1。
規模も書かれています*1。調査票の配布は7,864件で、回答は1,214件でした*1。
回答者の立場も示されています*1。企業の経営層や事業部門の責任者を対象としたとされています*1。
配布先も書かれています*1。組込みやIoTに関する協会や団体に加盟している企業などに配られたとされています*1。
調査項目の狙いも示されています*1。企業活動の状況のほか、組込みやIoTの産業の動向を把握するためのものとされています*1。
今回見るのはQ19です*1。製品やサービスに関わる要件の変化への対応について聞いた設問で、N=1,107でした*1。
集計対象も設問ごとに書かれています*1。Q19はユーザー企業、メーカー企業、サブシステム提供企業、サービス提供企業、その他の5区分が対象です*1。
数値の出所も断っておきます*1。比率はPowerPoint版の資料に収録されたグラフのデータ値で、図中の表示は整数に丸められています*1。上位2区分の合計はそのデータ値から筆者が算出し、小数点以下1桁で示しました*1。
出典はIPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」です*1。示された値を用いて図と表を作成する編集と加工を筆者が行いました*1。
要件変更への対応とは、8つの項目への重要度
まず設問の中身を確かめます*1。Q19は、要件の変化への対応として8つの項目を並べ、それぞれの重要度を聞く形です*1。
並んでいるのは次の8つです*1。技術者の教育・訓練、スキルの向上/クラウド(デジタルツイン・仮想化技術を含む)の活用/新たな技術(AI、5G等)の導入/ソフトウェア・プラットフォームの導入/ハードウェアの高機能・高性能化/アーキテクチャの見直し/新たな開発スタイル(アジャイル、DevOps等)の導入/外部の専門企業への委託です*1。
回答は6段階です*1。重要と思う、やや重要と思う、どちらともいえない、あまり重要と思わない、重要と思わない、わからないの6つから選びます*1。
この記事では上の2段階を足して見ます*1。つまり「重要と思う」と「やや重要と思う」を合わせた割合です*1。
項目名は資料の選択肢名をそのまま使いました*1。言い換えていません*1。
「その他」の行もありますが、回答数が13しかないため扱いません*1。少ない回答数の行で割合を論じても、意味のある差にならないためです*1。
ここで押さえておきたいのは、これが重要度の設問だという点です*1。実際にどれをやったかを聞いた設問ではありません*1。
8つの項目は排他でもありません*1。それぞれに重要度を答える形なので、足しても100%にはなりません*1。
首位は教育83.0%、下端は外部委託42.5%
全体の分布から見ます*1。首位は技術者の教育・訓練、スキルの向上で83.0%でした*1。回答数は1,073です*1。
内訳も出しておきます*1。重要と思うが51.9%、やや重要と思うが31.1%です*1。半数を超える企業が、迷いなく重要と答えている形になります*1。
2番目以下も並べます*1。クラウドの活用が68.1%、新たな技術の導入が63.1%、ソフトウェア・プラットフォームの導入が59.4%、ハードウェアの高機能・高性能化が58.7%です*1。
後半も見ておきます*1。アーキテクチャの見直しが48.1%、新たな開発スタイルの導入が47.6%と続きます*1。
下端が外部の専門企業への委託でした*1。42.5%で、8つの項目のうち最も低い値です*1。回答数は1,057でした*1。
この行の内訳は少し違う形をしています*1。重要と思うが11.8%、やや重要と思うが30.7%です*1。強く重要と答えた割合が1割程度にとどまります*1。
下側も見ておきます*1。あまり重要と思わないが8.4%、重要と思わないが7.3%でした*1。どちらも8項目のうちで高い値です*1。
そして真ん中が厚くなっています*1。どちらともいえないが32.2%で、8つの項目のうち上端です*1。
つまり否定されているというより、判断が置かれていない形です*1。重要ではないと答えた企業より、決めていない企業のほうが多く出ています*1。
「わからない」の割合も見ておきます*1。この設問では5.8%から15.2%の範囲で、上端がアーキテクチャの見直し、下端が技術者の教育・訓練でした*1。
要件定義そのものを外に出す場合の費用や進め方は、要件定義を外注する費用と進め方で扱っています。
従業員数で見ると外部委託が20.1ポイントひらく
この設問には従業員数別の集計も載っています*1。20人以下、21人から100人、101人以上の3つの層です*1。
外部の専門企業への委託を、その3層で見ます*1。20人以下が35.2%、21人から100人が39.6%、101人以上が55.3%でした*1。
回答数も添えておきます*1。この行はそれぞれ344、340、271です*1。
差は20.1ポイントです*1。101人以上と20人以下の合計を引いた値で、8つの項目の中で最も大きいひらきでした*1。
全体の順位も変わります*1。101人以上の層では55.3%なので、8項目の下端ではなくなります*1。アーキテクチャの見直しの53.7%を上回る位置です*1。
ここで注意が要ります*1。3つの層は別々の企業の集まりです*1。同じ企業が大きくなっていった経過を追った集計ではありません*1。
理由も聞かれていません*1。なぜ規模の大きい層で値が高いのかを尋ねた設問ではないため、因果については書けません*1。
読めるのは、規模の違う3つの層で外部への委託の位置づけが違う、というところまでです*1。
それでも実務では使えます。自社と近い規模の層の値を見れば、同じ状況の企業がこの選択肢をどう扱っているかの目安になるからです。
体制の中で外部がどれくらいを占めているかの分布は、外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で出しています。
上がり続ける5項目と、途中で下がる3項目
8つの項目を、3つの層の並びで見ていきます*1。
層が上がるほど値も上がる項目が5つありました*1。技術者の教育・訓練、クラウドの活用、新たな技術の導入、新たな開発スタイルの導入、外部の専門企業への委託です*1。
数字も並べます*1。技術者の教育・訓練は78.3%、83.4%、88.5%です*1。クラウドの活用は61.1%、69.0%、75.8%でした*1。
新たな技術の導入も同じ向きです*1。56.0%、61.8%、73.7%と上がります*1。
新たな開発スタイルの導入も上がる側でした*1。43.4%、44.3%、57.0%です*1。
残る3つは形が違います*1。21人から100人の層でいったん下がってから、101人以上で上がる並びです*1。
ソフトウェア・プラットフォームの導入は59.3%、55.9%、64.1%でした*1。ハードウェアの高機能・高性能化は57.3%、56.5%、63.2%です*1。
アーキテクチャの見直しも同じ形です*1。49.6%、42.1%、53.7%と動いています*1。
差の大きさも並べておきます*1。外部の専門企業への委託が20.1ポイントで上端、新たな技術の導入が17.7ポイント、クラウドの活用が14.7ポイントと続きます*1。
そのあとも見ます*1。新たな開発スタイルの導入が13.6ポイント、技術者の教育・訓練が10.2ポイントでした*1。
下端はアーキテクチャの見直しの4.1ポイントです*1。ソフトウェア・プラットフォームの導入が4.8ポイント、ハードウェアの高機能・高性能化が5.9ポイントで並びます*1。
つまり規模で差が出やすいのは、人と外部に関わる項目でした*1。作るものの中身に関わる項目のほうが、層による差は小さく出ています*1。
ただしこれも読み方には限りがあります*1。層ごとに回答数が違い、外部の専門企業への委託の行でも344から271まで幅があります*1。
古い仕組みを抱えたまま人が足りなくなる場面は、レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で整理しています。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*1。
第一に、実施の有無ではありません*1。重要と思うかを聞いた設問なので、実際にやったかどうかは含まれません*1。
第二に、成果も含まれません*1。重要と答えた項目が要件の変化にどう働いたかを評価した集計ではありません*1。
第三に、理由がありません*1。なぜ重要と答えたのかを尋ねた設問ではないため、因果については書いていません*1。
第四に、行ごとに回答数が違います*1。全体の集計では1,056から1,073の幅があり、設問のN=1,107とも一致しません*1。
第五に、項目は排他ではありません*1。8つそれぞれに重要度を答える形なので、足しても100%にはなりません*1。
第六に、従業員数の3層は別々の企業です*1。同じ企業の変化ではないため、規模が大きくなると委託が増える、とは書けません*1。
第七に、選択肢の意味には幅があります*1。「外部の専門企業への委託」は資料の選択肢名であって、個人への委託を指すとは書かれていません*1。
第八に、範囲があります*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野や、それより後の傾向は読めません*1。
第九に、回答しなかった企業の状況は含まれません*1。配布7,864件に対し回答は1,214件です*1。
なお、この設問には企業の位置づけ別と、製品・サービスの提供先別の集計も載っています*1。この記事では扱いませんでした*1。
要件が変わったときに動ける形の4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*1。
| 項目 | 全体 | ~20人 | 21~100人 | 101人~ |
|---|---|---|---|---|
| 技術者の教育・訓練、スキルの向上 | 83.0% | 78.3% | 83.4% | 88.5% |
| クラウドの活用 | 68.1% | 61.1% | 69.0% | 75.8% |
| 新たな技術(AI、5G等)の導入 | 63.1% | 56.0% | 61.8% | 73.7% |
| ソフトウェア・プラットフォームの導入 | 59.4% | 59.3% | 55.9% | 64.1% |
| ハードウェアの高機能・高性能化 | 58.7% | 57.3% | 56.5% | 63.2% |
| アーキテクチャの見直し | 48.1% | 49.6% | 42.1% | 53.7% |
| 新たな開発スタイルの導入 | 47.6% | 43.4% | 44.3% | 57.0% |
| 外部の専門企業への委託 | 42.5% | 35.2% | 39.6% | 55.3% |
1段目は、変わった要件を1行で書き出すことです。何がどう変わったのかを、担当者ごとの理解ではなく1つの文にします。
2段目は、止まっている工程と担当を並べることです。要件が動いた結果、どの工程が待ちに入ったかを一覧にします。
3段目は、分けることです。社員が持つべき判断と、人数で吸収できる作業を切り分けます。
4段目は、出すことです。後者を期間を区切って外に出します。
この順番が要るのは、上位に来た項目が今日の遅れには間に合わないからです*1。教育・訓練が83.0%で首位でしたが、いま止まっている工程を動かす手段ではありません*1。
技術の導入も同じです*1。クラウドの活用が68.1%、新たな技術の導入が63.1%と高い値ですが、どちらも結果が出るまでに時間がかかります*1。
つまり中期の打ち手と、目の前の遅れへの打ち手は別に置くことになります。分布の上位は前者に寄っています*1。
後者に当たるのが、期間を区切った外部要員の枠です。作業量が読める部分を切り出し、人数で吸収します。
フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。要件が動いた分だけ人を足し、片づいたら戻す形にできるためです。
実務では、判断は社内に残します。何を作り直すかの決めまで外に出すと、次に要件が動いたときに社内で判断できなくなるからです。
分布とも整合します*1。101人以上の層では外部の専門企業への委託が55.3%あり、半数を超えていました*1。
枠の大きさを決めるときは、要員の計画から入ります。要員計画に必要な4つの数字と決める順番で手順を出しています。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は組込みやIoTの分野が対象で、2022年11月から12月に実施されたものです*1。ほかの分野やそれより後の傾向は読めません*1。
まとめ:中期の打ち手と、目の前の打ち手を分ける
第一に、資料です。IPAの「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」は2023年6月12日に発行され、2023年7月25日に一部が改版されています。調査期間は2022年11月から12月で、調査票の配布は7,864件、回答は1,214件でした。回答者は企業の経営層や事業部門の責任者です。第二に、設問です。Q19は製品やサービスに関わる要件の変化への対応として8つの項目を並べ、それぞれの重要度を6段階で聞いています。N=1,107で、集計対象はユーザー企業、メーカー企業、サブシステム提供企業、サービス提供企業、その他の5区分でした。第三に、数値の扱いです。比率はPowerPoint版の資料に収録されたグラフのデータ値で、図中の表示は整数に丸められています。上位2区分の合計はそのデータ値から筆者が算出しました。出典はIPA「2022年度組込み/IoTに関する動向調査」で、示された値を用いて図と表を作成する編集と加工を筆者が行いました。第四に、全体の分布です。首位は技術者の教育・訓練、スキルの向上で83.0%、回答数は1,073でした。クラウドの活用が68.1%、新たな技術の導入が63.1%と続きます。第五に、下端です。外部の専門企業への委託が42.5%で8項目のうち最も低く、どちらともいえないが32.2%で8項目の上端でした。第六に、従業員数別です。外部の専門企業への委託は20人以下が35.2%、21人から100人が39.6%、101人以上が55.3%で、差は20.1ポイントでした。第七に、並びです。8つのうち5つは層が上がるほど値も上がり、残る3つは21人から100人でいったん下がります。第八に、限界です。実施の有無や成果、理由は含まれず、従業員数の3層は別々の企業なので同じ企業の変化ではありません。行ごとの回答数も1,056から1,073の幅があります。
よくある質問
要件の変化への対応で重要とされている項目は何ですか。
IPAの2022年度組込み/IoTに関する動向調査のQ19では、技術者の教育・訓練、スキルの向上が首位でした。重要と思うが51.9%、やや重要と思うが31.1%で合わせて83.0%、回答数は1,073です。設問のNは1,107でした(確認日2026年9月4日)。
外部への委託はどのくらい重要とされていますか。
外部の専門企業への委託は42.5%で、8つの項目のうち最も低い値でした。重要と思うが11.8%、やや重要と思うが30.7%です。ただしどちらともいえないが32.2%あり、8項目の中では上端でした。否定されているというより判断が置かれていない形です。
従業員数で違いはありますか。
外部の専門企業への委託は、20人以下が35.2%、21人から100人が39.6%、101人以上が55.3%でした。差は20.1ポイントで8項目の中で最も大きいひらきです。ただし3つの層は別々の企業の集まりなので、同じ企業の変化ではありません。
従業員数が多い層ほど値が高いのはどの項目ですか。
8つのうち5つが該当します。技術者の教育・訓練、クラウドの活用、新たな技術の導入、新たな開発スタイルの導入、外部の専門企業への委託です。残るソフトウェア・プラットフォームの導入、ハードウェアの高機能・高性能化、アーキテクチャの見直しは21人から100人でいったん下がります。
この調査から実際の対応状況はわかりますか。
わかりません。Q19は重要と思うかを聞いた設問で、実際にどれを実施したかも、その成果も含まれていません。重要と答えた理由を尋ねた設問もないため、因果についても読み取れない内容です。
出典
- *1 参考:IPA「2022年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/kumikomi-iot2022.html)。発行日・改版日・調査期間・配布数7,864件・回答数1,214件の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(PowerPoint)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pptx)。Q19の比率・回答数のデータ値の一次情報として。収録された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「組込み/IoTに関する動向調査」調査結果(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022.pdf)。Q19の設問文・集計対象の区分・N・6段階の選択肢・従業員数別の3層の定義・利用ルールの一次情報として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「アンケート調査票」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/kumikomi/ps6vr7000001tewn-att/kumikomi-iot2022-chousahyou.xlsx)。Q19の8つの項目の並びと選択肢の確認として(2026年9月確認)