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レビュー指摘件数密度|基本設計625.0件と製作496.9件
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 基本設計は625.0件:1,000人時あたりの中央値です*2。
- 製作は496.9件:同じ単位で並べた値です*2。
- 分母で幅が変わる:2.05倍から7.76倍まで動きます*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
レビューの報告が「指摘は何件」という形で上がってきたとき、多いのか少ないのか判断できるでしょうか。
件数だけでは決まりません。何で割るかを決めないと、規模の違いに飲み込まれます。
手がかりは、分母を変えて4通りに集計された分布です。
IPAの資料では、工数あたりの中央値が基本設計で625.0件/1,000人時と示されています*1*2。
同じ単位で製作は496.9件でした*2。ただし表ごとにNが違うため、順序として読みます*2。
目次
指摘件数は分母を決めないと読めない
レビューの量を人数や回数で報告しても、案件をまたいで比べられません。規模が違えば件数も動きます。
その比べ方を業界の分布として示した資料があります*1。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」で、公開は2022年9月26日、最終更新は2025年8月28日と記されています*1。
規模も示されています*1。これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析したと書かれています*1。
性質を先に書きます*1。この資料には「事業終了に伴い今後の発行予定はございません」と明記されています*1。最新の調査ではありません*1。
構成も確かめられます*4。本編のほかに業種編3編、サマリー版、マンガ解説版、グラフデータが公開されています*4。
沿革も書かれています*4。IPAは2005年からエンタプライズ分野の開発データを収集し、2020年に書籍版の名称を変えて現在の形になったとされています*4。
該当する章は本編の4章です*2。設計工程のレビュー指摘件数に関する分析結果として示されています*2。
分母は4通りあります*2。基本設計については、SLOC規模あたり、FP規模あたり、工数あたり、ページあたりの件数が並んでいます*2。
工数の出所も書かれています*2。工数は当該工程のレビュー工数を使用したと記されています*2。
単位も揃えられています*2。工数あたりの密度は1,000人時あたりで掲載するとされています*2。
この記事では規模と工数の3つに絞ります*2。ページあたりの分母も同じ節にありますが、扱う範囲を分けます*2。
数値の扱いを書きます*2*3。四分位は本編の表に示された値をそのまま引き、倍率と差は表の値から筆者が算出しました*2*3。
グラフデータの著作権はIPAが保有しています*3。使用条件に従い、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します*3。
まず規模あたりの値を見ます*2。
SLOC規模あたりは中央値2.500件
本編の表4-1-1は、SLOC規模あたりの基本設計レビュー指摘件数を示しています*2。全開発種別でNは405です*2。
中央値は2.500件/KSLOCでした*2。1,000行あたり2件から3件という水準です*2。
四分位も示されています*2。P25が0.985、P75が5.121です*2。
倍率にすると5.20倍です*2。5.121を0.985で割った値です*2。
下端も出ています*2。0.000件で、指摘が記録されていない案件があることになります*2。
過去との比較も添えられています*2。本編は2014年度から2019年度の2.574から2.500とあまり差はないと記しています*2。
つまり水準は動いていません*2。規模あたりの指摘件数は、この6年ほどで大きく変わっていないと読めます*2。
10KSLOCなら25件です*2。中央値2.500に10を掛けた値です*2。
ただし幅は残ります*2。同じ10KSLOCでも、P25なら約10件、P75なら約51件になります*2。
層別定義も添えられています*2。開発5工程のフェーズ有無がすべてそろい、種別が明確で、実効SLOCの実績値が0より大きい案件です*2。
指摘件数の記入も条件です*2。設計フェーズ別のレビュー指摘件数に記入があることが求められています*2。
静的な検査を導入する進め方は別に整理されています。静的解析・コード品質ゲート導入を外注で進めるが参考になります。
次に、平均が使えない理由を見ます*2。
上端8,000件の中身が書かれている
表4-1-1の上端は8,000.000件/KSLOCです*2。中央値2.500の3,200倍にあたる値です*2。
ここで資料が中身を説明しています*2。本編は「1行の変更だけに対して8件の指摘があったプロジェクトのもの」と記しています*2。
つまり分母が極端に小さい案件です*2。1行を分母にすれば、8件の指摘は8,000件/KSLOCと表示されます*2。
この1件で平均が動きます*2。平均は25.317で、中央値2.500の10.1倍になります*2。
標準偏差も大きいです*2。397.507で、中央値の百倍を超える値です*2。
だから平均は使えません*2。この指標では中央値と四分位だけを見ます*2。
外れ値の中身が書かれているのは珍しい形です*2。多くの表では上端の値だけが載り、理由は示されていません*2。
実務でも同じことが起きます。小さな変更だけを切り出して密度を出すと、数字が跳ねます。
だから分母の下限を決めておく必要があります。規模が小さすぎる案件は、密度の比較から外す扱いにします。
製作の側でも同じです*2。表4-2-1の上端は94,868.4件/1,000人時で、平均1,601.8は中央値496.9の3.22倍になります*2。
標準偏差は6,393.8です*2。こちらも平均を当たりの値として置けません*2。
レビューの体制そのものを外から補う話は別に整理されています。技術選定・アーキテクチャレビューを外注で補強をご覧ください。
次に、工数あたりの値を見ます*2。
工数あたりは基本設計625.0件
本編の表4-1-3は、工数あたりの基本設計レビュー指摘件数を示しています*2。全開発種別でNは244です*2。
中央値は625.0件/1,000人時でした*2。レビューに1,000人時を掛けて600件強という水準です*2。
四分位も示されています*2。P25が231.1、P75が1,564.7です*2。
倍率にすると6.77倍です*2。規模あたりの5.20倍より広い幅です*2。
両端も出ています*2。下端が0.0、上端が10,119.0でした*2。
平均と標準偏差もあります*2。平均は1,212.6、標準偏差は1,652.8です*2。
平均は中央値の1.94倍です*2。規模あたりの10.1倍より落ち着いた形になります*2。
過去との比較が特徴的です*2。本編は2014年度から2019年度の580.9から625.0となり、平均値も1211.9から1212.6となり、やや増加したと記しています*2。
さらに続きがあります*2。本編は「この傾向は以前から続いている」と記しています*2。
つまり単発の動きではありません*2。工数あたりの指摘件数は増える方向に動いてきたと読めます*2。
層別定義も違います*2。この表では基本設計のレビュー実績の工数が0より大きいことが条件です*2。
だからNも変わります*2。規模あたりの405件に対し、工数あたりは244件です*2。同じプロジェクトの集合ではありません*2。
次に、製作の側と並べます*2。
製作は496.9件で、向きが逆
本編の表4-2-1は、工数あたりの製作レビュー指摘件数を示しています*2。全開発種別でNは240です*2。
中央値は496.9件/1,000人時でした*2。基本設計の625.0より少ない値です*2。
単位は同じです*2。どちらも1,000人時あたりの件数として掲載されています*2。
筆者が算出すると1.26倍です*2。基本設計のほうが多い形になります*2。
ただし差の大きさは論じません*2。Nが244と240で、同じプロジェクトの集合ではないためです*2。
読めるのは順序です*2。同じ単位で並べたとき、基本設計のほうが上に来るという点までです*2。
過去との比較では向きが逆になります*2。本編は製作について、2014年度から2019年度の555.1から496.9になり、やや減少していると記しています*2。
基本設計は増加、製作は減少です*2。それぞれの表の中での比較なので、この2つの向きは並べて読めます*2。
四分位も示されています*2。P25が181.3、P75が1,407.4です*2。
倍率は7.76倍で、4つの中では広い幅になります*2。1,407.4を181.3で割った値です*2。
資料は理由を説明していません*2。なぜ向きが分かれるのかは書かれていません*2。
工程ごとに内製と委託を分ける実態は別に整理されています。工程別の内製化|設計開発テストだけ委託が34.4%で扱っています。
次に、件数の少ない表と幅の話を押さえます*2。
FP規模あたりはN17/分母で幅が変わる
本編の表4-1-2は、FP規模あたりの基本設計レビュー指摘件数を示しています*2。Nは17です*2。
中央値は175.0件/KFPでした*2。四分位はP25が119.3、P75が244.3です*2。
倍率にすると2.05倍です*2。4つの中では最も狭い幅になります*2。
ただしNが17です*2。この記事では参考の範囲にとどめます*2。
狭い幅も件数の少なさと切り分けられません*2。17件だけの分布なので、幅が狭く見えている可能性を否定できません*2。
過去との比較は添えられています*2。本編は中央値が2014年度から2019年度の175.0と同じで、平均値は240.1から235.5であまり差はないと記しています*2。
平均は235.5、標準偏差は212.6です*2。平均は中央値の1.35倍で、4つの中では中央値に近い形です*2。
4つを並べると幅の違いが見えます*2。P75をP25で割ると、FP規模あたりが2.05倍、SLOC規模あたりが5.20倍、工数あたりが6.77倍、製作の工数あたりが7.76倍です*2。
つまり分母を変えると幅が2倍から8倍まで動きます*2。同じ指摘件数を数えていても、割る相手で見え方が変わる形です*2。
実務での意味は1つです。自社で測るなら分母を固定し、変えずに続ける必要があります。
読めないことも押さえます*2。指摘の重さや中身、指摘件数と後工程の不具合の関係、件数が多いのが良いか悪いかは含まれていません*2。
時点の限界もあります*1。この資料は2022年の公開で、事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、それより後の傾向は読めません*1。
体制の相場そのものは別の指標で測れます。外部委託工数比率とは、中央値63.4%が示す体制の相場で同じ資料の別の指標を扱っています。
レビューの量を測る順番
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 工程と分母 | P25 | 中央 | P75 | P75÷P25 | N |
|---|---|---|---|---|---|
| 基本設計・SLOC規模あたり[件/KSLOC] | 0.985 | 2.500 | 5.121 | 5.20倍 | 405 |
| 基本設計・工数あたり[件/1,000人時] | 231.1 | 625.0 | 1,564.7 | 6.77倍 | 244 |
| 基本設計・FP規模あたり[件/KFP] | 119.3 | 175.0 | 244.3 | 2.05倍 | 17 |
| 製作・工数あたり[件/1,000人時] | 181.3 | 496.9 | 1,407.4 | 7.76倍 | 240 |
1段目は分母を決めることです。規模で数えるのか、工数で数えるのかを先に選びます。
2段目は工程ごとに分けることです。基本設計と製作を混ぜると、向きの違いが見えなくなります*2。
3段目は位置を見ることです。表の中央値と四分位に、自社の値を当てます。
4段目は続けることです。分母を変えずに次の案件と比べることで、社内の基準が育ちます。
順番を逆にすると進みません。件数だけを先に集めると、あとから分母を揃え直す手間が出ます。
小さすぎる分母は外します*2。上端8,000件の例のように、1行の変更を分母にすると数字が跳ねます*2。
件数の多さを質と読み替えないようにします*2。指摘の重さや中身は集計に含まれていません*2。
後工程との関係も分かりません*2。指摘が多い案件で不具合が減ったかを示すクロス集計は、今回参照した資料に記載はありません*2。
実務では、記録と判定を分けることになります。指摘の重さを決めるところは社員が持ち、件数と工数の記録や集計は外部の要員に任せる形が取れます。
洗い出しの側も同じです。仕様書やコードを読んで指摘を挙げる作業は、人を足せば量が増える種類の作業にあたります。
期間を区切って入れるなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。設計工程の数か月だけ読む人を足し、製作に入ったら戻す形にします。
最後に時点を添えておきます*1。2022年公開の資料なので、直近の相場ではなく比較の基準として使う形になります*1。
まとめ:分母を固定する
第一に、資料の性質です。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は公開が2022年9月26日、最終更新が2025年8月28日となっており、これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析されています。事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、最新の調査ではありません。四分位は本編の表に示された値で、倍率と差は表の値から筆者が算出しました。グラフデータの著作権はIPAが保有しており、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します。第二に、分母です。基本設計の指摘件数はSLOC規模あたり、FP規模あたり、工数あたり、ページあたりの4通りで示されており、工数あたりの密度は1,000人時あたりで掲載されています。工数は当該工程のレビュー工数を使用したと記されています。第三に、規模あたりの値です。SLOC規模あたりの中央値は2.500件/KSLOCで、P25が0.985、P75が5.121、Nは405でした。本編は2014年度から2019年度の2.574とあまり差はないと記しています。第四に、上端です。8,000.000件/KSLOCという値について、本編は1行の変更だけに対して8件の指摘があったプロジェクトのものと説明しています。この1件で平均が25.317まで動き、中央値の10.1倍になります。標準偏差は397.507です。第五に、工数あたりの値です。基本設計の中央値は625.0件/1,000人時でNが244、製作は496.9件でNが240でした。筆者が算出すると1.26倍ですが、Nが違うため差の大きさは論じていません。第六に、向きです。本編は基本設計について前回値580.9から625.0でやや増加し、この傾向は以前から続いていると記し、製作については555.1から496.9でやや減少していると記しています。第七に、幅です。P75をP25で割るとFP規模あたりが2.05倍、SLOC規模あたりが5.20倍、工数あたりが6.77倍、製作の工数あたりが7.76倍になります。FP規模あたりはNが17と少ないため参考の範囲にとどめました。指摘の重さや中身、後工程の不具合との関係、件数が多いのが良いか悪いかも今回の内容には含まれていません。
よくある質問
レビューの指摘件数は工数あたりどれくらいですか。
IPAのソフトウェア開発分析データ集2022の表4-1-3では、基本設計の中央値が625.0件/1,000人時でした。Nは244です。製作は表4-2-1で496.9件/1,000人時、Nは240でした。ただしNが違うため差の大きさは論じられません(確認日2026年9月4日)。
規模あたりで数えるとどうなりますか。
表4-1-1ではSLOC規模あたりの中央値が2.500件/KSLOCでした。P25が0.985、P75が5.121で、Nは405です。本編は2014年度から2019年度の2.574とあまり差はないと記しています。
平均は使えますか。
使えません。SLOC規模あたりの平均は25.317で中央値2.500の10.1倍、標準偏差は397.507です。上端の8,000件について本編は1行の変更だけに対して8件の指摘があったプロジェクトのものと説明しています。製作も上端が94,868.4で平均は中央値の3.22倍です。
分母によって結果は変わりますか。
幅が変わります。P75をP25で割るとFP規模あたりが2.05倍、SLOC規模あたりが5.20倍、基本設計の工数あたりが6.77倍、製作の工数あたりが7.76倍です。自社で測るなら分母を固定し、変えずに続ける必要があります。
指摘が多いほど品質は良いのですか。
今回参照した資料からは分かりません。指摘の重さや中身は集計に含まれておらず、指摘件数と後工程の不具合の関係を示すクロス集計も記載がありません。読めるのは分母ごとの件数の分布と、工程による水準の違いだけです。
出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。公開日・最終更新日・5,546プロジェクト・事業終了に伴う発行予定なしの記述の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。表4-1-1から表4-1-3・表4-2-1の四分位・平均・標準偏差・N・層別定義・上端の説明・過去年度との比較の記述として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022グラフデータ」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000103288.zip)。同じ表の値の確認として。著作権はIPAが保有(Copyright 2022 IPA)(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。業種編3編・サマリー版・グラフデータという構成と、2005年からのデータ収集の沿革の記述として(2026年9月確認)