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インターンシップ4類型の違いと採用での使い方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 4類型のうち2つだけがインターンシップ:タイプ3とタイプ4がインターンシップであり、タイプ1・2は「インターンシップ」と称さない取組です*1。
- 基準を満たせば学生情報を採用に使える:就業体験・指導・実施期間・実施時期・情報開示の5要件を満たすことが条件です*2。
- 使えるのは開始時期以降に限られる:広報活動開始以降と採用選考活動開始以降で、それぞれ使い方が分かれます*2。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
「インターンシップをやりたい」という話が社内で出たとき、最初に決めるべきは期間や内容ではありません。どの類型で実施するのかです。ここで選び方を間違えると、受け入れに手間をかけたのに学生の情報を採用選考に使えません。
令和4年6月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の3省合意が改正されました。概要資料は、大学生等のキャリア形成支援に係る取組を類型化するとともに、一定の基準を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を、広報活動や採用選考活動に使用できるよう見直しましたと説明しています*2。
適用は段階的に始まっています。資料はこの改正は、令和7年3月に卒業・修了する学生(学部生ならば令和5年度に学部3年生に進学する学生)が、令和5年度に参加するインターンシップから適用されますとしています*2。現在の新卒採用はすでにこの枠組みの中にあります。
本記事では、受け入れる企業側の目線で4類型の違いと、学生情報を使うための要件、そして受け入れ時の留意事項を整理します。個別の実施設計や大学等との取り決めは、大学の窓口および社会保険労務士等に確認したうえで進めてください。
目次
4類型のうち、インターンシップはタイプ3と4だけ
まず言葉の整理から入ります。ここが曖昧なままだと、以降の要件の話が噛み合いません。
3省合意は、産学協議会において「学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組み」が次の四つの類型に整理され、そのうちタイプ3及びタイプ4がインターンシップであるとされたと述べています*1。類型は次の4つです*1。
- タイプ1 オープン・カンパニー
- タイプ2 キャリア教育
- タイプ3 汎用型能力・専門活用型インターンシップ
- タイプ4 高度専門型インターンシップ(試行)
概要資料は、この違いを目的の側から説明しています。タイプ1・2は「インターンシップ」とは称さない取組で、就業体験を必須とせず、「個社・業界の情報提供等」や「教育」が目的です*2。対してタイプ3・4は「インターンシップ」と称して実施し、就業体験が必須で、「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的とされています*2。
1日の会社説明会に「インターンシップ」という名前を付ける運用は、この整理の下では成り立ちません。就業体験があるかどうかが、名前を分ける線になっています。
そのうえで、大前提として押さえておく一文があります。概要資料はタイプ1〜4は学生のキャリア形成支援に係る取組であって、採用活動ではありませんと明記し、学生は採用選考活動開始時期以降、改めて採用選考のためのエントリーが必要になりますとしています*2。取組の中で選考を進めてよくなったわけではない、という点です。
3省合意も同じ趣旨を述べています。インターンシップと称して就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動そのものが行われることにより、産学協働による取組全体に対する信頼性を失わせるようなことにならないよう、関わる者それぞれが留意することが重要である*1。
学生情報を使うための5つの要件
タイプ3で取得した学生情報を使うには、基準を満たす必要があります。概要資料はこれを5つの要件として示しています*2。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 就業体験要件 | 実施期間の半分を超える日数を就業体験に充当 |
| 指導要件 | 職場の社員が学生を指導し、学生にフィードバックを行う |
| 実施期間要件 | 汎用能力活用型は5日間以上。専門活用型は2週間以上 |
| 実施時期要件 | 卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中 |
| 情報開示要件 | 学生情報を活用する旨等を募集要項等に明示 |
この5つを実務に翻訳すると、負担の中身が見えてきます。就業体験要件と指導要件は、現場の社員の時間を先に押さえるという意味です。5日間のうち3日以上を実際の仕事に充て、その間フィードバックまで行う体制が要ります。説明会と座学だけでは要件を満たしません。
実施時期要件も見落としやすい点です。3省合意は、タイプ3のインターンシップについて大学等の正課及び大学院博士課程を除き、卒業・修了前年度ないし卒業・修了年度の長期休暇期間中に実施するものであり、学生の学修時間の確保に十分な配慮が必要であるとしています*1。夏休みや春休みに寄せる設計になります。
実務上、最初に手をつけるのは情報開示要件でしょう。募集要項に学生情報を活用する旨を書いておかないと、他の4要件を満たしても使えません。書式の1行の話なので、設計段階で決めておけば漏れません。求人・募集の表示については求人情報の的確な表示、企業に課される義務の考え方が参考になります。
要件を満たしたとして、何ができるのか。概要資料は活用例として、広報活動開始以降:企業説明会の案内送付等、採用選考活動開始以降:採用選考プロセスの一部免除等を挙げています*2。使えるのは広報活動・採用選考活動の開始時期以降に限りとされており、それぞれの時期より前に使うことはできません*2。
受け入れ側に求められる体制と、労働関係法令
3省合意には、学生を受け入れる企業側の留意事項がまとまって置かれています。実施を決める前に目を通しておく価値がある部分です。
まず体制です。企業等の場における学生に対する教育活動であり、十分な教育効果をあげるためには、企業等における実施体制の整備が必要であるとされ、実際のプログラムの目的・方法を明確化するとともに、大学等と連携しながら効果的なプログラムを開発することが重要であると続きます*1。事務手続については双方の負担軽減の観点から、大学との協定書や覚書等の書類については可能な限り簡略化を図るべきであるとも述べられています*1。
費用と報酬の扱いは、一律には決まっていません。3省合意はこうした経費の扱いに関しては多様な例が見られるとともに、実施の形態には様々なものがあるため、基本的には、個別に大学等と企業等が協議して決定することが適切であるとしています*1。有給で実施する形も、多様な形態のひとつとして挙げられています*1。
そして受け入れ側が最も注意すべき一文がここにあります。取組の実施にあたり、受け入れる企業等と学生の間に使用従属関係等があると認められる場合など、労働関係法令が適用される場合もあることに留意する必要があり、その場合には、企業等において労働関係法令が遵守される必要がある*1。
就業体験要件を満たすために実際の仕事を任せるほど、この論点は近づきます。実務を割り振り、成果物に責任を負わせ、時間を管理するなら、労働関係法令の適用を前提に設計するのが安全側の判断です。ここは個別の事情で結論が変わるため、社会保険労務士等への確認を経てください。
事故等への対応とハラスメントについても記述があります。3省合意は、現場での事故の防止やハラスメントへの対応に関しては企業等において責任をもった対応が必要であるとし、災害補償の確保についても大学等と事前に十分協議し、責任範囲を明確にした上で、それぞれの責任範囲における補償の確保を図ることが重要であると述べています*1。
公正性の担保も挙げられています。取組により、企業等と大学等や学生との結び付きが強くなり、採用の早期化、指定校制などにつながるのではないかといった懸念も指摘されているため、学生の受入れの公正性、透明性を確保するための適切な運用のためのルールづくりが必要であるとされています*1。選考における公正性の考え方は技術面接で人事が見極める5つの質問でも触れました。
中小企業にとっての位置づけ
この仕組みは大企業向けのものではありません。資料の書き方はむしろ逆です。
概要資料は中小企業やスタートアップ企業においても、職場での就業体験を組み込んだインターンシップの実施を自社の魅力・良さ・仕事のやりがい等を学生に伝える機会と捉え、前向きにご検討くださいと呼びかけています*2。
3省合意も企業側の意義として、大学等と企業等の接点が増えることにより、相互の情報の発信・受信の促進につながり、企業等の実態について学生の理解を促す一つの契機になるとし、これについては、特に中小企業やスタートアップ企業等にとって意義が大きいものと思われ、中小企業等の魅力発信としても有益な取組であると述べています*1。
知名度で母集団を集めにくい会社にとって、5日間の就業体験は説明会より情報量が多い接点になります。実際の仕事を見せられること自体が、規模の小さい会社の強みになる場面です。母集団形成全体の設計はエンジニア採用の母集団形成、先に決める9つのことで扱いました。
一方で、受け入れ側の姿勢についても明確な注文が付いています。3省合意は将来の社会・地域・産業界等を支える人材を産学連携による人材育成の観点から推進するものであり、自社の人材確保にとらわれない広い見地からの取組が必要であるとし、長期的な視野に立って継続的にそれらの取組を受け入れていくことが望ましいとしています*1。
企業側が得られるものについても明記があります。学生が実際の現場で就業体験を行うことにより、企業等にとっては、学生の仕事に対する能力を適正に評価するとともに、採用選考活動時における評価材料を取得することができる*1。この「評価材料」を何で測るかは、選考の物差しと同じ問題です。コーディングテスト導入の進め方と評価基準で扱った考え方が、そのまま使えます。
類型は、大学側の扱いにも関わる
類型の選択は、企業の都合だけの話ではありません。大学等の側で単位として認められるかどうかにも関わります。
3省合意は上述の四つの類型は、それらの取組を大学等における単位として認めるか否かに関係し、タイプ2、タイプ3及びタイプ4のうち、実施期間等の一定の水準を満たした場合には、大学等の教育課程に位置付けられたものとして単位が認定される場合が多いと思われるとしています*1。一方でタイプ1の形態のものは、原則単位は認定されないものであると思われると述べています*1。
この違いは、学生側の参加のしやすさに直結します。単位になるプログラムは、授業との両立という壁が低くなります。大学の窓口を通して募集する場合、類型の説明が最初に求められるのはこのためです。
形態そのものにも幅が示されています。3省合意は、短期プログラムの充実に加えて教育効果の高い中長期インターンシップや、専門教育との関連付けにより一層効果を発揮するコーオプ教育プログラム(例えば数ヶ月間〜数年次にわたり大学等での授業と企業等での実践的な就業体験を繰り返す教育プログラム)、有給インターンシップなど、多様な形態の取組をその目的に合わせて柔軟に取り入れることが重要であるとしています*1。
受け入れ先の偏りについても言及があります。受入先の企業を選ぶ場合、特定の業種や大企業に偏ることなく、中小企業やスタートアップ企業等を含めバランスが保たれるよう配慮する必要がある*1。実施の場についても、企業だけでなく行政機関や公益法人等の団体なども考えられるとされています*1。
評価書類の扱いは、複数の大学から受け入れる会社にとって手間の出どころです。3省合意は企業等にとって各大学等によって異なる対応が必要な現状を改めるため、大学等からの学生の評価書類における要素等の共通化を図る必要があると課題を挙げています*1。現状では大学ごとに書式が違う前提で、社内の記録の取り方を決めておくほうが無理がありません。
探し方についても手がかりがあります。3省合意は推進方策として、各地域に企業等、大学等、関係する諸々の行政機関からなる産官学による協議会等の場を活用するなどし、情報交換等を図ることや、受入れ拡大のためのそれらの取組のプロジェクト設計や、大学側と企業側のニーズのマッチング等を行う専門人材(コーディネーター等)の育成・確保が必要であることを挙げています*1。単独で大学を回るより、地域の枠組みに乗るほうが接点は作りやすいでしょう。
着手の順序——類型を先に決める
順序を置きます。プログラムの中身から考え始めると、後で要件に合わせて作り直すことになります。
- ① 類型を決める。学生情報を採用に使いたいならタイプ3。そうでなければタイプ1・2で十分です
- ② 現場の社員の時間を確保する。指導とフィードバックを担う人が決まらないなら、タイプ3は成立しません
- ③ 期間と時期を決める。5日間以上(専門活用型は2週間以上)、長期休暇期間中に置きます
- ④ 就業体験の内容を割り振る。実施期間の半分を超える日数を実際の仕事に充てます
- ⑤ 募集要項に情報開示を書く。学生情報を活用する旨を明示します
- ⑥ 労働関係法令の適用を確認する。任せる内容と管理の形を社会保険労務士等に見てもらいます
①を先に置く理由は、②以降の負担が類型で大きく変わるからです。タイプ1のオープン・カンパニーなら半日で終わりますが、タイプ3は現場の5日間を押さえる話になります。目的が「知ってもらう」だけなら、無理にタイプ3を選ぶ必要はありません。
②で詰まる会社が多いはずです。指導要件は書類で満たせるものではなく、社員が学生を見る時間そのものを求めています。ここが確保できないまま実施すると、学生にとっても得るものが薄くなります。
⑤は忘れやすいのに、抜けると全部が無駄になる項目です。募集要項の書式に定型文として入れておくのが確実でしょう。
なお、現場の5日間を空けるために当座の開発が止まる、という順序は本末転倒です。手が足りない状態でインターンシップを始めても、指導要件を満たす余裕は生まれません。受け入れの前に、現場の負荷を見ておく必要があります。常時必要な職責かどうかの判断がつかない範囲については、期間を区切って外部の力を借りながら整える進め方もあります。
まとめ:インターンシップの類型選びで押さえる3つの視点
第一に、4類型のうちインターンシップと呼べるのはタイプ3とタイプ4だけだという点です。3省合意は産学協議会の整理に基づき、タイプ1オープン・カンパニー、タイプ2キャリア教育、タイプ3汎用型能力・専門活用型インターンシップ、タイプ4高度専門型インターンシップ(試行)の4類型を示し、そのうちタイプ3及びタイプ4がインターンシップであるとしています。タイプ1・2は就業体験を必須とせず、個社・業界の情報提供等や教育が目的です。第二に、学生情報を採用に使うには5つの要件を満たす必要があるという点です。実施期間の半分を超える日数を就業体験に充当する就業体験要件、職場の社員が指導とフィードバックを行う指導要件、汎用能力活用型は5日間以上・専門活用型は2週間以上の実施期間要件、卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中とする実施時期要件、学生情報を活用する旨等を募集要項等に明示する情報開示要件です。使えるのは広報活動・採用選考活動の開始時期以降に限られ、活用例として企業説明会の案内送付や採用選考プロセスの一部免除が挙げられています。第三に、受け入れには労働関係法令の論点が伴うという点です。3省合意は、受け入れる企業等と学生の間に使用従属関係等があると認められる場合など、労働関係法令が適用される場合もあることに留意する必要があるとしています。就業体験の中身を実務に寄せるほど、この論点は近づきます。まず類型を決めるところから始めてください。
よくある質問
1日の会社説明会を「インターンシップ」と呼んでよいですか。
この整理の下では成り立ちません。3省合意ではタイプ3及びタイプ4がインターンシップであるとされ、概要資料はタイプ1・2について「インターンシップ」とは称さない取組であり、就業体験を必須とせず個社・業界の情報提供等や教育が目的だと説明しています。1日の説明会はタイプ1のオープン・カンパニーに当たる形です。名称を分ける線は、就業体験があるかどうかです。
インターンシップで得た学生情報は、そのまま選考に使えますか。
タイプ3で一定の基準を満たした場合に、広報活動・採用選考活動の開始時期以降に限り使用できます。基準は就業体験要件、指導要件、実施期間要件、実施時期要件、情報開示要件の5つです。活用例として、広報活動開始以降は企業説明会の案内送付等、採用選考活動開始以降は採用選考プロセスの一部免除等が挙げられています。なお学生は採用選考活動開始時期以降、改めて採用選考のためのエントリーが必要になります。
実施期間はどれくらい必要ですか。
実施期間要件として、汎用能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上とされています。あわせて実施時期要件として、卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中に実施することとされています。3省合意は、タイプ3のインターンシップについて大学等の正課及び大学院博士課程を除き、卒業・修了前年度ないし卒業・修了年度の長期休暇期間中に実施するものであり、学生の学修時間の確保に十分な配慮が必要であるとしています。
学生に報酬を支払う必要がありますか。
一律には決まっていません。3省合意は、経費負担や学生に対する報酬支給の扱いについて多様な例が見られ、実施の形態にも様々なものがあるため、基本的には個別に大学等と企業等が協議して決定することが適切であるとしています。有給インターンシップも多様な形態のひとつとして挙げられています。ただし別途、使用従属関係等があると認められる場合など労働関係法令が適用される場合もあることに留意が必要です。
インターンシップに労働基準法は適用されますか。
適用される場合があります。3省合意は、取組の実施にあたり、受け入れる企業等と学生の間に使用従属関係等があると認められる場合など、労働関係法令が適用される場合もあることに留意する必要があり、その場合には企業等において労働関係法令が遵守される必要があるとしています。就業体験要件を満たすために実際の業務を任せるほど、この論点は近づきます。任せる内容と時間管理の形について、社会保険労務士等に確認してください。
出典
- *1 参考:文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」(令和4年6月13日一部改正)(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000949684.pdf)。4類型の整理、企業等における意義、学生を受け入れる企業等における留意事項(実施体制・経費・災害補償・労働関係法令の適用・公正性のルールづくり・タイプ3の実施時期)の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります」(概要資料)(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000986401.pdf)。3省合意改正のポイント、4類型の目的の違い、タイプ3で学生情報を使用するための5つの基準、活用例と適用時期の一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html)。3省合意文書および関連する指針・リーフレットの入手先として(2026年8月確認)