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プロフェッショナル人材戦略拠点はなぜ45道府県に置かれたのか
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 45道府県に窓口がある:地域企業の人材ニーズを具体化する拠点です*1。
- 相談は累計13万件超:成約の累計は37,568件とされています*1。
- 民間データが混ざる:副業の倍率と効果の数値は公的統計ではありません*1。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
地方でエンジニアを採ろうとすると、応募が集まる前に相談先で行き詰まることがあります*2。公的な入口として、各道府県にプロフェッショナル人材戦略拠点が置かれています*1。
内閣官房と内閣府の資料では、45道府県が拠点を設置しているとされています*1。地域企業を訪問して人材ニーズを明確化し、提携する人材紹介会社へ情報発信する仕組みです*1。
実績も公表されています*1。相談の累計は132,211件、成約の累計は37,568件とされています*1。
本記事では、拠点の仕組み、活用のステップ、決まっている条件の幅、そして資料に混ざる民間データの読み方を公表資料で確かめます*1*2*3*4。
要員計画の立て方そのものは要員計画に必要な4つの数字と決める順番で整理しました*2。
目次
45道府県に置かれた相談先
まず、何をする組織かです。
設置の状況はこうです*1。45道府県が「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、地域企業に対し、経営戦略の策定支援やデジタル実装にも資する人材等のプロフェッショナル人材の活用支援活動を行うとされています*1。
事業の目的も書かれています*3。各道府県に拠点を設置し、地域の関係機関等と連携しながら、地域企業の「攻めの経営」への転身を後押しするとしています*3。
その手前の狙いも示されています*3。地域に新たな質の高い雇用を生み出し、「ひと」と「しごと」の好循環を創出していくことが出発点だとしています*3。
マッチングは自前ではありません*3。プロフェッショナル人材の活用について経営者の意欲を喚起し、民間人材ビジネス事業者等を通じてマッチングの実現をサポートするとしています*3。
拠点の動き方も示されています*1。各拠点は、地域企業の経営者を対象にセミナー等の活動を行いつつ企業を訪問し、事業継続・成長に資する業務効率化や競争力強化を促すとされています*1。
そのうえで人材ニーズを整えます*1。実行に必要なプロ人材ニーズを明確化し、優良な雇用機会として提携人材紹介会社へ情報発信するとしています*1。
運営する人にも特徴があります*1。地域金融機関OBや地元企業OBなど、地域経済を熟知した人材が運営するとされています*1。
姿勢も明記されています*1。「待ちの姿勢」ではなく積極的に地域企業の課題を「聞きに行く姿勢」でニーズを把握するとしています*1。
担い手の呼称も置かれています*1。拠点にはプロフェッショナル人材戦略マネージャーが配置され、地域金融の連携による情報基盤を持つとされています*1。
スキームの順序も図示されています*1。地域の中堅・中小企業の経営者との対話を通じて経営課題を抽出し、人材ニーズの具体化を図ってプロ人材の活用を提案する流れです*1。
紹介会社側の動きも描かれています*1。拠点からのきめ細かな情報をもとに、登録者からニーズにマッチするプロ人材を紹介するとされています*1。
連携先も書かれています*1。地域金融機関や都市部大企業と結び、在籍型出向や研修、副業・兼業での参画といった形が挙げられています*1。
次に、企業側から見た手順です*2。
使う側の手順は4段
ポータルサイトに順序が示されています。
1段目は相談です*2。幅広い経営課題について、プロフェッショナル人材戦略拠点に相談するとされています*2。
入口が「求人」ではない点が特徴です*2。人材の要件ではなく、経営課題から入る設計になっています*2。
2段目で人材要件に落とします*2。企業課題の解決に資する人材ニーズを、拠点とともに具体化するとされています*2。
3段目がマッチングです*2。各関係機関と連携した拠点のサポートにより、ニーズに合った人材とマッチングするとされています*2。
4段目は入社後です*2。マッチング後も、社内での人材の活躍や定着に向けて継続的に相談可能だとしています*2。
相談先は都道府県ごとに分かれています*4。ポータルサイトの拠点紹介から、各道府県の相談先情報を確認できます*4。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 幅広い経営課題について、拠点に相談する |
| 2 | 企業課題の解決に資する人材ニーズを、拠点とともに具体化する |
| 3 | 関係機関と連携した拠点のサポートで、ニーズに合った人材とマッチングする |
| 4 | マッチング後も、社内での活躍や定着に向けて継続的に相談する |
内閣府 プロフェッショナル人材戦略ポータルサイトより作成(確認日2026年9月1日)*2。
交付金の枠組みも動いています*3。地方創生のページでは、交付金のプロフェッショナル人材事業型について、交付対象事業の決定が回ごとに公表されています*3。
公表の実例も並んでいます*3。令和5年度は第1回が令和5年3月29日、第2回が令和5年8月2日、令和6年度は第1回が令和6年3月28日に公表されています*3。
次に、どれくらい使われているかです*1。
相談13万件、成約3.7万件
累計の数字が公表されています。
相談の累計はこうです*1。説明会資料のグラフでは、相談累計件数が132,211件とされています*1。
成約はその一部です*1。成約累計件数は37,568件と示されています*1。
期間は10年近くに及びます*1。グラフは平成27年から令和6年までの推移として描かれています*1。
集計の粒度にも注記があります*1。令和5年度以前は四半期ごとに表示しているとされています*1。
この数字は累計であって単年の実績ではありません*1。年度ごとの動きは別のグラフで示されています*1。
事業の開始時期も読み取れます*1。平成27年から数えている点で、10年規模で続いている枠組みだと分かります*1。
公表資料の時点も押さえます*1。この資料は令和7年度の地域力創造に関する施策説明会のもので、令和8年1月27日の日付が入っています*1。
数値は時点で入れ替わります*1。社内で引用する場合は、資料名と日付を添えて扱います*1。
市場全体の状況と並べる場合はITエンジニア採用の難易度|職業別の求人データはどこまで語るかの公的統計を使います*1。
次に、実際にどんな条件で決まっているかです*1。
決まっている条件の幅
資料には成約の中身も載っています。
集計の範囲が先に示されています*1。令和5年度事業実績によるもので、不明や非開示は分母から除外しているとされています*1。
資料自身の要約はこうです*1。常勤雇用での年収は500万円未満、副業・兼業での月収は10万円以下が中心だとしています*1。
常勤雇用の分布も出ています*1。400万円以下が42%、400万円台が31%、500万円台が14%、600万円台が7%と続きます*1。
高い帯は薄くなります*1。700万円台が3%、800万円以上が2%です*1。
副業・兼業は月収で示されています*1。10万円以下が85%、10万円台が8%、20万円台が2%でした*1。
それより上の帯はごく薄くなります*1。30万円台が0%、40万円台が2%、50万円以上が3%です*1。
任される仕事の傾向も書かれています*1。プロ人材のミッションでは、常勤雇用は生産性向上が多く、副業・兼業では販路拡大が多いとしています*1。
ここから読めるのは、拠点経由の成約が高額な条件に偏っていないことです*1。年収レンジの前提が自社と合うかを先に確かめられます*1。
逆に言えば、都市部の相場で採ろうとする案件には向かない場面もあります*1。資料の分布は、そのまま自社の提示額の目安にはなりません*1。
次に、資料がどんな前提を置いているかです*1。
資料が置いている前提
説明会資料には認識の部分もあります。
出発点は人口です*1。人口の減少や若年人口の減少と、それに伴う労働供給の不足を挙げています*1。
踏み込んだ表現もあります*1。これらはおそらく非可逆なものであり、当たり前のように人が採用できる時代は戻ってこない、としています*1。
そこから生産性の話につながります*1。人が確保できることを前提とした事業の在り方から、少ない人数でも成果を出せるよう生産性の向上を図るべきだとしています*1。
その先も描かれています*1。生産性向上等により得られた成果を配分し、良質な雇用を生み出していくことが地域経済の振興につながるとしています*1。
ただし実行の難しさも認めています*1。販路の拡大や新事業開発、業務効率化等が必要になるが、地域企業の限られたリソースの中でそれに取り組むのは困難だとしています*1。
自社だけでは難しいとも書かれています*1。デジタル技術をはじめとした進化のスピードは速く、自社の人材のみでの対応は難しいとしています*1。
結論は外部人材です*1。足りない経験や知見は外部の人材の力を借りながら対応を進めるのが有効だとしています*1。
ただし障壁も挙げています*1。地域企業では年収の高いプロ人材を高額な手数料や報酬を払って活用するハードルが高く、また使いこなすことも難しいとしています*1。
その理由も添えられています*1。任せる仕事が常にある訳ではない、という点です*1。
そこで副業・兼業が挙がります*1。大企業等で活躍する人材に業務委託契約で従事してもらう形態が、有用なソリューションとなり得ると考えるとしています*1。
費用の例示もあります*1。常勤が月25万円で期限なし、副業・兼業が月3万円から5万円で期間3か月という比較が示されています*1。
利点は3つ挙げられています*1。必要な業務を必要な時だけ依頼できること、常勤で人を雇うより費用を抑えられること、業務委託契約であれば契約の見直しができることです*1。
依頼の言い方も例示されています*1。「半年で人事制度を構築します」「3か月でECサイトを立ち上げます」といった、期間と成果で区切る形です*1。
見直しが必要になる場面も挙がっています*1。予定より早くプロジェクトが終わった場合や、相性が合わなかった場合です*1。
受け入れ側の手順は副業人材の受け入れ、後から契約する側の違いで整理しました*1。
次に、資料に混ざる数値の出所です*1。
引用されている民間データの扱い
ここは読み方に注意が要ります。
2つの数値が引かれています*1。副業・兼業の求人倍率と、受け入れた企業での効果です*1。
倍率はこう書かれています*1。副業・兼業の求人倍率は1倍以下であり、1案件に9倍の副業人材が登録している状況にあるとしています*1。
ただし出所は民間です*1。注記では、ある人材会社が提供する副業プラットフォームにおける2023年4月1日から2024年2月29日までの登録案件と副業人材のデータに基づくとされています*1。
効果の数値も引かれています*1。受け入れを実際にした企業のうち64.3%が業績・生産性向上につながっているとしています*1。
内訳も示されています*1。向上につながっているが14.3%、どちらかといえばつながっているが49.7%です*1。
こちらも出所は民間調査です*1。注記では、ある人材会社の兼業・副業に関する動向調査(2022年)が挙げられています*1。
つまり、この2つは特定のサービスの登録データと民間の意識調査です*1。全国の求人全体や事業所全体を代表する公的統計ではありません*1。
社内資料に転記するときは、出所と調査年をそのまま添えます*1。官庁資料に載っていたという理由だけで、公的統計と同じ重みでは扱えません*1。
公的統計と混ぜないほうが議論は安定します*1。市場の量は職業別の求人データ、体感は民間調査、と置き場所を分けます*1。
最後に、使う側が決めておく点を挙げます*1*2。
相談する前に決めておく3点
準備しておくと話が早く進みます。
第1に、経営課題の言語化です*2。拠点は人材要件ではなく幅広い経営課題から入る設計なので、何に困っているかを先に整理します*2。
要件はその後で構いません*2。人材ニーズは拠点とともに具体化する段階が用意されています*2。
第2に、常勤か副業・兼業かの見当をつけることです*1。常勤雇用は生産性向上、副業・兼業は販路拡大が多いという傾向が示されています*1。
条件の幅も先に見ておきます*1。常勤雇用の年収は500万円未満が中心という分布が公表されています*1。
第3に、受け入れ後の体制です*2。拠点はマッチング後も定着に向けて継続的に相談できるとしていますが、社内で誰が受け入れるかは自社で決める必要があります*2。
相談先の探し方も決まっています*2。ポータルサイトの日本地図から各都道府県をクリックすると、その地域の相談先情報を確認できます*2。
費用の支援もあります*1。令和7年度から、拠点を通じた副業・兼業人材の活用について、人材事業者へ払う紹介手数料や副業人材への報酬・交通費・旅費を対象とする補助が設けられたとしています*1。
条件は限定されています*1。対象は拠点を通じた案件のみで、契約期間は5か月を上限、1件あたりの上限額は50万円、補助率は10分の8を上限とするとされています*1。
対象企業にも条件があります*1。過去に拠点を通した副業人材活用を行ったことのない企業が対象とされています*1。
出向という形もあります*1。資料は在籍型出向も参画の形として挙げており、仕組みは在籍型出向が労働者供給でも禁止されない4つの目的で扱いました*1。
転居を伴う採用を考える場合は移住支援金の対象求人|地方の採用で使える枠の作り方も併せて確認します*1。
拠点を使っても、要件を書き、面接し、受け入れる作業は社内に残ります。相談が進むほど、社内の手数が要る場面は増えます。
職種によっては、期間を区切って外部の実務経験者に任せる選択肢もあります。立ち上げの時期だけ委託して、社内は判断に集中する形です。
制度の側は公表資料で確かめられます*1*2*3*4。社内の側は、いま困っているのが人手なのか知見なのかを1行で書くところから始めてください*2。
資料の結びも相談を促す文になっています*1。人材にかかる課題については各道府県のプロフェッショナル人材戦略拠点に相談してほしい、と締めくくられています*1。
まとめ:プロフェッショナル人材戦略拠点の要点
第一に、位置づけです。内閣官房と内閣府の資料では、45道府県が「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、地域企業に対しプロフェッショナル人材の活用支援活動を行うとされています。各拠点は地域企業の経営者を訪問して人材ニーズを明確化し、提携する人材紹介会社へ情報発信します。拠点は地域金融機関OBや地元企業OBなど地域経済を熟知した人材が運営し、「待ちの姿勢」ではなく課題を聞きに行く姿勢でニーズを把握するとされています。第二に、手順です。ポータルサイトでは、幅広い経営課題について拠点に相談し、人材ニーズを拠点とともに具体化し、関係機関と連携したサポートでマッチングし、マッチング後も定着に向けて継続的に相談できる、という4段が示されています。第三に、実績です。説明会資料のグラフでは、相談累計件数が132,211件、成約累計件数が37,568件とされ、平成27年から令和6年までの推移として描かれています。第四に、条件の幅です。令和5年度事業実績では、常勤雇用での年収は500万円未満、副業・兼業での月収は10万円以下が中心とされ、常勤雇用は400万円以下が42%、400万円台が31%でした。不明や非開示は分母から除外して集計されています。第五に、数値の出所です。資料が引く副業・兼業の求人倍率と受入効果は、特定の副業プラットフォームの登録データと民間の動向調査によるもので、全国を代表する公的統計ではありません。社内で引用する際は出所と調査年を添えて扱う必要があります。
よくある質問
プロフェッショナル人材戦略拠点はどこにありますか。
内閣官房と内閣府の説明会資料(令和8年1月27日)では、45道府県が「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置しているとされています。相談先は都道府県ごとに分かれており、内閣府のプロフェッショナル人材戦略ポータルサイトにある拠点紹介から、各道府県の情報を確認できます(確認日2026年9月1日)。
どんな流れで使うのですか。
ポータルサイトでは4段の流れが示されています。幅広い経営課題について拠点に相談し、企業課題の解決に資する人材ニーズを拠点とともに具体化し、各関係機関と連携した拠点のサポートによりニーズに合った人材とマッチングし、マッチング後も社内での人材の活躍や定着に向けて継続的に相談できる、という順序です。入口が求人ではなく経営課題である点が特徴です。
どれくらいの実績がありますか。
令和8年1月27日の施策説明会資料のグラフでは、相談累計件数が132,211件、成約累計件数が37,568件とされています。グラフは平成27年から令和6年までの推移として描かれ、令和5年度以前は四半期ごとに表示しているとの注記があります。いずれも累計であり単年の実績ではないため、引用する際は資料名と日付を添える必要があります。
成約している人材の条件はどれくらいですか。
同資料の令和5年度事業実績では、常勤雇用での年収は500万円未満、副業・兼業での月収は10万円以下が中心とされています。常勤雇用の分布は400万円以下が42%、400万円台が31%、500万円台が14%、600万円台が7%で、副業・兼業は月収10万円以下が85%でした。不明や非開示は分母から除外して集計されています。
資料にある副業の求人倍率はそのまま使えますか。
出所を添えて扱う必要があります。資料は副業・兼業の求人倍率が1倍以下で、1案件に9倍の副業人材が登録している状況にあるとしていますが、注記では、ある人材会社が提供する副業プラットフォームにおける2023年4月1日から2024年2月29日までのデータに基づくとされています。受入効果の64.3%も民間の動向調査(2022年)で、いずれも全国を代表する公的統計ではありません。
出典
- *1 参考:内閣官房地域未来戦略本部事務局・内閣府地方創生推進室「プロフェッショナル人材事業について」(令和7年度 地域力創造に関する施策説明会・令和8年1月27日/確認日2026年9月1日)(https://www.soumu.go.jp/main_content/001052618.pdf)。45道府県の設置状況、拠点の運営体制とスキーム、相談と成約の累計、令和5年度事業実績の年収・月収分布、副業・兼業に関する記述と引用元の注記、補助の条件の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:内閣府 プロフェッショナル人材戦略ポータルサイト(確認日2026年9月1日)(https://www.pro-jinzai.go.jp/)。活用のステップ4段と、都道府県別の相談先の入口の一次情報として(2026年9月確認)
- *3 参考:地方創生「プロフェッショナル人材事業」(確認日2026年9月1日)(https://www.chisou.go.jp/tiiki/projinzai/index.html)。事業の概要と目的、民間人材ビジネス事業者等を通じたマッチング、交付金の交付対象事業の公表の一次情報として(2026年9月確認)
- *4 参考:内閣府 プロフェッショナル人材戦略ポータルサイト「拠点紹介」(確認日2026年9月1日)(https://www.pro-jinzai.go.jp/kyoten/)。都道府県ごとの相談先が一覧で示されていることの一次情報として(2026年9月確認)