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2026.09.09 採用支援コラム

AI導入の体制の作り方|使い道を判断する担当者の決め方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

無人の管制室で長い操作卓と空の椅子が並んでいる様子

この記事の結論

  • AI導入・利活用を主導しているのはIT部門の長が46.0%で、CAIOは2.9%にとどまります。
  • AI投資を増やしている企業は51.3%ですが、売上に対する割合は1%未満が56.8%です。
  • まず判断する人を1人決め、次にデータの整備などの実務を担当者に割り振ると、体制を作りやすくなります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

AIを試すところまでは進んだのに、使い方を判断する担当者がいない。現場から要望が上がるたびに、兼務の担当者が関係者を集めて話し合っている——。AIの導入を始めた企業では、こうした状態が起こりがちです。AI導入の体制とは、AIを何に使うかを決める人と、導入に必要な作業を担う人の組み合わせを指します。

体制が決まっていれば、要望を受けてから判断するまでの流れが毎回同じになり、試した結果を次の判断に生かしやすくなります。ただし万能ではなく、決める人を置いても、判断の材料になるデータが手元に無ければ判断は進みません。本記事では、AIの導入を担う実務担当者に向けて、誰が導入を主導しているか、投資と学習データの状況、体制を作る手順、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

AI導入の体制とは

AI導入の体制は、導入を主導する人が兼務か専任かで、2つの形に分けられます。兼務の形は、IT部門の長や、AIを使う現場の長が、いまの仕事と並行してAIの導入を主導する形です。経営層が自ら主導する場合もあります。専任の形は、AIの活用を主な仕事とする人を置く形で、CAIO(AI活用を統括する責任者)のような役職を新たに設ける場合もあります。

どちらの形でも、まず判断する人を1人置き、その人が次の3点を決めます。AIを何の作業に使うか、どの情報をAIに入力しないか、AIが出した結果を誰がどう確かめるか、の3点です。この3つが決まっていないと、要望が上がるたびに同じ話し合いを繰り返すことになります。

一方で、学習データ(AIに読み込ませて、回答や判断に使わせるデータ)の整備や、結果を確かめる手順づくりのような実務の作業は、判断する人とは別の人が担ってもかまいません。判断することと実務の作業を分けて考えると、社内で担うことと外部に頼めることを分けられます。

誰がAI導入を主導しているのか

IPA(情報処理推進機構)が2026年7月30日に公開した「DX動向2026」は、AI導入・利活用を誰が主導しているかを企業に尋ねています。*1 調査は2026年4月17日から6月12日に日本の企業を対象に行われ、有効回答数は1,799でした。*3 ここで見る設問の集計対象は、AIを導入している企業、試験利用をしている企業、利用に向けて検討を進めている企業です。*2

IPA「DX動向2026」の図表3-23・3-21・3-22・3-24・3-15から作成した図。調査は日本の企業を対象に2026年4月17日から6月12日に実施、調査対象数10,000、有効回答数1,799で、集計対象はAIを導入している・試験利用をしている・利用に向けて検討を進めている企業。AI導入・利活用のリーダーシップ体制(複数回答、5項目の合計は118.3)はIT部門の長46.0%、経営層32.1%、導入や利活用する現場の長27.5%、CAIO以外の専任者9.8%、CAIO2.9%。AI投資は大幅に増加18.0%とやや増加33.3%で増加している51.3%、ほぼ横ばい33.6%。売上に対するAI投資額の割合は1%未満56.8%、そのうち0.3%未満49.5%(任意回答で18.1%以上を外れ値として除外)。官民による投資を期待する分野は情報セキュリティ対策58.4%、AI関連人材の育成53.0%、エージェントAI33.5%、LLMや基盤モデルの開発26.9%。学習データの整備状況は整備しておりAIに活用している7.0%、整備しているが十分ではない28.4%、必要性は認識しているができていない27.6%。AI導入の体制を作る4つの手順として、判断する人を1人決める、その人が決めることを3つに絞る、実務の作業を書き出していつまでに終えるかを決める、書き出した作業を担う人を探し必要なら外部に委託する、を示す。

AI導入を主導している人として最も多かったのは「IT部門の長」で46.0%でした。次いで「経営層」が32.1%、「導入や利活用する現場の長」が27.5%です。専任の側は少なく、「CAIO以外の専任者」が9.8%、「CAIO」が2.9%で、どちらも1割に届きません。*2 複数回答のため、「CAIO」と「CAIO以外の専任者」を足しても専任の割合にはなりません。

資料も、AI導入・利活用はIT部門主導が多く、AI利活用を専門的に主導する体制が整っている企業はまだ少ない状況にある、とまとめています。*2 IT部門の長が兼務で主導する形では、AIについての判断を、本来の仕事の合間に行うことになります。なお、この設問は体制と成果の関係を尋ねたものではないため、兼務だから導入が遅いとまでは言えません。

AI投資の増え方と規模

同じ資料で、AI投資の増減を見ると、「大幅に増加している」が18.0%、「やや増加している」が33.3%で、「増加している」の合計は51.3%でした。資料は、半数以上の企業がAI投資を増加させているとしています。一方で「ほぼ横ばい」も33.6%ありました。*2

投資の規模も見ておきます。売上に対するAI投資額・費用の割合は、1%未満が56.8%で、そのうち0.3%未満が49.5%と半分近くを占めます。*2投資を増やした企業と、売上に対する割合が1%未満の企業がどれだけ重なるかは公表されていません。

2つの結果からは、投資を増やす動きはあるものの、売上に対する規模はまだ小さい企業が多いことが分かります。投資の規模が小さいうちは、新しい役職を設けることから始めるより、いまいる社員から判断する人を1人選び、実務の作業は担当者を別に探すほうが取り組みやすいでしょう。

学習データの整備状況

資料によると、AI利活用に向けた学習データについて「整備しておりAIに活用している」と答えた企業は7.0%で、1割に届きません。「整備しているが十分ではない」が28.4%、「必要性は認識しているができていない」が27.6%と、途中の段階にある企業のほうが多くなっています。*2 資料は、学習データを整備してAIに利活用している企業のほとんどが、期待と同等かそれ以上の効果を得られているとも述べています。*2

体制の話に戻すと、判断する人を置いても、判断の材料になるデータが整っていなければ、AIを何に使うかを決めきれません。データを整える作業の担当者は、判断する人を置くのと同時に決めておくとよいでしょう。AIの導入で社内に足りない人材については、「AI人材の採用で不足しているもの」で同じ資料の別の設問をもとに扱っています。

体制をどう作るのか

ここまでの結果をもとに、AI導入の体制を作る手順を4つに分けました。最初の2つが判断することの整理、後の2つが実務の作業の整理です。

AI導入の体制を作る4つの手順
手順 行うこと 担う人
1 判断する人を1人指名する。肩書きを新しく設けなくてもよい 社内
2 その人が決めることを、何に使うか、どの情報を入力しないか、結果をどう確かめるかの3つに絞る 社内
3 学習データの整備や、結果を確かめる手順づくりなど、実務の作業を書き出し、それぞれいつまでに終えるかを決める 社内
4 書き出した作業を担う人を探す。社内で足りなければ外部に委託する 社内または外部

1つ目の手順では、最終的に判断する人を、個人として1人指名します。専任で主導する人を置いている企業は1割に届かず、多くの企業では兼務の担当者が主導しています。複数の部門長が並んで主導する形のままだと、判断のたびに全員の予定を合わせることになります。

2つ目の手順で決めることを3つに絞るのは、兼務の担当者が判断に使える時間に限りがあるためです。何に使うか、どの情報を入力しないか、結果をどう確かめるかが決まっていれば、個々の要望は、その3つに照らして現場で判断できるようになります。

3つ目と4つ目の手順では、学習データの整備のような作業ごとに、何をするかと、いつまでに終えるかを書き出します。たとえば「問い合わせの記録をAIに読み込ませられる形に整える作業を、次の四半期のうちに終える」のように書いておくと、社内で担えるか、外部に頼むかを判断しやすくなります。作業を担う人数の見積もり方は、「要員計画に必要な4つの数字と決める順番」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、役職だけを新しく設けて、作業を担う人を増やさないことです。CAIOのような役職を置いても、学習データの整備や結果を確かめる作業をする人がいなければ、判断する人の手元に材料がそろいません。役職を設けるかどうかより先に、実務の作業を誰が担うかを決めておきます。

二つ目は、決めることまで外部に委ねてしまうことです。AIを何に使うか、どの情報を入力しないかは、自社の業務と情報の扱いに関わる判断なので、社内に残します。外部に委託するのは、書き出した作業のうち、中身と期限がはっきりしたものからにすると、委託先とのやり取りも進めやすくなります。

まとめ:AI導入の体制で確かめておきたい3つの点

AI導入の体制を作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、最終的に判断する人を1人に絞り、その人が決めることを、何に使うか、どの情報を入力しないか、結果をどう確かめるかの3つにすること。第二に、学習データの整備や結果を確かめる手順づくりのような実務の作業を、何をするかといつまでに終えるかで書き出すこと。第三に、決めることは社内に残し、書き出した作業のうち社内で担えないものを外部に委託することです。この3点を踏まえておけば、「AIを試してはみたが、誰も決められないまま止まっている」という事態を避けやすくなります。作業の担い手の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

決める人と決めることを社内で絞ったあとも、学習データの整備や結果を確かめる手順づくりを誰が担うかが残ります。兼務の担当者の手が空くのを待たずに、書き出した作業を外部の専門人材に任せる方法も、選択肢に入れておけます。

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よくある質問

調査の数値は、すべての企業の割合ですか

すべての企業の割合ではありません。集計対象は、AIの導入状況の設問で「導入している」「現在、試験利用をしている」「利用に向けて検討を進めている」を選んだ企業です。*2 売上に対するAI投資額の割合は任意回答で、18.1%以上の回答は極端な値として集計から除いています。*2

調査はどのような企業を対象に行われましたか

IPAの「DX動向2026」のデータ集によると、調査対象数は10,000で、企業データベースから業種や従業員規模で割り付けてランダムに抽出しています。回答者として想定しているのは、自社のDXの推進状況を把握している部署の責任者と、人材の状況を把握している部署の責任者です。*3

官民による投資では、どのAIの分野が期待されていますか

最も多いのは「情報セキュリティ対策」の58.4%で、「AI関連人材の育成」が53.0%で続きます。「エージェントAI」は33.5%、「大規模言語モデル(LLM)や基盤モデルの開発」は26.9%でした。*2 資料は、専門人材の不足やガバナンス(AI利用のルールと管理の仕組み)整備の遅れといった、AIの導入で直面している課題がこの期待に表れているとみています。

決める人は、新しく採用する必要がありますか

必ずしも採用から始める必要はありません。いまの担当者の中から1人を決め、その人が決めることを絞るところから始められます。新しく採用や委託を考えるのは、学習データの整備のような実務の作業を担う人が社内で足りないときからでも遅くはありません。

AI導入の体制を相談したいとき

社内に残して決めることと、外部に任せる作業の切り分けからご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:IPA「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。出典:IPA「DX動向2026」の公開ページ。公開日(2026年7月30日)と収録章の構成を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「DX動向2026」(本文)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf)。出典:同資料の本文。図表3-23(リーダーシップ体制、複数回答)、図表3-22(AI投資の増減)、図表3-21(売上に対するAI投資額・費用の割合。任意回答で、3シグマを基準に18.1%以上を外れ値として除外)、図表3-15(学習データの整備状況)、図表3-24(官民による投資を期待するAIの分野)の記述を参照。いずれも集計対象はAIを導入・試験利用・検討中の企業(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「DX動向2026」(データ集)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-data-collection-2026.pdf)。出典:同資料のデータ集(2026年7月30日第1版)。調査対象、調査期間(2026年4月17日〜6月12日)、調査項目数、調査対象数(10,000)、有効回答数(1,799)、抽出方法、想定回答者を参照(2026年9月確認)




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