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AI導入の体制|CAIOは2.9%、IT部門の長が46.0%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 主導はIT部門の長46.0%:CAIOは2.9%にとどまります*2。
- 投資は51.3%が増やす:売上比は1%未満が56.8%です*2。
- 学習データは7.0%:整備してAIに使えている割合です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
AIを試すところまでは進んだのに、誰が決めるのかが決まっていない。体制の話でよく詰まる場所です。
情報システムの部門長が兼務で見ている。現場からは要望が上がる。決めが必要になると、そのたびに関係者を集めることになります。
手がかりは、AI導入と利活用を誰が主導しているかを企業に聞いた調査です。
IPAの資料では、リーダーシップ体制として「IT部門の長」が46.0%で挙がりました*2。「CAIO」は2.9%です*2。
資料も、AI利活用を専門的に主導する体制が整っている企業はまだ少ないと述べています*2。
目次
誰がAIの舵を取るか決まっていない
試すところまでは進みます。使えそうな道具を選んで、一部の作業で回してみるところまでです。
止まるのはその次です。どこまで任せるか、何を渡さないかを決める人が置かれていません。
この体制を集計した資料があります*1。IPAの「DX動向2026」で、2026年7月30日に公開されました*1。
データ集も同じ日に発行されています*3。2026年7月30日の第1版です*3。
調査の時期も示されています*3。2026年4月17日から6月12日にかけて実施されたものです*3。
規模も書かれています*3。調査対象数は10,000で、有効回答数は1,799でした*3。
抽出の仕方も示されています*3。企業データベースから業種や従業員規模で割付けて、ランダムに抽出したとされています*3。
想定回答者も示されています*3。自社のDXの推進状況を把握している部署の責任者と、人材の状況を把握している部署の責任者です*3。
今回見るのは第3章です*2。AIとデータの利活用を扱う章のうち、体制と投資の節になります*2。
数値の扱いも断っておきます*2。この資料の図は数値が図の中に描かれていて、文字として取り出せません*2。
ですからこの記事では、資料の本文が文章で述べている値だけを引いています*2。項目ごとの全区分の内訳は載せていません*2。
利用の条件も示されています*1。この資料は著作権上の保護を受けており、引用や転載についてはIPAのウェブサイトの記載を参照するよう求められています*1。この記事では出所を明示しています*1。
集計対象と、複数回答の読み方
先に母集団を確かめます*2。ここで見る図表は、いずれも全回答者を対象にしたものではありません*2。
条件が示されています*2。AIの導入状況の設問で「導入している」「現在、試験利用をしている」「利用に向けて検討を進めている」を選択した企業が対象です*2。
つまり、まだ手を付けていない企業は入っていません*2。すでに触っている側の中での分布として扱います*2。
1つだけ条件が違う図表があります*2。売上に対するAI投資額の割合は任意回答で、さらに3シグマを基準として18.1%以上を外れ値として除外していると書かれています*2。
回答の形も押さえます*2。リーダーシップ体制の5つの値を足すと118.3になります*2。複数回答なので、足し合わせて読む値ではありません*2。
ですから「専任がいる企業は何%」という形にはできません*2。同じ企業が複数を選んでいる可能性があるためです*2。
この記事では、項目ごとの割合として並べます*2。組み合わせは資料に示されていないため扱いません*2。
表記も1つ断ります*2。資料はCAIOに日本語の役職名を併記していますが、この記事では略称のCAIOだけを使います*2。
主導はIT部門の長46.0%、CAIOは2.9%
体制から見ます*2。上端は「IT部門の長」で46.0%でした*2。
2番目は「経営層」です*2。32.1%になります*2。
3番目は「導入や利活用する現場の長」でした*2。27.5%です*2。
専任の側は低い値です*2。「CAIO以外の専任者」が9.8%、「CAIO」が2.9%でした*2。
どちらも1割に届きません*2。ただし複数回答なので、2つを足して「専任は12.7%」という形にはしていません*2。
資料もここをまとめています*2。AI導入・利活用はIT部門主導が多く、AI利活用を専門的に主導する体制が整っている企業はまだ少ない状況にある、と述べています*2。
実務に引き寄せます。IT部門の長が主導する形では、決めがその人の空き時間に乗ります。要望が上がるたびに関係者を集める形になりやすいのはここです。
ただし資料からは、IT部門主導だと遅いとは書けません*2。体制と成果の関係を尋ねた設問ではないためです*2。
投資は51.3%が増やす、売上比は1%未満が56.8%
投資の側も見ます*2。増減の状況では「大幅に増加している」が18.0%、「やや増加している」が33.3%でした*2。
合計は資料に明記されています*2。「増加している」の合計が51.3%で、半数以上の企業がAI投資を増加させているとされています*2。
動いていない側もあります*2。「ほぼ横ばい」が33.6%で、積極的な投資拡大には至っていない企業も3分の1を占めると書かれています*2。
次に金額の規模です*2。売上に対するAI投資額・費用の割合は、1%未満が56.8%でした*2。
その内側も示されています*2。さらに「0.3%未満」が49.5%で、半分近くを占めるとされています*2。
この2つは包含の関係です*2。0.3%未満は1%未満の内側にある値で、別の区分ではありません*2。
2つの図表を並べると形が見えます*2。増やしている企業が半数を超える一方で、売上に対する規模は1%未満が半数を超えています*2。
ただし同じ企業とは限りません*2。増やした企業と、売上比が1%未満の企業が重なるかどうかは、この2つの図表からは分かりません*2。
読めるのは水準です*2。増額の動きはあるが、売上に対する規模は小さいままという水準になります*2。
期待は情報セキュリティと人材育成に向く
期待の向きも示されています*2。官民による投資を期待するAIの分野です*2。
上端は「情報セキュリティ対策」で58.4%でした*2。2番目は「AI関連人材の育成」の53.0%です*2。
新しい技術も挙がります*2。「エージェントAI」が33.5%、「大規模言語モデル(LLM)や基盤モデルの開発」が26.9%でした*2。
資料は前の節との対応も書いています*2。AI導入・運用上の課題として専門人材の不足やガバナンス整備の遅れが上位に挙がっていることから、直面する課題が官民による投資への期待にも反映されているとうかがえる、とされています*2。
ここは読み方に注意します*2。期待の向きが分かるだけで、自社の体制をどうするかは示されていません*2。
課題そのものの分布は別の記事で扱いました。AI人材の採用で不足しているのは専門家ではないで同じ資料の課題の設問を出しています。
学習データは7.0%しか使えていない
手前の条件も見ておきます*2。AI利活用に向けた学習データの整備状況です*2。
「整備しておりAIに活用している」は7.0%でした*2。1割に届きません*2。
途中の段階が厚くなります*2。「整備しているが十分ではない」が28.4%、「必要性は認識しているができていない」が27.6%です*2。
資料は効果との関係にも触れています*2。学習データを整備してAIに利活用している企業のほとんどは、期待と同等かそれ以上の効果を得られていることが分かるとされています*2。
ただし関係の向きまでです*2。どちらが先かは書かれていないため、この記事でも因果としては扱いません*2。
体制の話に戻します。決める人を置く前に、何を判断材料にするかが手元にない状態が多数だという水準になります*2。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、集計対象が絞られています*2。導入または試験利用、検討中と答えた企業だけが対象で、手を付けていない企業は含まれません*2。
第二に、複数回答です*2。リーダーシップ体制の5つを足すと118.3になるため、企業ごとの組み合わせは読めません*2。
第三に、体制と成果の関係が含まれません*2。誰が主導するとどうなるのかを尋ねた設問ではありません*2。
第四に、専任者の実態も含まれません*2。何人いるのか、何を職務としているのかは示されていません*2。
第五に、図表どうしのクロス集計がありません*2。投資を増やした企業と売上比が小さい企業の重なりは分かりません*2。
第六に、投資の図表は条件が違います*2。任意回答で、3シグマを基準に18.1%以上を外れ値として除外しています*2。
第七に、内訳の数値が取れません*2。資料の図から数値を文字として取り出せないため、本文が挙げた項目以外の値は書けません*2。
第八に、時期の範囲があります*3。調査は2026年4月17日から6月12日に実施されたもので、それより後の傾向は読めません*3。
舵取りを置く4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 項目 | 回答率 |
|---|---|
| リーダーシップ体制:IT部門の長 | 46.0% |
| リーダーシップ体制:経営層 | 32.1% |
| リーダーシップ体制:導入や利活用する現場の長 | 27.5% |
| リーダーシップ体制:CAIO以外の専任者 | 9.8% |
| リーダーシップ体制:CAIO | 2.9% |
| AI投資:増加している(大幅18.0+やや33.3) | 51.3% |
| AI投資:ほぼ横ばい | 33.6% |
| 売上に対するAI投資額の割合:1%未満 | 56.8% |
| 同:0.3%未満(1%未満の内側) | 49.5% |
| 官民投資を期待する分野:情報セキュリティ対策 | 58.4% |
| 同:AI関連人材の育成 | 53.0% |
| 学習データ:整備しておりAIに活用している | 7.0% |
1段目は、決める人を1人決めることです。肩書きを新設しなくてもかまいませんが、名前を1つに絞ります。
2段目は、その人が持つ決めを3つに絞ることです。何に使うか、何を入れないか、出てきたものをどう確かめるかの3つから始めます。
3段目は、手を動かす作業を切り出して期間で区切ることです。学習データの整備も確認の手順化も、ここに入ります。
4段目は、区切った枠を外へ出すことです。作業量が読める部分から動かします。
1段目で1人に絞る理由は、分布に出ています*2。専任で主導する側はCAIOが2.9%、CAIO以外の専任者が9.8%で、いずれも1割に届きません*2。
主導はIT部門の長の46.0%です*2。兼務で見ている形が多数だということになります*2。
その状態で肩書きを新設しても、動かす手は増えません。ですから決めを絞り、手は別に確保する形にします。
3段目に学習データを入れるのは、整備してAIに活用できているのが7.0%だからです*2。判断材料の側が薄い状態で決めだけ置くと、決めが空回りします。
実務では、3段目と4段目が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。範囲と期間を区切って渡し、片づいたら戻せるためです。
逆に、1段目と2段目を渡すと、決めが外に出ます。何を入れないかの線引きは社内に置きます。
個人の使い方が残らない側の分布は生成AIの利用は個人が63.3%、引き継ぎで残す4つの記録で扱っています。
工程ごとに導入の段階がずれる分布は工程別のAI導入の違い、実装と運用・保守で14.9ポイントで出しています。
枠を人数に置き換える段では、要員計画に必要な4つの数字と決める順番を使います。
最後に範囲を添えておきます*3。この調査は日本の企業を対象に2026年4月から6月にかけて実施されたもので、有効回答数は1,799です*3。
まとめ:決めを絞って、手は別に確保する
第一に、資料です。IPAの「DX動向2026」は2026年7月30日に公開され、データ集も同日に第1版が発行されています。調査対象は日本の企業で、調査期間は2026年4月17日から6月12日、調査項目は60問(うち回答者属性7問)、調査対象数は10,000、有効回答数は1,799でした。企業データベースから業種や従業員規模で割付けてランダムに抽出しています。第二に、集計対象です。この記事で扱った図表はいずれも全回答者ではなく、AIの導入状況の設問で「導入している」「現在、試験利用をしている」「利用に向けて検討を進めている」を選択した企業が対象でした。売上に対するAI投資額の割合だけは任意回答で、3シグマを基準として18.1%以上を外れ値として除外しています。第三に、使える範囲です。資料の図は数値を文字として取り出せないため、本文が文章で述べている値だけを引いています。第四に、体制です。リーダーシップ体制はIT部門の長46.0%、経営層32.1%、導入や利活用する現場の長27.5%、CAIO以外の専任者9.8%、CAIO2.9%でした。5つの合計は118.3になるため複数回答で、足し合わせて読む値ではありません。資料もAI利活用を専門的に主導する体制が整っている企業はまだ少ないと述べています。第五に、投資です。「増加している」の合計は51.3%、「ほぼ横ばい」は33.6%でした。売上に対する割合は1%未満が56.8%、その内側の0.3%未満が49.5%です。増額の動きはあるが、売上に対する規模は小さいままという水準になります。第六に、期待の向きです。官民による投資を期待する分野は情報セキュリティ対策58.4%、AI関連人材の育成53.0%、エージェントAI33.5%、大規模言語モデルや基盤モデルの開発26.9%でした。第七に、手前の条件です。学習データを整備してAIに活用しているのは7.0%で、整備しているが十分ではない28.4%、必要性は認識しているができていない27.6%が続きます。第八に、限界です。体制と成果の関係も、専任者の人数や職務も、図表どうしのクロス集計も資料にありません。
よくある質問
AI導入は社内の誰が主導していますか。
IPAの「DX動向2026」では、AI導入・利活用のリーダーシップ体制として「IT部門の長」が46.0%、「経営層」が32.1%、「導入や利活用する現場の長」が27.5%でした。「CAIO以外の専任者」は9.8%、「CAIO」は2.9%です。5項目の合計は118.3になるため複数回答で、足し合わせて読む値ではありません(確認日2026年9月9日)。
この数字は企業全体の割合ですか。
違います。集計対象は、AIの導入状況の設問で「導入している」「現在、試験利用をしている」「利用に向けて検討を進めている」を選択した企業です。手を付けていない企業は含まれていません。売上に対するAI投資額の割合だけは任意回答で、3シグマを基準として18.1%以上を外れ値として除外しています。
AIへの投資は増えていますか。
「大幅に増加している」が18.0%、「やや増加している」が33.3%で、「増加している」の合計は51.3%と資料に明記されています。「ほぼ横ばい」は33.6%です。一方で売上に対する割合は1%未満が56.8%、その内側の0.3%未満が49.5%でした。増額の動きはあるが規模は小さいままという水準です。
どの分野への投資が期待されていますか。
官民による投資を期待するAIの分野は、「情報セキュリティ対策」が58.4%、「AI関連人材の育成」が53.0%、「エージェントAI」が33.5%、「大規模言語モデル(LLM)や基盤モデルの開発」が26.9%でした。資料は、直面する課題が官民による投資への期待にも反映されているとうかがえると述べています。
学習データはどこまで整備されていますか。
「整備しておりAIに活用している」は7.0%で、1割に届きません。「整備しているが十分ではない」が28.4%、「必要性は認識しているができていない」が27.6%でした。資料は整備して利活用している企業のほとんどが期待と同等かそれ以上の効果を得られていると述べていますが、示されているのは関係性までです。
出典
- *1 参考:IPA「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。公開日2026年7月30日と収録章の構成、引用・転載についての記載の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「DX動向2026」(本文)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf)。図表3-23・図表3-21・図表3-22・図表3-24・図表3-15についての記述、46.0%・32.1%・27.5%・9.8%・2.9%・56.8%・49.5%・18.0%・33.3%・51.3%・33.6%・58.4%・53.0%・33.5%・26.9%・7.0%・28.4%・27.6%、各図表の集計対象と外れ値の扱いの一次情報として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「DX動向2026」(データ集)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-data-collection-2026.pdf)。調査対象・調査期間・調査項目数・調査対象数・有効回答数・抽出方法・想定回答者の一次情報として。2026年7月30日第1版発行(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ウェブサイトのご利用について」(https://www.ipa.go.jp/siteinfo.html)。引用・転載の条件として資料が参照を指示している記載の確認として。出所の明示を求めるもの(2026年9月確認)