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2026.09.09 採用支援コラム

設定を変えられるのが1人だけ|データ連携の復旧手順の残し方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

建物の外壁に沿って4本の太い配管が立ち上がっている様子

この記事の結論

  • 企業外部とのデータ連携を「実施している」割合は、取引先と1対1でつなぐ形で35.6%、地域や業種をまたぐ共通の基盤を使う形で4.6%です。
  • 連携の目的は業務の効率化や自動化が85.2%と最も多く、毎日の作業に組み込まれた連携が中心です。
  • 担当者が1人しかいない連携は、止まったときの復旧手順を社内で文書にし、接続の設定作業だけを期限を決めて委託します。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

取引先とデータをやり取りする仕組みは、毎日きちんと動いている。ただ、その設定を変えられるのは社内で1人だけ——。システムの担当者が少ない会社では、こうした状態が起こりがちです。データ連携とは、別々のシステムや会社のあいだで、受注や在庫などのデータを人の手を介さずに受け渡す仕組みを指します。

データ連携は、いちど動き出せば手がかからず、担当者が1人でも回ってしまいます。便利な仕組みですが、止まったときに原因を追えるのが作った本人だけ、ということが起きます。本記事では、データ連携を任されている担当者とその上司に向けて、企業間のデータ連携の進み具合と目的、担当者が1人に偏る理由、引き継ぎに備える手順、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

企業間のデータ連携とは

IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」は、企業外部とのデータ連携を3つの形に分けて尋ねています。*2 1つ目は「特定企業間での直接的なデータ連携」で、取引先など相手を決めて1対1でデータを受け渡す形です。2つ目は「サプライチェーン内でのデータ連携プラットフォームの利用」で、原材料の調達から販売までの取引に関わる複数の企業が、共通の仕組みを通じてデータをやり取りします。

3つ目は「地域・異業種間でのデータ連携基盤の利用」です。同じ地域の企業や、業種の違う企業が共通の基盤に参加して、データを持ち寄る形を指します。3つの形は、つなぐ相手の数が少ない順に並んでいると考えると整理しやすくなります。1対1の形は自社と相手の2社で進め方を決められますが、基盤を使う形では、参加する企業どうしでデータの形式や手順を合わせる必要があります。

どこまで進んでいるのか

「DX動向2026」は2026年7月30日に公開された調査で、日本の企業を対象に2026年4月17日から6月12日にかけて行われました(調査対象数10,000、有効回答数1,799)。*3 「実施している」と答えた割合は、特定企業間での直接的なデータ連携が35.6%、サプライチェーン内でのプラットフォームの利用が22.5%、地域・異業種間での基盤の利用が4.6%でした。*2

IPA「DX動向2026」の図表3-31・図表3-32から作成した図。企業外部とのデータ連携を実施していると答えた割合は、特定企業間での直接的なデータ連携で35.6%、サプライチェーン内でのデータ連携プラットフォームの利用で22.5%、地域・異業種間でのデータ連携基盤の利用で4.6%。35.6%と4.6%から計算すると差は31.0ポイント、倍率は約7.74倍。データ連携の目的は、業務の効率化や自動化が85.2%、既存事業の改善やサービス高度化が50.8%、新規事業やサービスの創出が24.5%(複数回答)。あわせて、担当者が1人しかいない連携を引き継げる状態にする4つの手順(止まると困る連携を1本選ぶ、接続先と止まったときの復旧手順を書く、設定を組む作業と渡すデータを決める作業を分ける、設定を組む作業を期間を決めて委託する)を示す。

35.6%と4.6%から計算すると、差は31.0ポイントです。資料は「いずれの形態においても『実施・検討していない』が過半数を占めており、企業外部とのデータ連携はまだ限定的な段階にある」と述べています。*2

いちばん進んでいる1対1の形でも、実施している企業は半数に届いていません。基盤を使う形は実施している企業が少ないため、社内に前例がないまま、最初に手がけた担当者の経験だけが頼りになることが起こりやすくなります。

何のためにつないでいるのか

調査では、データ連携の目的も尋ねています。こちらの集計は、どれかの形を「実施している」か「実施を検討している」と答えた企業が対象です。*2 最も多いのは「業務の効率化や自動化」で85.2%、次いで「既存事業の改善やサービス高度化」が50.8%、「新規事業やサービスの創出」が24.5%でした(複数回答)。*2

資料はこの結果について、「データ連携においても目的は社内の業務効率化といった『内向き』が多数を占めている」と述べています。*2 85.2%と24.5%から計算すると、差は60.7ポイントです。

効率化のための連携は、毎日の作業の中に組み込まれています。たとえば取引先から届く受注データの取り込みが止まれば、その日の出荷や請求の作業も進められません。人が手で入力していたころのやり方に戻そうにも、その手順を覚えている人がもういないこともあります。止まったときの復旧手順を書き残しておく必要は、この種類の連携で特に大きくなります。

なぜ担当者が1人に偏るのか

1対1のデータ連携は、自社と相手の担当者どうしで話がまとまれば動き始めます。社内で何度も会議を開かなくても進められるぶん、手順が文書として残りにくい形でもあります。データの送り先、受け渡すデータの形式、エラーが出たときに問い合わせる相手が、作った本人の記憶にしかない状態になりがちです。

しかも、いちど動き出した連携は、止まらないかぎり誰も触りません。担当者が異動や退職でいなくなるまで、1人しか分からない仕組みだったことに誰も気づかない場合もあります。文書を書く作業は、いつも後回しになります。

後任を採用で探すときにも、この状態が妨げになります。どのシステムと、どんなデータを、どのくらいの頻度でやり取りしているのかが書かれていなければ、求人票に必要な経験を書けません。面接でも、候補者の経験が自社の連携に合うかどうかを確かめる質問が作れず、採用してから「思っていた仕事と違う」と言われる原因にもなります。

引き継ぎにどう備えるのか

担当者が1人しかいない連携を引き継げる状態にするには、次の4つの順で進めると取り組みやすくなります。

  1. 止まると困る連携を1本選ぶ
  2. 接続先と、止まったときの復旧手順を書く
  3. 設定を組む作業と、渡すデータを決める作業を分ける
  4. 設定を組む作業を、期間を決めて委託する

最初からすべての連携を書き出そうとすると、作業が終わらないまま止まりがちです。まずは、止まるとその日の業務が進まなくなる連携を1本だけ選びます。目的の集計で業務の効率化や自動化が85.2%と最も多かったことを考えても、社内の作業に組み込まれた連携から手を付けるのが現実的です。*2

2つ目の手順で作る文書には、相手先の連絡窓口、データを受け取る場所と形式、止まったときに最初に見る処理の履歴、止めてよい処理と止めてはいけない処理を書きます。誰に連絡し、どこを見て、何を止めるのかが1枚にまとまっていれば、作った本人がいなくても最初の対応ができます。

3つ目は、作業を2種類に分けることです。接続の設定を組む作業は、手順が決まれば別の人でも担当できます。一方、どのデータを相手に渡し、どのデータを渡さないかを決める作業は、取引先との約束や社内の規程にかかわるため、社内の担当者が受け持ち続けます。

4つ目に、設定を組む作業のほうを、期間を決めて外部の専門人材に委託します。作業の量を見積もれる部分から任せれば、委託が終わったあと、社内の担当者が作業を引き取りやすくなります。反対に、渡すデータを決める作業まで委託すると、その判断を社外に委ねることになります。

外部に委託するときに確認しておきたい点

設定を組む作業を委託するときは、任せる作業を作業名と期限で書いておきます。「取引先から届く受注データの取り込み処理について、止まったときの確認手順を文書にまとめ、接続の設定を組み直す。期限は〇月〇日」——このくらいまで書けていれば、委託先も必要な人数や経験を見積もれます。

委託先に確かめたいのは、同じ形のデータ連携を扱った経験があるかどうかです。1対1の連携と基盤を使う連携とでは、調整する相手も必要な知識も変わります。地域・異業種間の基盤のように実施している企業が4.6%と少ない形では、*2 社内に前例がないことが多いので、経験のある人に加わってもらう意味が大きくなります。

もう一つは、作業の終わりに何を受け取るかを決めておくことです。設定が動くことだけでなく、2つ目で作った文書が最新の状態に直されていることも、完了の条件に入れておきます。そうしておけば、委託が終わったあとも、社内の担当者が同じ文書を使って対応を続けられます。

社内でデータを活用する体制については「データ利活用の体制の違い」で、担当者が離れる前に確かめておくことは「担当者の離脱に備える3つの確認」で扱っています。同じ資料の成果の節は「DXの成果とは」で整理しています。

まとめ:データ連携で確かめておきたい3つの点

データ連携を担当者1人に任せきりにしないうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、止まるとその日の業務が進まなくなる連携を1本選び、接続先と止まったときの復旧手順を文書に書くこと。第二に、設定を組む作業と、渡すデータを決める作業を分けること。第三に、委託するのは設定を組む作業にとどめ、期限と完了の条件を決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「担当者が辞めたあとに連携が止まり、誰も直せない」という事態を避けやすくなります。データ連携の引き継ぎに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

止まったときの復旧手順を書いたあとも、連携の設定を誰が担当するかという問題は残ります。社内に経験者がいない形のデータ連携では、経験のある専門人材に期間を決めて加わってもらう方法も選択肢に入れておけます。

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よくある質問

データ連携を実施していない企業の割合は分かりますか

形ごとの値は公表されていません。資料は、いずれの形でも「実施・検討していない」が過半数を占めていると述べています。*2 選択肢が複数あるため、実施している割合を100から引いて求めることもできません。

実施の割合と目的の割合は、同じ企業を対象にした数値ですか

同じとは言えません。目的の集計は、どれかの形を実施または検討している企業に絞られています。*2 実施の割合の集計がこれと同じ企業を対象にしているかどうかは、資料に示されていません。

目的の割合を足すと100%を超えるのはなぜですか

複数回答だからです。本文で挙げた3項目を足すだけでも160.5%になります。*2 1社が複数の目的を選べるためです。

止まったときの復旧手順の文書は、誰が直し続けるのですか

渡すデータを決める社内の担当者が受け持つのがおすすめです。設定を変えたら文書も直すという決まりを、委託先との取り決めに入れておくと、古い文書が残りにくくなります。

データ連携の引き継ぎを相談したいとき

担当者が1人しかいない連携について、社内に残す作業と委託する作業の分け方からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:IPA「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。出典:IPA「DX動向2026」の公開ページ。公開日(2026年7月30日)と収録章の構成を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「DX動向2026」(本文)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf)。出典:同資料の第3章 図表3-31(データの企業間連携の状況)・図表3-32(データ連携の目的)とその本文を参照。図表3-32の集計対象は、データ連携の形態の設問でいずれかの項目で「実施している」「実施を検討している」を選択した企業(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「DX動向2026」(データ集)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-data-collection-2026.pdf)。出典:同資料のデータ集(2026年7月30日第1版)。調査対象・調査期間・調査対象数・有効回答数を参照(2026年9月確認)




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