LASSIC Media らしくメディア
内製化支援の選定|完全外部委託でも企画の内製は45.4%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 完全外部委託でも企画の内製は45.4%:システム企画を「ほぼ内製」「内製が多い」と答えた企業の合計です。*1
- 機能要件定義は19.5%まで下がる:同じ完全外部委託の方針でも、1つ下の工程では内製の割合が大きく落ちます。*1
- 支援の範囲と費用は資料に無い:内製化支援として何をいくらでやるのかは、今回参照した資料に記載がありません。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
内製化支援を選ぶ前に、どの工程を自社に残すのかを決めてあるでしょうか。ここで言う内製化支援とは、自社の中でシステムを作れるようにするために外から受ける手助けのことです。何をどこまでやってもらえるかは、頼む相手によって違います。
手がかりになる資料があります。JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)です。*1 この調査は、システム開発の方針を5つに分けたうえで、方針ごとに工程別の内製と外部委託の割合を出しています。*1 支援の選び方そのものは書かれていませんが、どの工程を自社に残すかを決める材料にはなります。
本記事は、開発の現場を回しているマネージャに向けたものです。前半で資料の数値を読み、後半で選定での使い方を整理します。
目次
調査は方針と工程を掛け合わせて聞いている
まず、調査の中身を確かめます。アンケートは2025年9月5日から10月24日にかけて実施され、調査対象は東証上場企業とそれに準じる企業の計4,500社です。*1 回収数は957社、有効回答率(依頼した数のうち、集計に使える回答が返ってきた割合)は21.3%でした。*1 準じるの中身までは書かれていませんが、いずれにせよ日本の会社全体の姿ではありません。
調査は、システム開発の方針を5つに分けています。完全内製化、内製を増やす、内製・外部委託の混成、外部委託を増やす、完全外部委託です。*1 工程も5つです。システム企画(資料では「システム化構想策定」とも書かれる、どんなシステムを作るかを決める段階)、機能要件定義(何ができるシステムにするかを決める工程)、非機能要件(性能や停止しにくさなど、どのくらいの水準で動くか)を決める非機能要件定義、設計・実装・テスト、システム運用・保守です。*1
工程ごとの答え方は、ほぼ内製、内製が多い、同程度、外部委託が多い、ほぼ外部委託の5段階です。*1 資料はこのうち「ほぼ内製」と「内製が多い」を足した値を内製の合計、「ほぼ外部委託」と「外部委託が多い」を足した値を外部委託の合計として本文に示しています。*1
割合の読み方も先に決めておきます。この記事の数字はすべて、その方針を選んだ回答企業に占める割合です。たとえば「設計・実装・テストの外部委託が84.9%」は、その工程を外部委託が多いかほぼ外部委託と答えた企業が84.9%。作業量の84.9%を外に委託しているという意味ではありません。
システム企画の内製はどの方針でも外部委託を上回る
方針ごとに工程別の数字を並べます。
| 方針 | 回答数 | システム企画の内製 | 機能要件定義の内製 | 設計・実装・テストの外部委託(この列だけ外部委託の割合) |
|---|---|---|---|---|
| 完全内製化 | 各工程42 | 90%超 | 90%超 | 1割未満 |
| 内製を増やす/内製・外部委託の混成 | 106〜411 | 78.2〜82.2% | 50.0〜60.8% | 59.7〜61.7% |
| 外部委託を増やす | 131〜136 | 65.9% | 38.7% | 68.4% |
| 完全外部委託 | 162〜171 | 45.4% | 19.5% | 84.9% |
まず、システム企画です。ここは5つの方針のすべてで、内製の合計が外部委託の合計を上回ります。*1 完全外部委託でも内製の合計は45.4%。半分には届きませんが、外部委託の側より多いという形です。外部委託を増やす方針では65.9%、内製を増やす方針と混成方針では78.2〜82.2%です。*1 資料は「完全外部委託を目指す企業でも、上流工程のシステム企画では内製の割合が高い」と書いています。*1
ただし、上流(設計より前の、何を作るかを決める段階)ならどこでも同じ、とはいきません。機能要件定義まで下りると方針によって大きく開きます。内製を増やす方針と混成方針では50.0〜60.8%ですが、外部委託を増やす方針では38.7%、完全外部委託では19.5%です。*1 完全外部委託では、この工程を「ほぼ内製」または「内製が多い」と答えた企業が2割に届きません。
次に、設計・実装・テストです。こちらは逆の形になります。外部委託の合計は、内製を増やす方針と混成方針で59.7〜61.7%、外部委託を増やす方針で68.4%、完全外部委託で84.9%です。*1 内製を増やす方針でも、この工程を外部委託が主体だと答えた企業が6割前後あります。
例外は完全内製化を掲げる企業です。この方針ではどの工程でも内製の合計が90%を超えています。*1 5段階の割合を足すと100%なので、残る1割弱に「同程度」と外部委託が入ります。外部委託の合計はそれより小さい計算です。ただし回答数は5工程とも42社で、5つの方針でいちばん少ない区分です。*1 42社では1社の回答が割合を大きく動かすので、他の区分と数ポイントの差を比べる読み方はできません。
なお、調査は非機能要件定義についても同じ5段階で聞いていますが、方針別の割合は、今回参照した本文には書かれていませんでした。
資料は全体をこうまとめています。「方針により程度の差はあるものの、上流工程では内製が主体となり、『完全内製化』方針以外の企業ではシステムづくりは外部委託が主となっている」。*1
内製化支援の選定に使う3つの見方
ここからは選定での使い方です。資料が示したものではなく、この数値からこの記事で組み立てました。
1つめは、工程ごとに切り分けて考えることです。同じ会社でも、システム企画は内製、設計・実装・テストは外部委託という答え方が多数を占めます。内製化支援の選定も「どの工程を自社に残すか」から書き出すと早く進みます。
2つめは、機能要件定義をどちらが持つのかを先に決めることです。この工程の内製の割合は、完全外部委託の19.5%から完全内製化の90%超まで開きます。*1 ここが決まっていないと、どこから手伝ってもらうのかが定まりません。
3つめは、支援の範囲と費用を候補先に直接確かめることです。内製化支援として何をどこまでやってもらえるのか、いくらかかるのかは、今回参照した資料には出てきません。工程の区分は共通の言葉として使えますが、中身と金額は候補先ごとに違います。
つまずきやすい難所
一つめのつまずきは、方針を決めれば工程が決まると考えることです。完全外部委託でもシステム企画の内製は45.4%あり、内製を増やす方針と混成方針でも設計・実装・テストの外部委託は59.7〜61.7%あります。*1 方針の名前と実際の割り振りは、別のものとして読んでください。
二つめは、この割合を望ましい水準として読むことです。資料が調べているのは各社の実状で、どの割合が望ましいかは今回参照した資料に記載がありません。45.4%や84.9%は目標値ではありません。
三つめは、資料が2方針をまとめて示している幅を、片方の方針の数字として読むことです。59.7〜61.7%は2つの方針それぞれの値で、「内製を増やす」方針のなかの幅ではありません。*1
外注時に確認しておきたい点
内製化支援の候補先と話すときは、発注する側が工程の割り振りを3行書き出しておきます。自社に残す工程、支援を頼む工程、まだ決めていない工程の3つです。この3行という形は資料にあるものではなく、この記事で決めたものです。たとえば「自社に残すのはシステム企画」「支援を頼むのは設計・実装・テスト」「機能要件定義と非機能要件定義は未定」。工程の名前は調査と同じ言葉を使えば相手にも通じます。
外部の要員(自社の社員ではなく、作業を委託して働いてもらう人。個人のフリーランスのほか、開発を請け負う会社に所属している人も含みます)に頼む場合も、この3行はそのまま使えます。工程で区切ると、契約の範囲と期間を決めやすくなります。
正社員を採用するのか外部の要員に頼むのかを決めるときも、この3行が判断の材料になります。システム企画は5つの方針のすべてで内製が外部委託を上回った工程でした。*1 ここを担う人には自社の業務の知識が要ります。この読み方は資料が述べていることではありません。
方針を分けずに見た工程ごとの割合はシステム開発の外部委託|設計・実装・テストで63.4%で扱っています。こちらは同じ調査の別の集計です。
内製を進めるときに出てくる人材の不足は内製化支援 自走を目指す前の3つの人材不足にまとめました。
運用・保守を売上高の区分で見た形は運用保守の開発要員を増やす進め方|外部委託68.9%で整理しています。
支援に入ってもらう相手とどこまで一緒にやるかは内製化支援の伴走、どこまで一緒にやるかは4つの段階で扱っています。
まとめ:内製化支援の選定は工程から決める
JUASの調査から読み取れることは3つです。第一に、システム企画は5つの方針のすべてで内製の合計が外部委託の合計を上回り、完全外部委託でも45.4%あります。*1 第二に、1つ下の機能要件定義では方針による開きが大きく、完全外部委託では19.5%まで下がります。*1 第三に、設計・実装・テストの外部委託は内製を増やす方針と混成方針でも59.7〜61.7%あります。*1 資料は「方針により程度の差はあるものの、上流工程では内製が主体となり、『完全内製化』方針以外の企業ではシステムづくりは外部委託が主となっている」とまとめています。*1 内製化支援の選定では、方針の名前より先にどの工程を自社に残すのかを決めます。なお、支援の範囲と費用は今回参照した資料に記載がありません。
よくある質問
完全外部委託の方針でも内製の割合が高い工程はありますか
システム企画の内製の合計が45.4%で、資料は「上流工程のシステム企画では内製の割合が高い」と書いています。*1 同じ方針でも機能要件定義は19.5%、システム運用・保守は25.7%です。*1 非機能要件定義と設計・実装・テストの内製の割合は、今回参照した本文にはありません。確認日は2026年9月19日です。
内製を増やす方針の企業は設計・実装・テストも内製していますか
この工程を外部委託が主体だと答えた企業が59.7〜61.7%あります。*1 この2つの数字は2つの方針それぞれの値です。*1 確認日は2026年9月19日です。
完全内製化の方針を掲げる企業はどうなっていますか
どの工程でも内製の合計が90%を超えています。*1 ただし回答数は5工程とも42社で、いちばん少ない区分です。*1 確認日は2026年9月19日です。
内製化支援の費用はどのくらいですか
今回参照した資料に記載はありません。資料に載っているのは方針別・工程別の内製と外部委託の割合までです。費用と支援の範囲は候補先に直接お確かめください。確認日は2026年9月19日です。
この調査は何社に聞いたものですか
東証上場企業とそれに準じる企業の計4,500社に依頼し、回収数は957社、有効回答率は21.3%でした。*1 図表7-2-4の回答数は完全内製化が42社、完全外部委託が162〜171社です。*1 確認日は2026年9月19日です。
残す工程と頼む工程が決まったら相談
「設計・実装・テストを頼みたい」と決まっていれば、そのままご相談いただけます。工程の切り分けを一緒に整理するところからでも承ります。
Remoguとリラシクなら、設計・実装・テストを担う要員も機能要件定義から見る要員も、工程と期間を決めたうえでお探しいただけます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)報告書(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会発行。調査期間2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とそれに準じる企業の計4,500社、回収数957社・有効回答率21.3%。図表7-2-4(方針別・工程別 システム開発の内製/外部委託度合い)と同図表に関する本文の記述、および調査概要の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに表と図を作成した。資料の図表そのものは写していない(2026年9月確認)
- *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が1994年度から毎年実施され、報告書が公開されていることの確認として(2026年9月確認)
- *3 参考:JUAS 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行元の確認として(2026年9月確認)