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2026.09.19 採用支援コラム

内製化支援の選定方法と比べる基準|自社に残す工程の決め方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

机の上に色分けした無地の工程カードが左から右へ並べられ、手がカードを動かしている

この記事の結論

  • 内製化支援の選定では、内製か外部委託かという方針より先に、どの工程を自社に残すかを決めます。
  • 完全外部委託を掲げる企業でも、システム企画を主に内製している割合は45.4%あります。
  • 機能要件定義の内製は方針によって19.5%から90%超まで開くので、この工程を誰が担うかを先に決めます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

どこまで手伝ってもらえばよいのか分からない。いくつか見積もりを取っても、比べる基準がない——。システムの内製(自社の社員で作ること)を進めようとする会社では、こうした迷いが起こりがちです。内製化支援とは、自社でシステムを作れるようにするために、社外の会社や専門人材から受ける手助けのことです。

支援を選ぶときの手がかりになるのが、どの工程を自社に残し、どの工程を任せるかという切り分けです。ただし、切り分けは万能ではなく、支援の中身や費用は頼む相手によって違います。本記事では、開発の現場を担うマネージャーに向けて、内製化支援で見る工程、方針ごとの工程の分け方、選定の進め方、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

内製化支援とは

内製化支援で何を手伝ってもらうかは、システムを作る工程ごとに考えると整理しやすくなります。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2026」は、システム開発を次の5つの工程に分けて尋ねています。

  • システム企画(どんなシステムを作るかを決める段階。資料では「システム化構想策定」とも書かれる)
  • 機能要件定義(何ができるシステムにするかを決める工程)
  • 非機能要件定義(性能や止まりにくさなど、どのくらいの水準で動くかを決める工程)
  • 設計・実装・テスト
  • システム運用・保守

このうち、設計より前の「何を作るかを決める段階」を上流工程と呼びます。上流工程を自社で持てるようにしたいのか、設計・実装・テストまで自社で担えるようにしたいのかで、頼む支援の中身は変わります。企画は自社で決められるものの要件を文書にまとめた経験が少ない会社と、要件は決められるもののプログラムを書く人がいない会社とでは、同じ内製化支援でも探す相手が違ってきます。

同じ調査は、システム開発の方針も5つに分けています。完全内製化、内製を増やす、内製・外部委託の混成、外部委託を増やす、完全外部委託です。方針は会社全体の考え方で、工程の割り振りは、方針にもとづいて工程ごとに決める分担です。次の節では、この2つがどう結びついているかを見ます。

方針ごとの工程の分け方

JUASの調査は、東証上場企業などを対象に、2025年9月から10月にかけて実施されました。*1 工程ごとに「ほぼ内製」から「ほぼ外部委託」までの5段階で答えてもらい、方針別に集計しています。以下の割合は、その方針を選んだ企業のうち「ほぼ内製」か「内製が多い」と答えた企業の割合(内製)と、「ほぼ外部委託」か「外部委託が多い」と答えた企業の割合(外部委託)です。作業量のうち何割を委託しているかという意味ではありません。

方針ごとの工程別の内製と外部委託の割合(JUAS「企業IT動向調査2026」図表7-2-4の本文の数値をもとに作成。完全内製化は内製が90%を超えるので、外部委託は1割未満になる。2行目は2つの方針の値を幅で示した)
方針 システム企画の内製 機能要件定義の内製 設計・実装・テストの外部委託
完全内製化 90%超 90%超 1割未満
内製を増やす/内製・外部委託の混成 78.2〜82.2% 50.0〜60.8% 59.7〜61.7%
外部委託を増やす 65.9% 38.7% 68.4%
完全外部委託 45.4% 19.5% 84.9%

システム企画は、5つの方針のすべてで内製の割合が外部委託の割合を上回っています。*1 完全外部委託を掲げる企業でも、システム企画を主に内製している企業は45.4%です。外部委託を増やす方針では65.9%、内製を増やす方針と混成の方針では78.2〜82.2%でした。

一方、機能要件定義になると、方針による差が大きく開きます。内製を増やす方針と混成の方針では50.0〜60.8%ですが、外部委託を増やす方針では38.7%、完全外部委託では19.5%です。*1同じ上流工程でも、システム企画と機能要件定義とでは、自社に残す会社の割合がかなり違います。

設計・実装・テストはこれと反対で、外部委託の割合が高くなります。内製を増やす方針と混成の方針で59.7〜61.7%、外部委託を増やす方針で68.4%、完全外部委託で84.9%です。*1資料はこれらを、「方針により程度の差はあるものの、上流工程では内製が主体となり、『完全内製化』方針以外の企業ではシステムづくりは外部委託が主となっている」とまとめています。*1

なぜ工程から選ぶのか

方針の名前だけでは、自社に残す工程が決まらないからです。完全外部委託を掲げる企業でも半数近くがシステム企画を主に内製し、内製を増やす方針の企業でも設計・実装・テストは6割前後が外部委託を主にしています。方針が同じでも、どの工程を誰が担うかは会社によって分かれます。

候補先に「内製を増やしたい」とだけ伝えても、どの工程から手伝ってもらうのかは決まりません。企画の進め方を一緒に考えてほしいのか、要件を文書にまとめるところを任せたいのか、プログラムを書く人を増やしたいのかで、候補先の比べ方も変わります。工程を先に決めておけば、候補先ごとの提案を工程ごとに比べられます。工程の名前は、この調査の区分をそのまま使っておくと、候補先にも伝わりやすくなります。

内製化支援の選定の進め方

ここまでの数値をもとに、内製化支援の選定の進め方を3つに整理します。

内製化支援を選ぶときの3つの見方を箱で示した図。1つ目は工程ごとに切り分けて考えること。2つ目は機能要件定義をどちらが持つのかを先に決めること。3つ目は支援の範囲と費用を候補先に直接確かめること。

1つめは、工程ごとに分けて考えることです。1つの会社のなかで、システム企画は内製、設計・実装・テストは外部委託と分ける例が多く見られます。5つの工程を縦に並べた表を作り、工程ごとに「自社」「支援を頼む」「未定」のどれかを書き込むところから始めると、社内の話し合いも進めやすくなります。

2つめは、機能要件定義をどちらが担うかを先に決めることです。この工程の内製の割合は、完全外部委託の19.5%から完全内製化の90%超まで、方針によって大きく違います。*1 機能要件定義を自社で担うなら、支援に求めるのは、社員が要件のまとめ方を身につけるための手助けになります。任せるなら、要件を決める打ち合わせに自社から誰が出るのかまで決めておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

3つめは、支援の範囲と費用を候補先に直接確かめることです。JUASの調査は各社の工程の分担を尋ねたもので、内製化支援として何をどこまで頼めるのか、いくらかかるのかまでは扱っていません。候補先と話すときは、この調査の工程の区分をそのまま使い、支援の中身と金額は候補先ごとに聞いて比べます。

つまずきやすい点

一つ目は、方針を決めれば工程の割り振りも決まると考えることです。社内で方針を決めたあとも、工程ごとに誰が担うのかを改めて書き出しておきます。

二つ目は、調査の割合を目標にしてしまうことです。この調査が示しているのは各社の実際の分担で、望ましい割合ではありません。「完全外部委託の会社でも45.4%がシステム企画を内製しているから、自社も同じにする」という決め方ではなく、自社の業務と社員の経験から、残す工程を決めます。

三つ目は、上流工程をひとまとめにすることです。システム企画と機能要件定義は、どちらも設計より前の工程ですが、自社に残す会社の割合は方針によって大きく違いました。「上流は自社で」と決めても、機能要件定義まで自社で担えるのかは、別に確かめておく必要があります。

外部に委託するときに確認しておきたい点

候補先と話す前に、工程の割り振りを3行に書き出しておきます。自社に残す工程、支援を頼む工程、まだ決めていない工程の3つです。たとえば「自社に残すのはシステム企画」「支援を頼むのは設計・実装・テスト」「機能要件定義と非機能要件定義はまだ決めていない」のように書いておけば、候補先はどこから加わればよいかを判断できます。

業務委託で開発に加わる専門人材に頼む場合も、この3行はそのまま使えます。工程で区切っておくと、契約で任せる作業と期間を決めやすくなります。正社員を採用するか、業務委託の人材に頼むかを決めるときの材料にもなります。システム企画はどの方針でも内製が外部委託を上回った工程で、担う人には自社の業務の知識が求められます。システム企画は社員が担い、ほかの工程で業務委託の人材を探す、と分けて考えておくと進めやすくなります。

方針を分けずに見た工程ごとの割合は「システム開発の外部委託|設計・実装・テストで63.4%」で、内製を進めるときに出てくる人材の不足は「内製化支援 自走を目指す前の3つの人材不足」で扱っています。運用・保守の内製と外部委託の割合を売上高別に見た記事は「運用保守の開発要員を増やす進め方|外部委託68.9%」に、支援に入ってもらう相手とどこまで一緒に進めるかは「内製化支援の伴走、どこまで一緒にやるかは4つの段階」にまとめました。

まとめ:内製化支援の選定で確かめておきたい3つの点

内製化支援を選定するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、方針の名前ではなく、工程ごとに自社に残すか頼むかを決めること。第二に、上流工程のなかでも、機能要件定義をどちらが担うかを先に決めること。第三に、支援の範囲と費用を、工程と期間を示したうえで候補先に直接確かめることです。この3点を踏まえておけば、「内製を増やすつもりで頼んだのに、設計・実装・テストを任せただけで終わった」という事態を避けやすくなります。どの工程を自社に残すかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

残す工程と頼む工程が決まったら、次は作業する人を探す段階です。設計・実装・テストを頼むのか、機能要件定義から一緒に見てもらうのかで、求める経験が変わります。工程で切り分けておけば、候補者に伝える条件も決まります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

完全外部委託の方針の企業は、システム運用・保守も委託していますか

運用・保守を自社で担う会社は、システム企画より少なくなります。同じ調査で、完全外部委託の企業のうちシステム運用・保守を主に内製しているのは25.7%で、システム企画の45.4%を下回っています。*1 運用・保守まで社員で回したい場合は、その工程も支援の対象に含めて候補先と話しておきます。

調査に答えたのはどのような会社ですか

東証上場企業とそれに準じる企業の計4,500社に依頼し、957社から回答を得た調査です。有効回答率は21.3%でした。*1 上場企業を中心にした調査なので、日本の会社全体の姿ではありません。

完全内製化の方針の企業は、すべての工程を自社で担っていますか

どの工程でも、主に内製している企業の割合が90%を超えています。*1 ただし回答数は5工程とも42社で、5つの方針のなかでいちばん少ない区分です。回答数が少ないため、ほかの方針との細かな差を比べるのには向きません。

内製化支援の費用は、どのように比べればよいですか

候補先ごとに見積もりを取って比べます。その際、自社に残す工程と頼む工程、支援を受ける期間を、どの候補先にも同じ条件で伝えておくと、見積もりの前提がそろいます。

残す工程と頼む工程が決まったら相談

「設計・実装・テストを頼みたい」と決まっていれば、そのままご相談いただけます。工程の切り分けを一緒に整理するところからでも承ります。

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出典

  1. *1 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)報告書(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。調査期間2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とそれに準じる企業の計4,500社、回収数957社・有効回答率21.3%。図表7-2-4(方針別・工程別 システム開発の内製/外部委託度合い)と同図表に関する本文の記述を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が毎年実施され、報告書が公開されていることの確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:JUAS 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行元の確認として(2026年9月確認)




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