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2026.09.19 採用支援コラム

兼務人事のエンジニア採用|開発と面接担当で分ける仕事

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

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この記事の結論

  • 社員の育成を担当する職業能力開発推進者を、どの事業所でも選任していない企業は82.2%です。
  • エンジニアの多い情報通信業でも、どの事業所でも職業能力開発推進者を選任していない企業が67.0%です。
  • 推進者の業務に採用は入っていないので、兼務人事は採用で決めることと育成で決めることを分けて文書にしておきます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

開発の現場を見ながら、採用の面接も任されている。人事の専任者はいないので、求人に書く要件も自分で決めることになった——。エンジニアを抱える企業では、こうした状況が起こりがちです。本記事では、開発などの本業を持ちながら人事の仕事も兼ねて担当する立場を、兼務人事と呼びます。

兼務人事でエンジニア採用を進めるとき、参考になる公的な数字は多くありません。採用の担当者が専任か兼務かを数えた公的な統計は、今回探した範囲では見つかりませんでした。代わりに手がかりになるのが、社員の育成について法律が選任を求めている職業能力開発推進者を、どのくらいの企業が選任しているかです。採用そのものの数字ではありませんが、人事の役割に担当者を決めている企業がどのくらいあるかは分かります。本記事では、兼務人事にあたるマネージャーに向けて、推進者の役割、選任の状況、採用の進め方、そして外部に委託するときに確認したい点を整理します。

兼務人事とは

エンジニア採用には、いくつもの作業が続きます。求人に書く要件を決める、候補者を探す、面接の日程を調整する、面接で評価する、そして誰を採るかを決める——。専任の人事担当者がいれば分担できますが、兼務人事ではこれらを開発の仕事と並行して一人で抱えることになります。

人事の仕事は採用だけではありません。入社した人を育てる仕事もあり、兼務人事にはそちらの役割も一緒に任されることがあります。社員の育成については、法律が選任を求めている役割があります。それが職業能力開発推進者です。兼務人事のマネージャーが自分の仕事を整理するときは、まずこの役割と採用の仕事がどう違うのかを知っておくと、何を先に決めればよいかが分かりやすくなります。

職業能力開発推進者との違い

職業能力開発推進者は、職業能力開発促進法の第12条に出てきます。条文は、事業主に「次に掲げる業務を担当する者(以下「職業能力開発推進者」という。)を選任するように努めなければならない」と定めています。*3 努力義務とは、そうするように努めることを法律が求めているという意味です。

条文が挙げる業務は3つです。1つめが計画の作成と実施に関する業務、2つめが労働者に対して行う相談や指導などの業務、3つめが国や職業能力開発協会との連絡に関する業務です。*3 ここでいう計画は第11条に出てくる事業内職業能力開発計画で、社員の能力をどう高めるかを書いた社内の計画です。

3つのどれにも、採用という言葉は出てきません。推進者は社員の育成を担当する役割で、採用の要件を決める業務や、誰を採るかを決める業務は含まれていないということです。兼務人事が推進者にも選任されている場合は、採用とは別に、この3つの業務も担当していることになります。

推進者はどのくらい選任されているのか

厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」は、職業能力開発推進者の選任状況を尋ねています。*1 対象は、15の産業に属し、常用労働者を30人以上雇っている民営の企業です。同じ条件の企業は全国に約16万社あり、そこから約7千5百社を抜き出して調べ、全体の値を推計しています。*2

職業能力開発推進者を「いずれの事業所においても選任していない」企業は82.2%でした。「すべての事業所において選任している」企業は10.9%、「一部の事業所においては選任している」企業は6.8%です。*1

産業別では、すべての事業所で選任している企業の割合がいちばん高いのは情報通信業の25.0%でした。ただし、その情報通信業でも、いずれの事業所でも選任していない企業は67.0%です。*1

企業規模による違い

企業規模で見ると、大きい企業ほど選任している割合が高くなります。

企業規模別の職業能力開発推進者の選任状況(単位:%。「不明」の列は省いたため、足しても100.0にならない行がある)*1
企業規模 すべての事業所で選任 一部の事業所で選任 いずれの事業所でも選任していない
30〜49人 10.2% 4.7% 85.1%
50〜99人 9.8% 7.2% 83.0%
100〜299人 12.1% 8.4% 79.5%
300〜999人 14.2% 11.4% 74.1%
1,000人以上 16.5% 12.8% 70.7%

「いずれの事業所でも選任していない」企業の割合は、30〜49人の85.1%から、1,000人以上の70.7%まで、規模が上がるごとに下がります。それでも、1,000人以上の企業でも7割を超える企業が推進者を選任していません。

調査は、すべての事業所で選任している企業に、どのように選任しているかも尋ねています。いちばん多いのは「本社が職業能力開発推進者を一人以上選任し、すべての事業所について兼任させている」で、64.8%でした。*1 事業所ごとに人を置くのではなく、本社で選任した人がまとめて担当する形です。すべての事業所で選任している10.9%の企業のうちの64.8%なので、全企業で見ると計算上はおよそ7.1%、100社のうち7社ほどです。

なお、資料の「兼任」は、同じ役割を複数の事業所の分まで受け持つことで、人事と開発のように別の仕事を受け持つ兼務とは違います。64.8%は兼務の多さを表す数字ではありません。

兼務人事で採用をどう進めるのか

ここまでの数字は、育成側の役割についてのものです。この数字と条文の3つの業務をもとに、兼務人事でエンジニア採用を進めるときに決めておきたいことを3つにまとめます。

兼務人事でエンジニア採用を回すときの3つを箱で示した図。1つ目は自分がどの役割を渡されているのかを確かめること。2つ目は採用で決めることと育成で決めることを分けて書くこと。3つ目は手順を人ではなく文書に残すこと。

1つめは、自分がどの役割を任されているのかを確かめることです。職業能力開発推進者に選任されているかどうかは、社内に選任の記録があるかで分かります。8割を超える企業では選任そのものがないので、調べても「選任されていない」となることのほうが多いはずです。選任されていれば、条文が挙げる3つの業務が、採用とは別に加わります。

2つめは、採用で決めることと育成で決めることを分けて書いておくことです。推進者の業務に採用の要件を決める業務は入っていません。*3 同じ人が両方を担当するとしても、分けて書いておけば、担当が替わるときにどちらを引き継ぐのかがはっきりします。

3つめは、兼務であることを前提に、手順を担当者の記憶ではなく文書に残すことです。すべての事業所で選任している企業でも、本社がまとめて担当する形がいちばん多くなっています。担当が本社に集まっているなら、担当者が抜けても引き継げるよう、手順を文書にしておきます。

外部に委託するときに確認しておきたい点

兼務人事では、採用にかけられる時間がどうしても限られます。外部の専門人材や採用の支援に頼るときも、任せる作業と社内に残す判断を分けておく考え方は同じです。候補者を探す作業や面接の日程の調整は、作業の中身と期間を決めれば社外に任せられます。一方で、誰を採るかの判断は社内に残しておくのがよいでしょう。

正社員として採用するのか、業務委託で開発に加わってもらうのかを決めるときも、兼務人事の側が採用に週あたり何時間使えるのかを先に書き出しておくと進めやすくなります。使える時間によって、委託したい作業の量が決まるためです。

推進者が担当する計画の作り方は「事業内職業能力開発計画の作り方|様式がない計画の4ステップ」で、求人票に研修ありと書ける水準は「研修ありと書けるのは、どの水準からか」で扱っています。入社後の育成については「エンジニア中途採用の入社後、育成の4つとも新卒より低い」、採用と育成のどちらを選ぶかは「DX人材は採用か育成か、助成金を含めて比較する」で整理しています。

まとめ:兼務人事で確かめておきたい3つの点

兼務人事でエンジニア採用を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自分が職業能力開発推進者に選任されているかどうかを確かめること。第二に、推進者の業務に採用は入っていないので、採用で決めることと育成で決めることを分けて書いておくこと。第三に、兼務で担当できる人が限られることを前提に、手順を文書に残しておくことです。この3点を踏まえておけば、「採用も育成も自分が抱えていて、どこまでが自分の担当か分からない」という事態を避けやすくなります。兼務のまま採用を進めることに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

兼務人事で手が足りないときは、外部に任せられる作業と社内に残す判断を先に分けておくと話が早く進みます。候補者を探す作業を任せるのか、要件を決めるところから見てもらうのかで、相談の仕方も変わります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

職業能力開発推進者を選任していなくても、違法になりますか

違法にはなりません。条文は「選任するように努めなければならない」という努力義務の書き方です。*3 選任していない企業が多い理由について、調査は尋ねていません。

調査の割合は、回答した企業の割合ですか

回答した企業の数をそのまま割ったものではありません。産業と企業規模ごとに復元倍率(その1社が全国の何社分にあたるかという重み)を掛けて、約16万社の全体に引き延ばした推計値です。*2 そのため「回答した企業のうち何社」という数え方はできません。

事業内職業能力開発計画も、作らなければいけませんか

職業能力開発促進法の第11条も、計画を「作成するように努めなければならない」という努力義務の書き方です。*3 推進者を選任していれば、この計画の作成と実施が推進者の業務の一つになります。

本社でまとめて選任している場合、推進者は何人いるのですか

調査の選択肢は「本社が職業能力開発推進者を一人以上選任し」という書き方で、人数までは尋ねていません。*1 自社で確かめるときは、選任の記録に誰の名前があるかを見るのが早い方法です。

兼務のまま採用を進めることになったら

候補者を探すところから任せたいのか、要件を決めるところから一緒に見てほしいのかが決まっていれば、そのままご相談いただけます。まだ整理できていない段階でも承ります。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」結果の概要(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/104-07b.pdf)。出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」。図13(職業能力開発推進者の選任状況)、図14(産業、企業規模別の選任状況)、図15(選任方法)を参照。表と図は資料の数値をもとに作成(2026年9月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「能力開発基本調査」標本設計・用語の説明(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001510152.pdf)。調査の範囲(15大産業・常用労働者30人以上の民営企業)、母集団約16万企業・標本約7千5百企業、産業と企業規模ごとの復元倍率による推計であることを参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「職業能力開発促進法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000064)。第11条(計画的な職業能力開発の促進)と第12条(職業能力開発推進者)を参照(2026年9月確認)




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