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テストケース数は規模あたり結合51.7件、残量を見積る手順
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 結合テストは51.7件:1KSLOCあたりの中央値です*2。
- 総合テストは16.0件:同じ単位で並べた値です*2。
- 平均は使えない:総合は中央値の40.9倍です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
遅れている案件で、テストがあとどれだけ残っているでしょうか。
作成済みのケース数だけを数えても、全体のどこにいるかは分かりません。
手がかりは、規模あたりのテストケース数として公開された分布です。
IPAの資料では、結合テストが1KSLOCあたり51.7件と示されています*1*2。
総合テストは同じ単位で16.0件でした*2。ただし行ごとにNが違うため、順序として読みます*2。
目次
残るテストの量を規模から置く
立て直しの判断で困るのは、残っている作業量が見えないことです。とくにテストは、着手するまで総量が分かりません。
その総量を業界の分布として測れる資料があります*1。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」で、公開は2022年9月26日、最終更新は2025年8月28日と記されています*1。
規模も示されています*1。これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析したと書かれています*1。
性質を先に書きます*1。この資料には「事業終了に伴い今後の発行予定はございません」と明記されています*1。最新の調査ではありません*1。
構成も確かめられます*4。本編のほかに業種編3編、サマリー版、マンガ解説版、グラフデータが公開されています*4。
沿革も書かれています*4。IPAは2005年からエンタプライズ分野の開発データを収集し、2020年に書籍版の名称を変えて現在の形になったとされています*4。
該当する章は本編の5章です*2。結合テストと総合テストの2工程について、規模あたりと工数あたりの値を示すとされています*2。
対象の条件も書かれています*2。開発5工程のフェーズ有無がすべてそろったプロジェクトが対象です*2。
大事な注記があります*2。本編は「現象数と原因数のデータを提出しているそれぞれのプロジェクト群は重なりが少ないため、数だけのデータでは比較できないことに留意されたい」と明記しています*2。
表記についても書いておきます*2。この節の工程名には短縮した表記が使われているため、この記事では言い換えて記載しています*2。
注記の中身はこうです*2。総合テストは、受注した側が確認する工程を指すとされています*2。
数値の扱いを書きます*2*3。四分位は本編の表に示された値をそのまま引き、倍率と換算は表の値から筆者が算出しました*2*3。
グラフデータの著作権はIPAが保有しています*3。使用条件に従い、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します*3。
まず結合テストの値を見ます*2。
結合テストは1KSLOCあたり51.7件
本編の表5-1-1は、SLOC規模あたりのテストケース数と検出バグ数を示しています*2。全開発種別の表です*2。
結合テストのテストケースは中央値51.7件/KSLOCでした*2。Nは665で、この表で最も件数が多い行です*2。
四分位も示されています*2。P25が22.2、P75が120.1です*2。
倍率にすると5.41倍です*2。120.1を22.2で割った値です*2。
両端も出ています*2。下端が0.0、上端が100,000.0でした*2。
過去との比較も添えられています*2。本編は2014年度から2019年度と比較して、結合テストのテストケースの中央値が50.2から51.7などあまり差はないと記しています*2。
つまり水準は動いていません*2。規模あたりのケース数は、この6年ほどで大きく変わっていないと読めます*2。
10KSLOCなら517件です*2。中央値51.7に10を掛けた値です*2。
幅も掛け算で出ます*2。同じ10KSLOCでも、P25なら222件、P75なら1,201件になります*2。
ここが立て直しの起点になります。残るコード量が分かれば、ケース数の当たりと上下の幅を置けます*2。
図表の対応も記されています*2。この表は過去のデータ白書2018の図表7-5-20に対応するとされています*2。
テストの計画そのものを外に任せる進め方は別に整理されています。テスト計画・テスト設計の外注が参考になります。
次に、総合テストの側を見ます*2。
総合テストは16.0件で、順序だけを読む
同じ表に総合テストの行もあります*2。テストケースの中央値は16.0件/KSLOCでした*2。
Nは620です*2。結合テストの665とは違う件数です*2。
四分位も示されています*2。P25が6.4、P75が40.7です*2。
倍率にすると6.36倍です*2。結合テストの5.41倍より広い幅になります*2。
中央値どうしを割ると3.23倍です*2。51.7を16.0で割った値で、結合テストのほうが多い形です*2。
ただし差の大きさは論じません*2。Nが665と620で、同じプロジェクトの集合ではないためです*2。
読めるのは順序です*2。同じ単位で並べたとき、結合テストのほうが上に来るという点までです*2。
10KSLOCで換算すると幅が見えます*2。総合テストはP25で64件、中央値で160件、P75で407件です*2。
両端も出ています*2。下端が0.0、上端が219,000.0でした*2。
下端が0.0という点も情報です*2。ケース数が記録されていない案件が含まれていることになります*2。
資料は理由を説明していません*2。なぜ工程で水準が違うのかは書かれていません*2。
工程ごとに内製と委託を分ける実態は別に整理されています。工程別の内製化|設計開発テストだけ委託が34.4%で扱っています。
次に、平均が使えない理由を見ます*2。
総合テストの平均は中央値の40.9倍
この表では平均と中央値が大きく離れます*2。総合テストのテストケースは平均653.9件でした*2。
中央値は16.0件です*2。筆者が算出すると40.9倍になります*2。
標準偏差も大きいです*2。9,799.1で、中央値の六百倍を超える値です*2。
原因は上端の値です*2。219,000.0件/KSLOCという値が含まれています*2。
結合テストも同じ形です*2。平均484.9で中央値51.7の9.4倍、標準偏差は4,821.2、上端は100,000.0です*2。
だから平均は使えません*2。この表では中央値と四分位だけを見ます*2。
検出バグの行も同じです*2。結合テストの現象数は平均22.866で中央値1.111の20.6倍、総合テストの現象数は平均6.049で中央値0.197の30.7倍になります*2。
原因数の行も離れます*2。結合テストは平均26.351で中央値1.042の25.3倍、総合テストは平均6.783で中央値0.246の27.6倍です*2。
つまり6行すべてで平均が中央値の9倍を超えます*2。この章では平均を根拠にできません*2。
資料は外れ値の中身を説明していません*2。なぜこれほど大きい値が入っているのかは書かれていません*2。
箱ひげ図も併載されています*2。本編は表5-1-1の検出バグ数について、データ白書2018の図表7-5-19に対応する箱ひげ図を示すと記しています*2。
要員が足りない状態で刷新に踏み込んだ場合の集計は別にあります。レガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で扱っています。
次に、比較できない指標を押さえます*2。
現象数と原因数は数だけでは比べられない
この章にはバグの数え方が2通りあります*2。検出バグの現象数と、検出バグの原因数です*2。
結合テストの現象数は中央値1.111件/KSLOCでした*2。Nは507です*2。
結合テストの原因数は中央値1.042件/KSLOCです*2。Nは389です*2。
ここで引き算をしてはいけません*2。本編は、現象数と原因数のデータを提出しているそれぞれのプロジェクト群は重なりが少ないと明記しています*2。
結論も書かれています*2。数だけのデータでは比較できないことに留意されたいとされています*2。
だから2つを並べても差は読めません*2。1つの現象に複数の原因があるか、という問いにも答えられません*2。
総合テストも同じです*2。現象数の中央値が0.197、原因数の中央値が0.246で、Nは475と376です*2。
数字の向きが逆に見える点も注意が必要です*2。結合テストでは現象数のほうが高く、総合テストでは原因数のほうが高い形になりますが、比較できないと明記されているため意味づけはしません*2。
資料自身が比較不可を書いている例は多くありません*2。多くの表では注記がなく、読み手が判断することになります*2。
実務でも同じ扱いにします。現象で数えるのか原因で数えるのかを先に決め、混ぜずに記録します。
幅も押さえておきます*2。総合テストの現象数はP25が0.051、P75が0.639で、倍率は12.53倍になります*2。
原因数の総合テストは10.71倍です*2。0.675を0.063で割った値で、ケース数の行より広い幅です*2。
テストの体制そのものを外から作る進め方は別に整理されています。ソフトウェアテスト外注で体制構築する進め方と実践ポイントをご覧ください。
次に、別の分母の表を押さえます*2。
FP規模あたりはNが小さく変動を言えない
本編の表5-2-1は、FP規模あたりの同じ指標を示しています*2。単位は件/KFPです*2。
結合テストのテストケースは中央値1,782.3件でした*2。Nは42です*2。
総合テストのテストケースは中央値556.9件です*2。Nは38です*2。
検出バグの行はさらに少ないです*2。Nは27から41の範囲です*2。
ここでも資料が判断を書いています*2。本編は「データ件数Nが小さいので、変動したとは言えない」と記しています*2。
過去との比較についての記述です*2。比較的増減しているが、変動したとは言えないとされています*2。
つまり水準の変化は読めません*2。この記事でもFP規模あたりは参考の範囲にとどめます*2。
分母の選び方には意味があります*2。SLOC規模あたりはNが665まであるのに対し、FP規模あたりは42です*2。
自社で測るなら記録がある分母を選びます。行数で記録しているならSLOC規模あたり、規模指数で記録しているならFP規模あたりです。
図表の対応も記されています*2。表5-2-1は過去のデータ白書2018の図表7-5-3に対応するとされています*2。
読めないことも押さえます*2。ケース1件あたりの重さ、現象数と原因数の対応関係、ケース数と品質の関係は含まれていません*2。
自動化の有無も分かりません*2。手で実行したのか自動で回したのかを示す集計は、今回参照した資料に記載はありません*2。
時点の限界もあります*1。この資料は2022年の公開で、事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、それより後の傾向は読めません*1。
残るテストを見積る4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 行 | P25 | 中央 | P75 | P75÷P25 | N |
|---|---|---|---|---|---|
| 結合テスト(テストケース) | 22.2 | 51.7 | 120.1 | 5.41倍 | 665 |
| 総合テスト(テストケース) | 6.4 | 16.0 | 40.7 | 6.36倍 | 620 |
| 結合テスト検出バグ数(現象) | 0.468 | 1.111 | 2.402 | 5.13倍 | 507 |
| 総合テスト検出バグ数(現象) | 0.051 | 0.197 | 0.639 | 12.53倍 | 475 |
| 結合テスト検出バグ数(原因) | 0.373 | 1.042 | 1.957 | 5.25倍 | 389 |
| 総合テスト検出バグ数(原因) | 0.063 | 0.246 | 0.675 | 10.71倍 | 376 |
1段目は規模を出すことです。残っている対象のコード量をKSLOCの単位で押さえます。
2段目は工程を分けることです。結合テストと総合テストで別の中央値を掛けます*2。
3段目は幅を持たせることです。P25とP75を掛けて、下と上の見込みを2つ作ります。
4段目は実数を数えることです。すでに作成したケース数を数え、幅の中のどこにいるかを決めます。
10KSLOCの案件なら、結合テストは222件から1,201件の幅になります*2。中央値だけで置くと517件です*2。
順番を逆にすると進みません。人数と日数を先に決めると、5倍の幅のどこに当たるかで計画が崩れます*2。
結合と総合を1本にまとめないようにします*2。中央値が51.7件と16.0件で違うため、まとめると工程ごとの水準差が見えなくなります*2。
バグの数え方も先に決めます*2。現象で数えるのか原因で数えるのかを固定し、混ぜずに記録します*2。
実務では、作る作業と決める作業を分けることになります。何を確認するかの決めは社員が持ち、ケースの書き起こしと実行は外部の要員に任せる形が取れます。
ケースの作成は人を足せば量が増える種類の作業です。仕様の判断が要る部分と、手を動かす部分を切り分けておく必要があります。
期間を区切って入れるなら、フリーランスを含む業務委託の使い方が合います。テスト工程の数か月だけ人を足し、収まったら戻す形にします。
最後に時点を添えておきます*1。2022年公開の資料なので、直近の相場ではなく比較の基準として使う形になります*1。
まとめ:工程を分けて置く
第一に、資料の性質です。IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は公開が2022年9月26日、最終更新が2025年8月28日となっており、これまでに収集した5,546プロジェクトの定量データから分析されています。事業終了に伴い今後の発行予定はないと明記されているため、最新の調査ではありません。四分位は本編の表に示された値で、倍率と換算は表の値から筆者が算出しました。グラフデータの著作権はIPAが保有しており、著作権表示としてCopyright 2022 IPAを記します。第二に、対象です。開発5工程のフェーズ有無がすべてそろったプロジェクトが対象で、結合テストと総合テストの2工程について示されています。総合テストは受注した側が確認する工程を指すと注記されており、この記事では表記を言い換えています。第三に、結合テストです。テストケースの中央値は51.7件/KSLOCで、P25が22.2、P75が120.1、Nは665でした。本編は中央値が50.2から51.7などあまり差はないと記しています。第四に、総合テストです。中央値は16.0件でP25が6.4、P75が40.7、Nは620でした。中央値どうしを割ると3.23倍ですが、Nが違うため差の大きさは論じていません。第五に、平均です。総合テストのケース数は平均653.9で中央値16.0の40.9倍、結合テストは平均484.9で中央値51.7の9.4倍になります。上端が219,000.0と100,000.0であるため平均は根拠にしません。検出バグの4行も平均が中央値の20倍から31倍です。第六に、比較できない点です。本編は現象数と原因数のプロジェクト群は重なりが少ないため、数だけのデータでは比較できないことに留意されたいと明記しています。第七に、FP規模あたりです。表5-2-1は結合テストのテストケースが中央値1,782.3件でNが42、総合テストが556.9件でNが38でした。本編はデータ件数Nが小さいので変動したとは言えないと記しています。ケース1件あたりの重さ、ケース数と品質の関係、自動化の有無も今回の内容には含まれていません。
よくある質問
テストケースは規模あたり何件くらいですか。
IPAのソフトウェア開発分析データ集2022の表5-1-1では、結合テストの中央値が51.7件/KSLOCでNが665、総合テストが16.0件/KSLOCでNが620でした。本編は結合テストについて中央値が50.2から51.7などあまり差はないと記しています(確認日2026年9月4日)。
残るテストの量はどう見積りますか。
残る対象のSLOC規模に中央値を掛けて当たりを置き、P25とP75で上下の幅を作ります。10KSLOCなら結合テストは222件から1,201件の幅で、中央値だけで置くと517件です。工程を分けずに1本でまとめると、水準差が見えなくなります。
平均は使えますか。
使えません。総合テストのケース数は平均653.9で中央値16.0の40.9倍、標準偏差は9,799.1です。上端が219,000.0であるためで、結合テストも平均は中央値の9.4倍になります。検出バグの4行も平均が中央値の20倍から31倍です。
現象数と原因数はどちらを見ればよいですか。
どちらかを決めて固定します。本編は現象数と原因数のデータを提出しているプロジェクト群の重なりが少ないため、数だけのデータでは比較できないことに留意されたいと明記しています。2つを並べて差を読むことはできません。
FP規模あたりの値は使えますか。
参考の範囲にとどまります。表5-2-1では結合テストのテストケースが中央値1,782.3件でNが42、総合テストが556.9件でNが38、検出バグの行はNが27から41です。本編はデータ件数Nが小さいので変動したとは言えないと記しています。
出典
- *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。公開日・最終更新日・5,546プロジェクト・事業終了に伴う発行予定なしの記述の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」本編(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。表5-1-1・表5-2-1の四分位・平均・標準偏差・N・5章の前文の対象条件と比較不可の注記・IPAの記述として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022グラフデータ」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000103288.zip)。同じ表の値の確認として。著作権はIPAが保有(Copyright 2022 IPA)(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。業種編3編・サマリー版・グラフデータという構成と、2005年からのデータ収集の沿革の記述として(2026年9月確認)