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リリース前の確認事項を決める手順、全項目実施は22.4%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 6つとも未実施が49.9%:340件です*2。
- 6つすべて実施は22.4%:153件です*2。
- 途中の段階は27.7%:189件しかありません*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
リリース日が近づいてから、残っている作業が次々に出てくる。よくある詰まり方です。
そこで人を足そうとしても、何をどれだけ渡せばいいのかが決まりません。日程だけが動きます。
手がかりは、リリース時に実施している事項を企業に聞いた設問です。
IPAの調査データを集計すると、6つの実施事項のうち何も挙げなかった企業が340件、49.9%でした*2。
反対に6つすべてを挙げた企業は153件、22.4%です*2。途中の段階は189件、27.7%しかありません*2。
目次
残る作業が、リリース直前に出てくる
日程が決まっているのに、残る作業の量が読めない。この状態で人を足す判断はできません。
作業が一覧になっていないので、渡せる単位も切り出せません。結果として、社内の誰かが抱えます。
この状況を集計した資料があります*1。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」です*1。
公開日も示されています*1。2025年2月27日公開で、最終更新日は2025年4月25日と示されています*1。
調査の時期も書かれています*1。2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施されたものです*1。
回答の件数も示されています*1。2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の計873件でした*1。
この記事が扱うのは企業向けだけです*1。799件の側で、個人向けの74件は含めません*1。
データの扱いも書かれています*1。回答を匿名化してオープンデータとして公開し、分析レポートを募集しているとされています*1。
今回見るのはQ3-20です*3。システムリリース時に実施している事項を扱います*3。
母数は682件、当てはまるものを全て選ぶ形式
数値の出どころを先に決めます*2。この記事の比率は、公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です*2。
母数を実測します*2。この設問の回答対象はユーザー企業とユーザー系情報システム子会社の2種別です*3。
件数で確かめます*2。ユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件を合わせた682件が母数になります*2。
残りは対象外です*2。受託開発やパッケージなどのベンダー系117件は、この設問の回答対象ではありません*3。
形式も確かめます*3。必須の複数選択で、当てはまるものを全て選ぶ形式です*3。
だから合計は100を超えます*2。比率は682件に対する割合で、足すと100%にはなりません*2。
この記事で計算した値も分けて書きます*2。選んだ個数ごとの分布、上端と下端の幅、平均と中央値はこの記事で計算したものです*2。
母数682件は同じ調査の別の設問でも使われています*2。レガシーの仕様書を引き継ぐ手順、可視化は47.9%で扱った設問群も、この682件から絞り込んだものです*2。
6つの実施事項は31.7%から39.6%に収まる
まず項目ごとに見ます*2。上端は「ユーザー教育やリハーサルを実施している」で、270件、39.6%でした*2。
2番目は移行の段取りです*2。「移行計画を整備している」が257件で37.7%になります*2。
3番目が残課題です*2。「残課題の一覧があるか確認している」が247件で36.2%でした*2。
4番目は仕様です*2。「仕様管理が収束しているか確認している」が234件で34.3%になります*2。
5番目は戻し方です*2。「リカバリープランを準備している」が225件で33.0%でした*2。
下端は書類側です*2。「品質管理報告が整理されているか確認している」が216件で31.7%になります*2。
幅を計算します*2。39.6%から31.7%を引くと7.9ポイント、件数では270件と216件で54件の違いです*2。どちらもこの記事で計算した値です*2。
読み方はこうです*2。6つの項目はどれも3割台に収まっており、特定の項目だけが抜けている分布ではありません*2。
合計も出しておきます*2。表示した6つの比率を足すと212.5になります*2。複数選択なので100を超えます*2。
選んだ個数は0個と6個に割れる
項目ごとの比率だけでは形が見えません*2。そこで、6つのうち何個を選んだかで企業を分けます*2。
いちばん多いのは0個でした*2。340件、49.9%が6つのどれも選んでいません*2。
次に多いのは6個です*2。153件、22.4%が6つすべてを選んでいます*2。
途中は薄いです*2。1個が48件7.0%、2個が41件6.0%、3個が38件5.6%、4個が23件3.4%、5個が39件5.7%でした*2。
足してみます*2。1個から5個までを合わせると189件、27.7%です*2。3割に届きません*2。
丸めも確かめます*2。この7区分は1社が1つの区分にしか入らないため、丸めた比率を足すと100.0になります*2。補数は使いません*2。
1個以上の側も見ます*2。342件、50.1%が1個以上を選び、そのうち6個すべてが153件で44.7%でした*2。
平均も出しますが、そのままは使えません*2。選んだ個数は中央値が1個、平均が2.12個です*2。0個と6個に割れる分布なので、平均は分布を代表しません*2。
実務での意味はこうです。リリース前の確認は、一式そろえるか手を付けないかに分かれます*2。途中の段階を選ぶ企業が3割に届かないのは、ここを段階的に増やす運用が定着していないことを示します*2。
ただし資料からは、実施していない理由は読めません*3。実施している事項を選ぶ設問で、理由は示されていません*3。
1個だけならリハーサル、5個で落ちるのは書類側
割れ方の中身を見ます*2。1個だけ選んだ48件のうち、いちばん多いのは「ユーザー教育やリハーサルを実施している」の18件でした*2。
読み方はこうです*2。1つだけ残すなら、人が集まって動く作業が選ばれています*2。
反対側も見ます*2。5個を選んだ39件で欠けている項目は「品質管理報告が整理されているか確認している」が12件でした*2。
次は同数です*2。「仕様管理が収束しているか確認している」と「リカバリープランを準備している」が10件ずつで並びます*2。この2つは順位を論じません*2。
実務での意味はこうです。ほぼそろえている企業でも、最後に落ちるのは書類をまとめる側です。人が張り付く作業から先に埋まります。
ただし資料からは、この並びの理由は読めません*2。選んだ組み合わせを数え直した結果で、意味づけは示されていません*2。
何も挙げていない340件の内訳
0個の側を分けます*2。340件の内訳は3つです*2。
いちばん多いのは開発そのものがない側です*2。「特になし、開発を実施していない」が220件、32.3%でした*2。
次が判断できない側です*2。「わからない」が112件、16.4%になります*2。
残りはその他だけを選んだ側です*2。8件がこれに当たり、220件と112件と8件を足すと340件になります*2。
排他も確かめます*2。この3つと6つの実施事項は重複が0件で、互いに排他でした*2。
その他の全体も示します*2。「その他」は11件、1.6%で、そのうち3件は実施事項も選んでいます*2。自由記述の中身は公開データに含まれません*2。
読み方はこうです*2。0個の340件のうち、開発を実施していない220件は状況が違います*2。判断できない112件と合わせて、確認の実態が見えない側が残ります*2。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、リリースが遅れたかどうかが読めません*3。実施事項を聞いた設問で、日程との関係は示されていません*3。
第二に、確認の質や深さが読めません*3。実施しているかどうかの選択で、どこまで見たかは分かりません*3。
第三に、実施していない理由が読めません*3。選ばなかった側に理由を尋ねた設問はありません*3。
第四に、組み合わせの意味づけが読めません*2。1個のときの中身や5個で欠ける項目はこの記事で数え直した結果で、資料が解釈を示しているわけではありません*2。
第五に、産業別や規模別の内訳を出していません*2。682件全体の分布までです*2。
第六に、上端と下端の幅、選んだ個数の分布、平均と中央値はこの記事で計算した値です*2。資料が印字している比率ではありません*2。
第七に、回答企業の偏りが残ります*1。任意の回答であり、母集団を代表する抽出ではありません*1。
第八に、時期の範囲があります*1。2025年4月7日時点の回答であり、それより後の傾向は読めません*1。
残る作業を1つ埋める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 選択肢 | 件数 | 682件に対する比率 |
|---|---|---|
| ユーザー教育やリハーサルを実施している | 270件 | 39.6% |
| 移行計画を整備している | 257件 | 37.7% |
| 残課題の一覧があるか確認している | 247件 | 36.2% |
| 仕様管理が収束しているか確認している | 234件 | 34.3% |
| リカバリープランを準備している | 225件 | 33.0% |
| 品質管理報告が整理されているか確認している | 216件 | 31.7% |
| 特になし、開発を実施していない | 220件 | 32.3% |
| わからない | 112件 | 16.4% |
| その他 | 11件 | 1.6% |
1段目は、リリース日から逆算して残る作業を一覧にすることです。項目名ではなく、作業の単位で並べます。
2段目は、人が張り付く作業と待ちの作業を分けることです。人を足して縮む作業だけが増員の対象になります。
3段目は、社内でやる分と外へ出す分を分けることです。判断が絡む作業は社内に残します。
4段目は、外へ出す分を期間で区切って渡すことです。リリースまでの区間で終わる形にします。
1段目を先に置く理由は、分布に出ています*2。「残課題の一覧があるか確認している」は247件36.2%で、3社に1社ほどしか挙げていません*2。
2段目で分ける理由もここです*2。1個だけ選んだ48件で最も多いのが「ユーザー教育やリハーサルを実施している」の18件で、人が動く作業が先に残ります*2。
3段目で線を引く理由は落ち方に出ています*2。5個を選んだ39件で欠けている項目は「品質管理報告が整理されているか確認している」が12件で、まとめる側が後回しになります*2。
4段目を期間で区切る理由は割れ方です*2。0個が49.9%、6個が22.4%で、途中の段階が27.7%しかありません*2。一式そろえる形に一度で寄せるより、区間を決めて足すほうが動かしやすくなります*2。
実務では、2段目で切り出した作業と3段目の外へ出す分が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。範囲と期間を区切って渡し、リリースが終われば戻せるためです。
逆に、1段目の一覧づくりを外へ出すと、何を残すかの決めが外に出ます。一覧の形と優先順位は社内に置きます。
人を増やす側の方針はIT人材の増減|運用だけ維持28.0%が増加22.4%を超えるで同じ調査の別の設問を扱っています。22.4%という値が両方に出ますが、母数が682件と799件で違い、指すものも別です*2。
不足への対応方針はIT人材不足の対応とは、中途54.2%と外部委託44.1%で整理しています。
稼働と契約期間の管理は人的リソースの管理|35.0%、システム資産は63.2%で扱っています。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、企業799件の回答があったものです*1。
まとめ:残る作業を一覧にしてから、渡す分を期間で区切る
第一に、資料です。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」は2025年2月27日公開・2025年4月25日最終更新で、2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、2025年4月7日時点で企業799件・個人74件の計873件の回答がありました。この記事は企業向けの799件だけを扱い、回答は匿名化されてオープンデータとして公開されています。第二に、母数です。Q3-20の回答対象はユーザー企業とユーザー系情報システム子会社の2種別で、ユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件を合わせた682件が母数、ベンダー系117件は回答対象ではありません。必須の複数選択で当てはまるものを全て選ぶ形式なので、比率の合計は100を超えます。比率は公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です。第三に、項目ごとの分布です。ユーザー教育やリハーサルが270件39.6%、移行計画が257件37.7%、残課題の一覧が247件36.2%、仕様管理が234件34.3%、リカバリープランが225件33.0%、品質管理報告が216件31.7%でした。幅は7.9ポイント・54件で、表示した6つの比率を足すと212.5になります。第四に、割れ方です。6つのうち0個が340件49.9%、6個すべてが153件22.4%で、1個から5個までは合わせて189件27.7%しかありません。この7区分は丸めた比率を足すと100.0になります。選んだ個数は中央値が1個、平均が2.12個で、平均は分布を代表しません。第五に、中身です。1個だけ選んだ48件で最も多いのはユーザー教育やリハーサルの18件、5個を選んだ39件で欠けている項目は品質管理報告が12件でした。第六に、0個の内訳です。特になし・開発を実施していないが220件32.3%、わからないが112件16.4%、その他だけが8件で、合わせて340件です。この3つと6つの実施事項は重複が0件で互いに排他でした。
よくある質問
リリース前に何を確認している企業が多いのですか。
IPAの2024年度ソフトウェア動向調査の公開データを集計すると、母数682件に対して「ユーザー教育やリハーサルを実施している」が270件39.6%で上端でした。以下、移行計画が257件37.7%、残課題の一覧が247件36.2%、仕様管理が234件34.3%、リカバリープランが225件33.0%、品質管理報告が216件31.7%です。複数選択なので合計は100を超えます(確認日2026年9月10日)。
6つの項目のうち、いくつを実施している企業が多いのですか。
0個と6個に割れます。6つのどれも選んでいない企業が340件49.9%、6つすべてを選んだ企業が153件22.4%で、1個から5個までは合わせて189件27.7%しかありません。選んだ個数は中央値が1個、平均が2.12個です。
何も選んでいない340件はどういう企業ですか。
内訳は3つです。「特になし、開発を実施していない」が220件32.3%、「わからない」が112件16.4%、「その他」だけを選んだ企業が8件で、合わせて340件になります。この3つと6つの実施事項は重複が0件で互いに排他でした。
この設問の母数はなぜ799件ではないのですか。
回答対象が企業種別で絞られているためです。設問一覧では回答対象がユーザー企業とユーザー系情報システム子会社の2種別で、CSVを数えると662件と20件の682件でした。受託開発やパッケージなどのベンダー系117件は、この設問の回答対象ではありません。
ほぼ実施している企業が落としているのはどの項目ですか。
5個を選んだ39件で欠けている項目は「品質管理報告が整理されているか確認している」が12件でした。「仕様管理が収束しているか確認している」と「リカバリープランを準備している」が10件ずつで並びます。理由は設問に含まれないため示せません。
出典
- *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日・調査期間2024年12月17日から2025年2月14日・2025年4月7日時点で企業799件と個人74件の計873件の回答・匿名化してオープンデータとして公開し分析レポートを募集しているという方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。Q3-20の回答を集計した元データとして。この記事の件数・比率・幅・選んだ個数ごとの分布・平均と中央値はこのCSVから筆者が集計・計算した値であり、資料に印字された比率ではない。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。Q3-20の設問文・9つの選択肢・必須である旨・回答種別(複数選択と自由記述)・回答対象がユーザー企業とユーザー系情報システム子会社の2種別であることの確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と、年度ごとに調査が公開されていることの確認として(2026年9月確認)