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レガシー放置の影響とは、保守性77.3%と人材の欠乏44.8%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 保守性の低下が77.3%:297件です*2。
- 人材の欠乏が44.8%:172件で3番目です*2。
- 7割が3枠を使い切る:271件70.6%です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
触れる人が抜けたあと、そのシステムの仕様が誰にも分からない。よくある詰まり方です。
手を入れる前に読み解く作業が必要で、そこに人を置けません。放置が続きます。
手がかりは、レガシーを放置した場合の影響を企業に聞いた設問です。
IPAの調査データを集計すると、上端は保守性・効率性の低下と運用コストの増加で297件、77.3%でした*2。
3番目に「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」が172件、44.8%で入ります*2。人が抜けること自体が影響として挙がります*2。
目次
仕様が分からないので、手を入れられない
担当者が抜けたあと、まず困るのは仕様です。動いているのに、どう動いているかが分かりません。
読み解く作業から始めることになりますが、その工数が読めません。だから着手が後ろに倒れます。
この状況を集計した資料があります*1。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」です*1。
公開日も示されています*1。2025年2月27日公開で、最終更新日は2025年4月25日と示されています*1。
調査の時期も書かれています*1。2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施されたものです*1。
回答の件数も示されています*1。2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の計873件でした*1。
この記事が扱うのは企業向けだけです*1。799件の側で、個人向けの74件は含めません*1。
データの扱いも書かれています*1。回答を匿名化してオープンデータとして公開し、分析レポートを募集しているとされています*1。
今回見るのはQ5-10です*3。レガシーを放置した場合の影響を扱います*3。
母数は384件、絞り込みは2段
数値の出どころを先に決めます*2。この記事の比率は、公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です*2。
母数を実測します*2。絞り込みは2段です*2。
1段目は企業種別です*3。ユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件の682件が対象で、ベンダー系117件は回答対象ではありません*2。
2段目はレガシーの保有です*3。「レガシーに該当するシステムを保有している」322件と、「過去レガシーに該当するシステムを保有していたが、今は保有していない」62件を足した384件が母数になります*2。
レガシーの定義も引いておきます*3。資料は老朽化・陳腐化、複雑化・肥大化、ブラックボックス化のいずれかに該当するものをレガシーとみなすとしています*3。
この3つ目が今回の話につながります*3。ブラックボックス化は「ドキュメントなどが整備されておらず、属人的に運用・保守が行われ、障害発生元やシステムの仕様がわからない」状態と説明されています*3。
思い浮かべる対象の指示もあります*3。前段のQ5-3で「経営上及びビジネス上最も重要と考えられるシステムを一つ思い浮かべて」と指示され、以降の設問も同様とされています*3。
形式も確かめます*3。必須の複数選択で、当てはまるものを3つまで全て選ぶ形式です*3。上限が3つであることは設問文に書かれています*3。
だから合計は100を超えます*2。比率は384件に対する割合で、足すと100%にはなりません*2。
同じ384件を母数にした設問はレガシー移行に必要な人材の違い、設計43.8%と製造7.3%でも扱っています*2。母数が同じなので、別の設問に同じ件数や同じ比率が現れます*2。
上端は保守性・効率性の低下で77.3%
まず項目ごとに見ます*2。上端は「システムの保守性、効率性の低下、運用コストの増加」で297件、77.3%でした*2。
2番目は業務が止まる側です*2。「業務継続性・生産性の低下」が181件で47.1%になります*2。
3番目が人です*2。「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」が172件で44.8%でした*2。
ここから下は2割台です*2。「セキュリティリスクの増大」が94件24.5%、「競争力の低下」が84件21.9%、「規制対応が困難になる」が76件19.8%です*2。
残りも並べます*2。「ビジネス拡大のための高度なシステム連携やデータ連携が困難」が65件16.9%、「サプライチェーンの持続が困難になる」が11件2.9%でした*2。
判断できない側は少数です*2。「わからない」は6件1.6%、「その他」は4件1.0%で、自由記述の中身は公開データに含まれません*2。
合計も出しておきます*2。表示した10の比率を足すと257.8になり、延べ選択数は990件です*2。3つまで選べるので100を超えます*2。
上に集まっている度合いも計算します*2。上位3つの延べ650件は、延べ選択数990件の65.7%にあたります*2。この割り算はこの記事で行ったものです*2。
読み方はこうです*2。77.3%と47.1%の間に30.2ポイントの段差があり、上端だけが抜けています*2。その次に業務停止と人の話が並びます*2。
3枠のうち7割が使い切っている
項目ごとの比率だけでは、選び方の癖が見えません*2。そこで、何個選んだかで企業を分けます*2。
上限まで使う側が多数でした*2。3個が271件、70.6%です*2。
残りは少数です*2。1個が49件12.8%、2個が64件16.7%でした*2。
丸めも確かめます*2。この3区分は1社が1つの区分にしか入らず、丸めた比率を足すと100.1になります*2。補数は使いません*2。
平均も出しますが、そのままは使えません*2。選んだ個数は中央値が3個、平均が2.58個です*2。上限に張り付いた分布なので、平均は真ん中を表しません*2。
読み方はこうです*2。影響を3つに絞れと言われても、7割が絞りきれずに枠を全部使います*2。放置の影響は単独では成立せず、束で認識されています*2。
ただし資料からは、3つの順位づけは読めません*3。3つまで選ぶ形式で、選んだ中の優劣を尋ねてはいません*3。
最も多い3点セットに人材の欠乏が入る
束の中身を見ます*2。3個を選んだ271件の組み合わせは34種類ありました*2。
いちばん多い束は3点セットです*2。「保守性・効率性の低下」と「業務継続性・生産性の低下」と「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」で57件でした*2。
比率も出します*2。3個を選んだ271件の21.0%、母数384件の14.8%にあたります*2。どちらもこの記事で計算した値です*2。
人の側から見直します*2。「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」を選んだ172件のうち、「保守性・効率性の低下」も選んだのは137件で79.7%でした*2。
業務が止まる側との重なりも出します*2。「業務継続性・生産性の低下」も選んだのは70件、40.7%です*2。
単独はまれです*2。「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」だけを選んだのは6件、3.5%でした*2。
1個だけ選んだ側も見ます*2。49件のうち「保守性・効率性の低下」が16件で上端、「業務継続性・生産性の低下」が12件で続きます*2。
同数の並びもあります*2。「わからない」6件と「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」6件が同数で、順位は論じません*2。
読み方はこうです*2。人が抜ける話は、保守コストの上昇とほぼ同じ束で語られています*2。人の問題として単独で扱われる例は3.5%しかありません*2。
ただし資料からは、選ばれ方の因果は読めません*2。同じ企業が何を選んだかを数え直した結果で、どちらが先かは示されていません*2。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、実際に放置しているかどうかが読めません*3。放置した場合に影響が大きいと思われるものを尋ねた設問です*3。
第二に、影響が起きた実績が読めません*3。見込みを聞いた設問で、発生の有無は示されていません*3。
第三に、影響の大きさの程度が読めません*3。当てはまるかどうかの選択で、金額や期間はありません*3。
第四に、選んだ3つの順位づけが読めません*3。選んだ中の優劣を尋ねてはいません*3。
第五に、組み合わせの因果が読めません*2。34種類の束や137件という重なりはこの記事で数え直した結果で、資料が解釈を示しているわけではありません*2。
第六に、産業別や規模別の内訳を出していません*2。384件全体の分布までです*2。
第七に、延べ選択数990件に対する65.7%、選んだ個数の分布、中央値と平均はこの記事で計算した値です*2。資料が印字している比率ではありません*2。
第八に、6件1.6%という値は同じ384件を母数にした別の設問にも現れますが、指すものは違います*2。混ぜて読まないでください*2。
第九に、回答企業の偏りが残ります*1。任意の回答であり、母集団を代表する抽出ではありません*1。
第十に、時期の範囲があります*1。2025年4月7日時点の回答であり、それより後の傾向は読めません*1。
つなぎの手を1つ決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 選択肢 | 件数 | 384件に対する比率 |
|---|---|---|
| システムの保守性、効率性の低下、運用コストの増加 | 297件 | 77.3% |
| 業務継続性・生産性の低下 | 181件 | 47.1% |
| 技術及び業務知識を持つ人材の欠乏 | 172件 | 44.8% |
| セキュリティリスクの増大 | 94件 | 24.5% |
| 競争力の低下 | 84件 | 21.9% |
| 規制対応が困難になる | 76件 | 19.8% |
| ビジネス拡大のための高度なシステム連携やデータ連携が困難 | 65件 | 16.9% |
| サプライチェーンの持続が困難になる | 11件 | 2.9% |
| わからない | 6件 | 1.6% |
| その他 | 4件 | 1.0% |
1段目は、抜けた人が持っていた作業を一覧にすることです。役割名ではなく、作業の単位で並べます。
2段目は、仕様を読み解く作業と、業務をどうするか決める作業を分けることです。前者は調べれば進み、後者は決裁が要ります。
3段目は、読み解く側を外へ出す分と社内に残す分に分けることです。判断が絡む範囲は社内に残します。
4段目は、外へ出す分を期間で区切って渡すことです。読み解いた結果を文書として受け取る形にします。
1段目を先に置く理由は、資料のレガシーの定義に出ています*3。ブラックボックス化は属人的に運用・保守が行われ、仕様がわからない状態と説明されています*3。作業を並べないと、渡せる単位が出てきません*3。
2段目で分ける理由は分布にあります*2。人材の欠乏を選んだ172件のうち137件79.7%が保守性・効率性の低下も選んでいます*2。人が抜けた影響は、手を動かす作業の増加として現れています*2。
3段目で線を引く理由も同じ束です*2。3個を選んだ271件で最も多い57件の組み合わせには、業務継続性・生産性の低下も入ります*2。業務が止まる範囲の判断は社内に残す必要があります*2。
4段目を期間で区切る理由は絞れない側です*2。3枠を使い切った企業が271件70.6%で、影響を1つに絞る運用にはなっていません*2。区間を決めて片づけるほうが動かしやすくなります*2。
実務では、3段目で外へ出す分が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。読み解く範囲と期間を区切って渡し、文書で受け取れるためです。
逆に、1段目の一覧づくりと2段目の線引きを外へ出すと、何を残すかの決めが外に出ます。ここは社内に置きます。
仕様書の側の実態はレガシーの仕様書を引き継ぐ手順、可視化は47.9%で同じ調査の別の設問を扱っています。
不足への対応方針はIT人材不足の対応とは、中途54.2%と外部委託44.1%で整理しています。
稼働と契約期間の管理は人的リソースの管理|35.0%、システム資産は63.2%で扱っています。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、企業799件の回答があったものです*1。
まとめ:作業を一覧にしてから、読み解く分を期間で区切る
第一に、資料です。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」は2025年2月27日公開・2025年4月25日最終更新で、2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、2025年4月7日時点で企業799件・個人74件の計873件の回答がありました。この記事は企業向けの799件だけを扱い、回答は匿名化されてオープンデータとして公開されています。第二に、母数です。絞り込みは2段で、1段目がユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件の682件、2段目がレガシーを保有している322件と過去に保有していた62件を足した384件です。ベンダー系117件は回答対象ではありません。必須の複数選択で3つまで全て選ぶ形式なので、比率の合計は100を超えます。比率は公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です。第三に、項目ごとの分布です。保守性・効率性の低下と運用コストの増加が297件77.3%、業務継続性・生産性の低下が181件47.1%、技術及び業務知識を持つ人材の欠乏が172件44.8%、セキュリティリスクの増大が94件24.5%、競争力の低下が84件21.9%、規制対応が76件19.8%、ビジネス拡大のためのシステム連携が65件16.9%、サプライチェーンの持続が11件2.9%でした。わからないが6件1.6%、その他が4件1.0%で、表示した10の比率を足すと257.8、延べ選択数は990件です。第四に、選び方です。3個が271件70.6%で、1個が49件12.8%、2個が64件16.7%でした。この3区分は丸めた比率を足すと100.1になります。中央値は3個、平均は2.58個で、上限に張り付いた分布です。第五に、束の中身です。3個を選んだ271件の組み合わせは34種類あり、保守性と業務継続性と人材の欠乏の3点セットが57件で、271件の21.0%・384件の14.8%にあたります。人材の欠乏を選んだ172件のうち137件79.7%が保守性も選び、70件40.7%が業務継続性も選び、単独は6件3.5%でした。第六に、1個だけの側です。49件のうち保守性が16件で上端、業務継続性が12件、わからない6件と人材の欠乏6件が同数で並びます。
よくある質問
レガシーを放置すると何が起きると考えられていますか。
IPAの2024年度ソフトウェア動向調査の公開データを集計すると、母数384件に対して「システムの保守性、効率性の低下、運用コストの増加」が297件77.3%で上端でした。以下、業務継続性・生産性の低下が181件47.1%、技術及び業務知識を持つ人材の欠乏が172件44.8%、セキュリティリスクの増大が94件24.5%と続きます。3つまで選ぶ形式なので合計は100を超えます(確認日2026年9月10日)。
人材の話はどのくらい挙がっているのですか。
「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」は172件44.8%で3番目でした。この172件のうち137件79.7%は「システムの保守性、効率性の低下、運用コストの増加」も選んでおり、単独で選んだのは6件3.5%です。人が抜ける話は手を動かす作業の増加とほぼ同じ束で語られています。
影響はいくつまで選べるのですか。
3つまでです。上限が3つであることは設問文に書かれています。選んだ個数で分けると3個が271件70.6%、1個が49件12.8%、2個が64件16.7%で、7割が上限を使い切っていました。選んだ中の順位づけは尋ねられていないため読めません。
この設問の母数はなぜ799件ではないのですか。
絞り込みが2段あるためです。1段目は企業種別で、ユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件の682件が対象、ベンダー系117件は回答対象ではありません。2段目はレガシーの保有で、保有している322件と過去に保有していた62件を足した384件がこの設問の母数です。
最も多い組み合わせは何ですか。
3個を選んだ271件の組み合わせは34種類あり、いちばん多いのは「保守性・効率性の低下」「業務継続性・生産性の低下」「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」の3点セットで57件でした。271件の21.0%、母数384件の14.8%にあたります。
出典
- *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日・調査期間2024年12月17日から2025年2月14日・2025年4月7日時点で企業799件と個人74件の計873件の回答・匿名化してオープンデータとして公開し分析レポートを募集しているという方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。Q5-10の回答を集計した元データとして。この記事の件数・比率・延べ選択数・選んだ個数の分布・組み合わせの件数・中央値と平均はこのCSVから筆者が集計・計算した値であり、資料に印字された比率ではない。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。Q5-10の設問文・10の選択肢・3つまでという上限・必須である旨・回答種別(複数選択と自由記述)・回答対象がユーザー企業とユーザー系情報システム子会社の2種別であること、Q5-2のレガシーの定義とブラックボックス化の説明、Q5-3の一つ思い浮かべるという指示の確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と、年度ごとに調査が公開されていることの確認として(2026年9月確認)