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2026.09.18 採用支援コラム

既存システムの刷新と新規導入の違い、予算増の理由は66.3%




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 予算増の理由は既存システムが1位:25年度計画では、66.3%が「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」を挙げました。*1
  • 新規システム導入とは27.9ポイント差:新規システム導入の38.4%を27.9ポイント上回っています。*1
  • 4年で17.8ポイント下がった:23年度計画の78.1%から26年度予測の60.3%まで下がり、それでも各年で1位です。*1

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

基幹システムの入れ替えが来期の計画に載ったが、担当できる人が社内に1人しかいない。あるいは、予算は付いたのに、着手できる要員がいないまま期が変わった——。既存システムの刷新では、多くの現場が予算と要員のずれに突き当たります。目安になるのが、JUASが毎年公表している「企業IT動向調査」です。IT予算が増える企業に、その理由を選んでもらった設問が置かれています。*1

他社が何を理由に予算を増やしているかが分かれば、自社の計画が例外なのかどうかを先に確かめられます。ただし万能ではなく、理由の順位が分かるだけで、その作業を誰が担っているのかまでは書かれていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、何が挙がっているのか、既存システムの刷新と新規システム導入の違い、4年分の推移、どう当てはめるのか、つまずきやすい点、そして外注の勘所を整理します。

コンクリートの梁と屋根が交わる部分を下から見上げ、切り取られた空がのぞいている画

IT予算を増やす理由に何が挙がっているのか

JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」は、東証上場企業とその子会社を対象に、2025年9月5日から10月24日にかけて実施されました。回収数は957社、有効回答率は21.3%です。*1 このうちIT予算の増加理由に答えたのは、25年度計画で502社、26年度予測で474社です。*1 減少理由に答えたのはそれぞれ89社と94社で、回収数の957社すべてが答えた設問ではありません。*1

IT予算の増加理由(出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)図表2-1-3。複数回答。回答したのはIT予算の増加理由を答えた企業で、23年度計画は470社、24年度計画は496社、25年度計画は502社、26年度予測は474社。「未調査」はその年度に選択肢が無かったことを示す。この表は資料に示された数値をもとに筆者が作成したものであり、資料の図表そのものを複製したものではない)
増加理由 23年度計画 24年度計画 25年度計画 26年度予測
新規システム導入 37.0% 30.8% 38.4% 38.8%
業務のデジタル化対応 48.7% 41.7% 38.8% 39.7%
事業変革に向けたデジタル化対応 29.6% 23.6% 23.9% 28.9%
AI関連の投資・利用料増加 未調査 未調査 36.3% 43.7%
既存システム・基盤の刷新・更新・増強 78.1% 73.0% 66.3% 60.3%
クラウドサービス増加 未調査 35.7% 45.0% 44.9%
円安・人件費高騰・ベンダー提供価格の値上げなどによる影響 未調査 43.5% 46.6% 45.6%
その他 6.2% 3.4% 1.6% 2.1%

25年度計画でいちばん多く挙がったのは「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」で66.3%でした。*1 2位は「円安・人件費高騰・ベンダー提供価格の値上げなどによる影響」の46.6%、3位は「クラウドサービス増加」の45.0%です。*1 26年度予測でも上位3つの順位は変わりません。*1

ここで、束ね方の定義を確かめておく必要があります。資料は「基幹システムの刷新」「既存システム(基幹システム以外)の刷新」「基盤整備・増強」のいずれか一つ以上を回答した企業の割合を、「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」として集計しています。*1 3つの別々の作業をまとめた値なので、66.3%の企業が基幹システムを刷新する、という読み方はできません。

既存システムの刷新と新規システム導入の違い

同じ設問には「新規システム導入」という選択肢もあります。25年度計画では38.4%で、既存システムの66.3%とは27.9ポイントの差がつきました。*1 26年度予測でも38.8%と60.3%で、21.5ポイント離れています。*1 予算が増える理由は、新しく作ることより、すでにあるものを直すことに寄っています。

業種で見ると、25年度計画では10の業種グループすべてで「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」が最も高い理由でした。*1 いちばん高いのは卸売の80.0%、いちばん低いのはサービスの57.6%で、開きは22.4ポイントです。*1 業種を問わないという点が、この項目の特徴です。

ただし26年度予測では崩れます。資料によれば、建築・土木は「クラウドサービス増加」の62.5%、基礎素材型製造は「業務のデジタル化対応」の51.5%が最も高くなりました。*1 なお27.9ポイント、21.5ポイント、22.4ポイントは、いずれも資料が印字した値ではなく、示された割合から筆者が算出しました。

4年分の推移とAI関連の伸び

4年分を並べると、この項目は下がり続けています。23年度計画の78.1%、24年度計画の73.0%、25年度計画の66.3%、26年度予測の60.3%。*1 4年で17.8ポイント下がりました。それでも各年で1位のままです。

入れ替わりに伸びたのがAI関連です。25年度から加わった「AI関連の投資・利用料増加」は、25年度計画の36.3%から26年度予測の43.7%へ7.4ポイント上がり、資料はこれを最も伸びが大きい項目だと書いています。*1 26年度予測では4位です。*1

なぜ既存システムの割合が下がったのかは、調査に書かれていません。刷新が一巡したのか、増えた予算がAIへ回ったのか、いずれの理由も今回参照した資料からは読み取れませんでした。なお17.8ポイントは、示された割合から筆者が算出した値です。

どう当てはめるのか

当てはめ方は、来期の計画に載っている作業を1つだけ選ぶところから始めます。基幹システムの刷新なのか、基幹以外の既存システムの刷新なのか、基盤の整備・増強なのか。資料が束ねた3つのどれに当たるかで、必要な人が変わります。

既存システムの刷新を3つに分けて要員を決める手順を、左から右へ4つの箱で示した図。1つ目は来期の計画から作業を1つだけ選ぶこと、2つ目はそれが基幹システムの刷新・基幹以外の既存システムの刷新・基盤の整備・増強のどれに当たるかを決めること、3つ目は「現行調査を3か月」のように作業と期間を1行で書くこと、4つ目は外部の要員に出したうえで、どの機能までを刷新に含めるかの判断は社内に残すこと。数値はJUAS「企業IT動向調査2026」図表2-1-3による。25年度計画は既存システムが66.3%、新規システム導入が38.4%。増加理由に回答したのは502社で、複数回答。

基幹システムの刷新なら、現行の業務と仕様を読み解ける人が要ります。基盤の整備・増強なら、対象の製品やクラウドを扱った経験がある人で進みます。同じ「既存システムの刷新」でも、この2つは別の募集になります。

選んだ作業と期間を書き出してください。「基幹システムの現行調査を3か月」といった粒度で構いません。外部の要員(フリーランスを含む業務委託)は、作業と期間が決まっているほど合わせやすい調達の仕方になります。

つまずきやすい難所

一つめは、66.3%を基幹システムの刷新の割合として読むことです。この値は3つの作業のいずれか一つ以上を答えた企業の割合で、内訳は示されていません。*1

二つめは、全社の傾向として扱うことです。IT予算の増加理由に答えたのは25年度計画で502社にとどまり、回収数の957社の分布ではありません。*1

三つめは、予算の理由から要員の状況を読み取ろうとすることです。その作業を社内の要員が担うのか外部の要員が担うのかは、この設問に含まれていません。

外注時に確認しておきたい点

書き出したら、現行の調査から任せるのか、決まった仕様の移行作業だけを任せるのかを分けます。前者なら業務と仕様を読み解ける経験が要りますし、後者なら手数を出せる人で足ります。この区別を曖昧にしたまま声をかけると、着任してから作業を詰め直すことになり、社内の確認工数がかえって増えます。

一方、今回の刷新にどの機能までを含めるかの判断は社内に残してください。ここを社外に委ねると、受け取った成果物が計画と合っているかを評価する基準が社内からなくなります。

正社員の採用と外部の要員では、向く場面が違います。刷新したあとの運用まで自社で持ちたいなら採用、刷新の期間だけ人手と判断を加えたいなら外部の要員でしょう。どちらにしても、3つのどれに当たるかを先に決めてからのほうが条件を書けます。

刷新そのものが止まる話はレガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足で扱っています。

工程のどこを外部に委託しているかはシステム開発の外部委託|設計・実装・テストで63.4%にあります。

刷新の途中で品質が崩れたときはシステム開発の品質はなぜ崩れる?ベンダーのスキル不足が過半数で整理しました。

日程が押したときの切り分けは開発遅延の要因は社員のスキル不足が46.5%を占めるにあります。

まとめ:既存システムの刷新で押さえる3つの視点

IT予算が増える理由は、新しく作ることより、すでにあるものを直すことに寄っています。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、25年度計画で「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」を挙げた企業が66.3%で、新規システム導入の38.4%を27.9ポイント上回ったこと。*1 第二に、この値は「基幹システムの刷新」「既存システム(基幹システム以外)の刷新」「基盤整備・増強」のいずれか一つ以上を答えた企業の割合で、内訳は示されていないこと。*1 第三に、4年で78.1%から60.3%へ17.8ポイント下がりながら、各年で1位を保っていることです。*1 この3点を踏まえておけば、「予算は付いたのに、着手できる要員がいないまま期が変わった」という事態を避けやすくなります。来期の作業が3つのどれに当たるかを決め、作業と期間を書き出すところまでは社内でできます。その先、現行を読み解ける人が社内にいなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

来期の作業が3つのどれに当たるか決まったあとは、担い手を探す段階です。基幹システムの現行調査を3か月、データ移行の設計を2か月——このくらいまで書けていれば、求める経験の条件も決まります。現行の調査から任せるのか、決まった仕様の移行だけを任せるのかで、声をかける相手が変わるためです。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材ニーズの発生から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で稼働まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

IT予算を増やす理由でいちばん多いのは何ですか

JUAS「企業IT動向調査2026」では、25年度計画で「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」が66.3%と最も多い回答でした。*1 26年度予測でも60.3%で1位です。*1 確認日は2026年9月18日です。

66.3%は基幹システムを刷新する企業の割合ですか

違います。「基幹システムの刷新」「既存システム(基幹システム以外)の刷新」「基盤整備・増強」のいずれか一つ以上を答えた企業の割合です。*1 3つの内訳は示されていません。確認日は2026年9月18日です。

新規システム導入とどのくらい差がありますか

25年度計画は66.3%と38.4%で27.9ポイント、26年度予測は60.3%と38.8%で21.5ポイントの差でした。*1 この差は筆者が算出しています。確認日は2026年9月18日です。

業種によって違いますか

25年度計画では10の業種グループすべてで1位でした。*1 いちばん高い卸売が80.0%、いちばん低いサービスが57.6%で、開きは22.4ポイントです。*1 確認日は2026年9月18日です。

割合が下がっている理由は分かりますか

今回参照した資料に記載はありません。23年度計画の78.1%から26年度予測の60.3%まで17.8ポイント下がっていますが、その理由は示されていません。*1 確認日は2026年9月18日です。

刷新の作業が決まったら相談

「基幹システムの現行調査を3か月」といった形で作業と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ3つのどれに当たるか決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、現行の調査から任せる要員も、決まった仕様の移行を分担する要員も、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)報告書(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会発行。調査期間2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とその子会社、25年度の回収数957社・有効回答率21.3%、図表2-1-3(IT予算の増加理由)、図表2-1-4(IT予算の減少理由)、図表2-1-9(業種グループ別 IT予算の増加理由)、図表2-1-11(同 26年度予測)の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに図と表を筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
  2. *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が毎年実施され報告書が公開されていることの確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:JUAS 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行元の確認として(2026年9月確認)




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