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マネジメントに進まないエンジニアの処遇設計
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 採用しにくさは制度側の問題でもある:指針は従来の雇用制度への危機感として「専門性を有する人材が採用しにくい」を挙げています*1。
- 等級の作り方は2通りある:専門職トラックを分ける形と、組織長と専門職を同一等級で処遇する形の両方が事例にあります*1。
- 等級表を変えずに反映もできる:等級に基づく基本給に、スキル・専門性の高さに応じた加算を載せる仕組みの例もあります*1。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
「マネジメントは担わないが、技術的な判断は任せたい」。この役割の人を採ろうとして、社内の等級表に置き場がなく止まる——採用の現場でよく起きる詰まり方です。以前エンジニアの年収レンジと公的統計の使い方で触れた「階段に乗らない人」の問題を、今回は制度の側から扱います。
この論点は、国の資料でも正面から扱われています。内閣官房・経済産業省・厚生労働省が令和6年8月28日に公表した「ジョブ型人事指針」は、従来の我が国の雇用制度に対する日本企業の危機感として、最先端の知見を有する人材など専門性を有する人材が採用しにくいという点を最初に挙げています*1。
指針には20社の導入事例が収録されており、専門職をどう等級に置いているかがそれぞれ書かれています。本記事ではその形を整理し、規模の小さい会社が先に手を付ける順序まで落とします。要件の書き方はエンジニア求人票の書き方と必須14項目で扱っています。なお制度の改定は労働条件の変更に関わるため、実務では社会保険労務士等への確認を経て進めてください。
目次
「等級に置けない」は、採用ではなく制度の問題
まず問題の所在を確認します。日本企業の等級は、多くの場合マネジメントの階段として設計されてきました。役職別の賃金を見ると、その構造がはっきり出ます。
令和6年賃金構造基本統計調査では、一般労働者のうち雇用期間の定めのない者について、男女計で部長級627.2千円、課長級512.0千円、係長級385.9千円、非役職者302.8千円でした*2。非役職者を100としたときの役職・非役職間賃金格差は、部長級207.1、課長級169.1、係長級127.4です*2。
この階段に乗らない役割を採ろうとすると、賃金欄が書けません。技術的な判断は課長級に相当する重さがあるのに、部下を持たないため非役職者の枠しか用意されていない。そのまま非役職者の水準で提示すれば、候補者は他社を選びます。
この状況は、個々の会社の運の悪さではありません。ジョブ型人事指針は、従来の我が国の雇用制度について次の3点の危機感が日本企業から提示されていると整理しています*1。
- ⅰ)最先端の知見を有する人材など専門性を有する人材が採用しにくい
- ⅱ)若手を適材適所の観点から抜てきしにくい
- ⅲ)日本以外の国ではジョブ型人事が一般的となっているため、社内に人材をリテインすることが困難
1番目が本記事の主題です。採用しにくさの一部は、募集や選考の問題ではなく制度の問題として国の資料に位置づけられていると読めます。社内で議論するときの足場として使える整理でしょう。
ジョブ型人事指針が示していること、示していないこと
指針そのものの位置づけを押さえておきます。令和6年6月21日に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」で、ジョブ型人事指針を策定する旨が定められました*1。
そこでは、職務(ジョブ)ごとに要求されるスキルを明らかにすることで労働者が自分の意思でリ・スキリングを行え、職務を選択できる制度に移行していくことが重要とされ、それにより内部労働市場と外部労働市場をシームレスにつなげ、社外からの経験者採用にも門戸を開き、労働者が自らの選択によって社内・社外共に労働移動できるようにしていくことが急務であると述べられています*1。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| ⅰ | 制度の導入目的、経営戦略上の位置付け |
| ⅱ | 導入範囲、等級制度、報酬制度、評価制度等の制度の骨格 |
| ⅲ | 採用、人事異動、キャリア自律支援、等級の変更等の雇用管理制度 |
| ⅳ | 人事部と各部署の権限分掌の内容 |
| ⅴ | 労使コミュニケーション等の導入プロセス |
重要なのは、指針が「あるべき制度の型」を1つ示していない点です。日本企業といっても個々の企業の経営戦略や歴史など実態が千差万別であることに鑑み、自社のスタイルに合った導入方法を各社が検討できることが大切であるとして、多様な企業の事例を掲載する形が採られています*1。
したがって読み方も決まります。20社の事例は正解集ではなく選択肢の一覧です。自社の規模や既存制度に近い形を探し、部分的に借りるという使い方が現実的でしょう。
分ける形——専門職トラックを別に置く
専門職の置き方には大きく2通りあります。まず、マネジメント系と専門職系を別の等級・トラックとして置く形です。
ソニーグループの等級制度は2種類で、専門性に基づく成果発揮が期待されるIndividual Contributor等級と、組織を統轄しビジネスを推進する等級に分かれています*1。ジョブグレード制度はソニーグループ株式会社、ソニー株式会社、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の3社とそのグループ会社に所属する約5万人が対象で、管理職と非管理職とで人事制度を分けることはせず全社的に導入されています*1。
オムロンはさらに細かく分けています。等級を「チームマネジメント」「プレーヤーA(企画判断中心)」「プレーヤーB(高度オペレーション中心)」「スペシャリスト系」の4つのキャリアパスに分け、社員は自身のキャリア志向に応じて各キャリアパスを行き来することができる仕組みとしています*1。等級の階層は経営基幹職と主査の階層で、それぞれのジョブの役割責任に応じて等級が設定され、役割責任が変われば等級も上下します*1。
採用の観点で見ると、分ける形には明確な利点があります。募集の段階で「この役割はマネジメントを前提としない」と示せることです。候補者側の懸念のひとつは「いずれ管理職を求められるのではないか」という点であり、トラックが分かれていればその不安に答えられます。
一方で注意点もあります。トラックを分けると、両者の間に上下関係の認識が生まれやすくなります。オムロンの事例が「行き来することができる」ことを明示しているのは、この固定化を避ける設計だと読めるでしょう。募集要項でも、専門職トラックが袋小路ではないことを説明できる状態にしておきたいところです。
分けない形——同じ等級で処遇する
もう1つは、専門職のための別トラックを作らず、同じ等級の中で処遇する形です。
三菱マテリアルでは、管理職層に部下を持たない社員もいますが、これらの社員も役割・責任の大きさに応じて組織長同様の等級に格付けられます*1。そしてマネージャー(Manager)と専門職(Individual Contributor)による2種類の等級制度にはしていません*1。その理由として、組織設計上の必要性に応じて適所適材の人材配置を実施した結果、社員がマネージャーと専門職の役割を行き来することもあり、その実態を踏まえたものと説明されています*1。
資生堂は既存の管理職の枠を広げる形を採りました。管理職は当初は部下を持つマネージャーに限定していましたが、2020年から「スペシャリスト管理職」の職制を追加し、一部の高い専門性が求められるポジションは部下がいなくとも管理職等級に位置付けることとしています*1。マネージャーと専門職の比率は9対1程度とされています*1。
| 形 | 制度上の扱い | 採用で有利な点 | 注意する点 |
|---|---|---|---|
| 分ける | 専門職系の等級・キャリアパスを別に置く | 「マネジメントを前提としない」と募集で明示できる | トラック間に上下の認識が生まれやすい。行き来できる設計にする |
| 分けない | 役割・責任の大きさで同一等級に格付ける | 既存の等級表を大きく作り替えずに始められる | 「管理職=部下を持つ人」という社内の認識を先に更新する必要がある |
| 枠を追加する | 既存の管理職等級に、部下を持たない職制を足す | 対象ポジションを限定して小さく始められる | 対象の選定基準を明文化しないと運用が属人的になる |
3行目は資生堂の形を一般化したものです。規模の小さい会社にとっては、この「枠を追加する」形がもっとも着手しやすいでしょう。等級表そのものを設計し直す作業を伴わないためです。
いずれの形でも共通するのは、役割・責任の大きさで格付けるという原則です。部下の人数ではなく、担う職責の重さで置き場を決める。この転換ができていれば、どの形でも採用要件は書けるようになります。
等級表を変えずに市場価値を反映する方法
制度改定に時間がかかる場合、別の打ち手もあります。等級の枠は動かさず、加算で調整する形です。
富士通は「高度専門職系人材処遇制度」を持っています。中長期的にビジネス拡大に向けて重要で、かつ市場価値が急騰している領域について、市場価値に照らして魅力的な報酬を設定する仕組みで、セキュリティ、データサイエンス等の領域を対象とし、各領域で特に高いスキルを持っている社員を認定した上で、等級に基づく基本給に加えて、当該領域のスキル・専門性の高さに応じて一定額を加算する形とされています*1。
利点は2つあります。等級表の全体を作り替えずに特定領域の水準だけを動かせること、そして対象領域を経営判断として選べることです。市場価値が動く領域は変わるため、固定的な等級より調整しやすい面があります。
また富士通は、外部人材の採用時に報酬の提示が難しいケースへの当面の対応として、サイン・オン・ボーナスやリテンション・ボーナスという追加報酬を適用しており、職種ごとの報酬水準の設定については報酬マーケットの成熟度を見極めながら検討していくとされています*1。職種ごとの水準が大企業でもまだ検討段階にあるという点は、自社が持てていないことを過度に問題視しなくてよいという読み方もできるでしょう。
なお、加算や一時金の設計は賃金制度の変更にあたります。就業規則との整合や不利益変更の論点が絡むため、導入にあたっては社会保険労務士等への確認を経てください。
職務記述書は「完成させてから」始めなくてよい
専門職等級を検討すると、いずれ職務記述書の話になります。ここで「全ポジションの記述書を整備してから」と考えると、着手が止まります。
富士通の事例が参考になります。職務記述書の作成にあたっては簡素化を意識し、まずは市場でテンプレート化されているものに基づき650個のロール・プロファイル(Role Profile:職種と等級ごとの標準的な役割の定義)を策定しました*1。職務記述書は、このロール・プロファイルに個々のジョブの職務内容を記述することで完成する形です*1。
そして導入に際しては、2か月間で約1万5000人分の職務記述書を完成させたとされています*1。記載ぶりについては最初から完成度の高さは求めず、実際にポスティング等で使用する中でブラッシュアップをしていく方針とされました*1。
採用実務への意味は明確でしょう。求人票を書くために、職務記述書の整備が完了している必要はありません。先に共通の型(役割の定義)を作り、そこに個別の職務内容を足す。実際に使いながら直していく。この順序であれば、募集を止めずに進められます。
共通の型を作るときの語彙としては、デジタルスキル標準の類型とロールが使えます。スキルの深さを段階で示す方法は求人票の書き方で扱いました。職務記述書と求人票は、同じ材料から作れます。
導入時の社内の反応についても記述があります。富士通が社員に説明を行った際、「ジョブ型」という言葉から「簡単に解雇ができるようになってしまうのか」「職務記述書に書かれていない仕事はやらなくて良いという意識が生まれるのではないか」といった誤解や懸念の声が多く寄せられたとされています*1。用語をそのまま社内に持ち込むと、制度の中身とは別の議論が起きるという点は、社内説明の設計で押さえておきたいところです。
制度を動かした会社で、採用の実績はどう変わったか
指針には導入後の変化についても記述があります。因果を示すものではありませんが、方向を見るうえで参考になります。
富士通では、ジョブ型人事の導入に伴い経験者採用やポスティング(社内公募制度)利用者の大幅な増加、オンライン動画プログラムでのリスキリング受講者が3倍となるなどの変化が生じたとされています*1。あわせて、自律的なキャリア形成を促進する施策を実施すると組織に遠心力が働いて退職者が増えるのではないかという懸念もあったが、実際には退職率は変わっていないと記されています*1。むしろ転職を考えていた社員が社内でも色々な挑戦ができることを知り、社内での別の職務への挑戦を選ぶといったことも生じているとのことです*1。
日立製作所はリファラル採用・グループ内公募・アルムナイ採用など採用手法を多様化しており、2023年度の採用実績では新卒採用695人、経験者採用560人で、経験者採用は2018年と比較して3.7倍に増加したとされています*1。
読み方の注意を2つ置きます。第一に、これらはいずれも大企業の事例です。数万人規模の制度改定と、数十人から数百人規模の会社が1つのポジションを作る作業は、必要な労力が桁違いです。第二に、制度を変えたから採用が増えたという因果は示されていません。同時期に採用強化そのものが行われていた可能性もあります。
それでも参考になる点があります。日立の事例では職務記述書に関して、ライフイベントで離職していた女性社員も復職後、職務記述書の要件を満たしているポジションであれば柔軟に就任するケースも増加するなど、女性の活躍推進にも資する取組となったと記されています*1。職責が言葉になっていると、時間や場所の制約がある人も対象に含めやすくなるという構造は、規模を問わず働くでしょう。母集団を広げる観点はエンジニア採用の母集団形成、先に決める9つのことで整理しています。
小さく始める順序——1つのポジションから
最後に、規模の小さい会社が明日から着手できる順序を置きます。全面改定は必要ありません。
- ① 対象のポジションを1つ決める。いま採りたい役割、または既に社内で「等級に置けない」と分かっている役割です。
- ② その職責を1枚に書く。担う責任、決められる範囲、決められない範囲。部下の人数は書きません。
- ③ 既存等級のどこに相当するか決める。役割・責任の大きさで比べます。課長級相当と判断したなら、部下がいなくてもその等級に置けるかを検討します。
- ④ 置けない場合の代替を決める。管理職等級に部下を持たない職制を追加するか、等級は据えたうえで領域を限定した加算を設けるか。
- ⑤ 募集要項と評価基準に反映する。ここまで決まっていれば、賃金欄も書けます。
この順序で1つ通すと、2つ目以降は速くなります。逆に制度全体の設計から始めると、いま採りたい人の募集が半年止まります。指針が自社のスタイルに合った導入方法を各社が検討できることが大切としているのは、こうした部分的な着手も含めた言い方だと読めるでしょう*1。
あわせて、評価基準の整備も同時に進める必要があります。IPAの「DX動向2026」では、DX人材の評価基準について「基準はない」と答えた企業が76.1%でした*3。等級に置き場を作っても、評価の基準がなければ運用できません。①〜⑤のうち②で書いた職責が、そのまま評価基準の原型になります。
なお、採用までの期間に手が足りない局面では業務委託を並走させる選択もあります。ただし制度の設計そのものを外に出しても社内に判断の軸は残りません。順序としては本記事の①〜③を先に置くのが無理のない進め方です。
まとめ:専門職の処遇設計で押さえる3つの視点
第一に、採用しにくさの一部は制度側の問題として整理されているという点です。ジョブ型人事指針は、従来の我が国の雇用制度について、最先端の知見を有する人材など専門性を有する人材が採用しにくい、若手を適材適所の観点から抜てきしにくい、日本以外の国ではジョブ型人事が一般的なため社内に人材をリテインすることが困難という3つの危機感が日本企業から提示されていると述べています。賃金構造基本統計調査でも部長級627.2千円・課長級512.0千円・係長級385.9千円・非役職者302.8千円という階段が確認でき、この階段に乗らない役割は賃金欄が書けません。第二に、専門職の置き方には複数の形があるという点です。指針の事例では、ソニーグループがIndividual Contributor等級と組織を統轄する等級の2種類を置き、オムロンが4つのキャリアパスを行き来できる形にしています。一方で三菱マテリアルは組織長と専門職を同一等級で処遇し、資生堂は2020年からスペシャリスト管理職の職制を追加して部下がいなくとも管理職等級に位置付けています。共通するのは、部下の人数ではなく役割・責任の大きさで格付けるという原則です。第三に、小さく始められるという点です。等級表を作り替えずに、領域を限定してスキル・専門性の高さに応じた加算を載せる形もあります。職務記述書も完成を待つ必要はなく、共通の型を作ってから個別の職務内容を足し、実際に使いながら直していく順序が事例に見られます。対象ポジションを1つ決め、職責を1枚に書き、既存等級のどこに相当するかを決めるところから着手してください。
よくある質問
部下を持たないエンジニアを、社内の等級のどこに置けばよいですか。
部下の人数ではなく役割・責任の大きさで格付けるという原則で判断します。ジョブ型人事指針の事例では、三菱マテリアルが管理職層に部下を持たない社員も含め、役割・責任の大きさに応じて組織長同様の等級に格付けています。資生堂は2020年から「スペシャリスト管理職」の職制を追加し、一部の高い専門性が求められるポジションは部下がいなくとも管理職等級に位置付けることとしました。既存の等級表を大きく変えずに始めるなら、後者のように枠を追加する形が着手しやすいでしょう。
専門職のキャリアパスは、マネジメントと分けるべきですか。
どちらの形も指針の事例にあります。ソニーグループは専門性に基づく成果発揮が期待されるIndividual Contributor等級と組織を統轄する等級の2種類を置き、オムロンはチームマネジメント/プレーヤーA/プレーヤーB/スペシャリスト系の4つのキャリアパスに分け、社員が各パスを行き来できる仕組みにしています。一方で三菱マテリアルは、社員がマネージャーと専門職の役割を行き来する実態を踏まえ、2種類の等級制度にはしていません。分ける場合は、トラックが袋小路にならない設計が要ります。
等級制度を変える時間がありません。ほかに方法はありますか。
等級の枠を動かさず、領域を限定した加算で調整する形があります。富士通の「高度専門職系人材処遇制度」は、セキュリティ、データサイエンス等の領域を対象とし、各領域で特に高いスキルを持っている社員を認定した上で、等級に基づく基本給に加えて、当該領域のスキル・専門性の高さに応じて一定額を加算する仕組みです。等級表の全体を作り替えずに特定領域の水準だけを動かせる点が利点です。ただし賃金制度の変更にあたるため、就業規則との整合は専門家に確認してください。
職務記述書を全ポジション分そろえないと始められませんか。
そろえる必要はありません。富士通の事例では、まず市場でテンプレート化されているものに基づき650個のロール・プロファイル(職種と等級ごとの標準的な役割の定義)を策定し、職務記述書はそこに個々のジョブの職務内容を記述することで完成する形にしました。記載ぶりについては最初から完成度の高さは求めず、実際にポスティング等で使用する中でブラッシュアップしていく方針とされています。求人票を書くために整備の完了を待つ必要はありません。
制度を変えると、社員が辞めやすくなりませんか。
富士通の事例では、自律的なキャリア形成を促進する施策を実施すると組織に遠心力が働いて退職者が増えるのではないかという懸念もあったが、実際には退職率は変わっていないと記されています。むしろ転職を考えていた社員が社内でも色々な挑戦ができることを知り、社内での別の職務への挑戦を選ぶといったことも生じているとのことです。ただしこれは1社の事例であり、制度が退職率に与える影響を一般化するものではありません。
出典
- *1 参考:内閣官房・経済産業省・厚生労働省「ジョブ型人事指針」(令和6年8月28日)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/jobgatajinji.pdf)。指針の意義と従来の雇用制度への3つの危機感、20社について情報提供している5つの観点、および富士通・日立製作所・ソニーグループ・オムロン・三菱マテリアル・資生堂の等級制度・報酬制度・職務記述書・採用に関する記述の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概要 役職別にみた賃金」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/dl/08.pdf)。部長級・課長級・係長級・非役職者の所定内給与額および役職・非役職間賃金格差の確認として(2026年8月確認)
- *3 参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026」(2025年度調査)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf)。DX人材の評価基準の整備状況の確認として(2026年8月確認)