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2026.09.18 採用支援コラム

業界知識はどこで要る?上流の不足60.1%と実装44.9%




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 上流の不足は60.1%:業務分析を含む上流工程設計能力を「不足」とした企業は60.1%でした。*1
  • 実装の不足は17項目で最も低い:ウォーターフォール型の実装は44.9%で、上流とは15.2ポイント離れています。*1
  • 調査に業界知識という言葉は無い:読めるのは、業務分析を含む項目とそうでない項目の割合までです。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

外部エンジニアの募集要項を書いていて、自社の業界の経験を条件に入れるかどうかで手が止まった。あるいは、業界経験ありの人に来てもらったのに、結局は実装だけを頼むことになった——。社外から人を入れるとき、多くの現場が「業界知識はどこまで要るのか」に突き当たります。手がかりになるのが、JUASが毎年公表している「企業IT動向調査」です。IT組織の機能・能力を17項目に分けて、それぞれ充足しているか不足しているかを企業に聞いています。*1

項目ごとに見れば、業界知識が要る仕事とそうでない仕事を分けられます。ただし万能ではなく、調査は「業界知識」という言葉を使っていませんし、どの項目にどれだけ業界の知識が要るかも書かれていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、17項目で何が足りていないのか、上流工程と実装の違い、なぜ業界知識の話が上流に寄るのか、どう切り分けるのか、つまずきやすい点、そして外注の勘所を整理します。

青空を背に、ガラス面が階段状にせり出したビルの角を見上げた外観

17項目で何が足りていないのか

JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」は、東証上場企業とその子会社を対象に、2025年9月5日から10月24日にかけて実施されました。回収数は957社、有効回答率は21.3%です。*1 このうちIT組織の機能・能力の設問に答えたのは、項目ごとに946社から949社です。*1

IT組織の機能・能力17項目の充足状況(25年度)(出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)図表6-3-3。回答数は項目ごとに946社から949社。「データ活用・データマネジメント」と「上流工程設計能力(業務分析・システム要件定義)」は25年度に新しく加わった項目で、24年度は未調査。この表は資料に示された数値をもとに筆者が作成したものであり、資料の図表そのものを複製したものではない)
機能・能力 充足している 不足している IT部門の機能・能力ではない
ITを用いた新たなサービスやビジネスモデルの検討 10.9% 55.6% 33.5%
新技術の探索・評価 15.8% 69.5% 14.7%
ITの活用面での外部の企業との連携 21.3% 60.2% 18.5%
ITを用いた既存業務の改善 39.1% 53.1% 7.8%
データ活用・データマネジメント 13.9% 71.9% 14.1%
プロジェクト管理(計画、およびコスト・納期・品質の管理) 28.5% 59.1% 12.4%
上流工程設計能力(業務分析・システム要件定義) 25.8% 60.1% 14.1%
アプリケーション設計・開発(ウォーターフォール型) 29.6% 44.9% 25.5%
アプリケーション設計・開発(アジャイル型) 17.5% 56.4% 26.1%
ITアーキテクチャ標準化、IT基盤整備 24.4% 60.1% 15.5%
システム運用管理(安定化、運用状況管理) 49.2% 45.0% 5.8%
情報セキュリティ対応 34.9% 61.4% 3.7%
経営・事業部門との関係構築 34.5% 51.8% 13.7%
ITコスト低減に向けた企画・推進 32.6% 60.0% 7.4%
ベンダーマネジメント・関係構築 42.0% 49.8% 8.2%
IT人材の採用・育成 16.2% 73.9% 9.9%
組織内の風土醸成 17.1% 60.7% 22.3%

「充足している機能・能力」が高いのは、システム運用管理(安定化、運用状況管理)の49.2%、ベンダーマネジメント・関係構築の42.0%、ITを用いた既存業務の改善の39.1%でした。*1 反対に「不足している機能・能力」が高いのは、IT人材の採用・育成の73.9%、データ活用・データマネジメントの71.9%、新技術の探索・評価の69.5%です。*1

25年度に新しく加わった項目が2つあります。「データ活用・データマネジメント」と「上流工程設計能力(業務分析・システム要件定義)」で、24年度は未調査です。*1 この2つは前年と並べられません。

上流工程と実装の違い

委託する仕事を決めるうえで見たいのは、上流工程設計能力と実装の並びです。上流工程設計能力(業務分析・システム要件定義)は、充足が25.8%、不足が60.1%、IT部門の機能・能力ではないが14.1%でした。*1

一方、アプリケーション設計・開発(ウォーターフォール型)は、充足が29.6%、不足が44.9%、IT部門の機能・能力ではないが25.5%です。*1 この44.9%は、17項目のなかで不足の割合がいちばん低い値です。上流工程設計能力の60.1%とは15.2ポイント離れています。

もう一つの差は「IT部門の機能・能力ではない」の側にあります。実装の25.5%は、上流工程設計能力の14.1%を11.4ポイント上回りました。*1 実装は自部門の仕事ではないと答える企業のほうが多い、という読み方ができます。なお15.2ポイントと11.4ポイントは、示された割合から筆者が算出した値です。

なぜ業界知識の話が上流に寄るのか

調査は「業界知識」という言葉を使っていません。使っているのは「上流工程設計能力(業務分析・システム要件定義)」という項目名です。*1 業務分析は、自社の業務がどう回っているかを読み解く作業なので、業界知識が要るとすればここです。

実装の側にも知識は要りますが、中身が違います。渡された仕様どおりに作る作業で問われるのは、言語やフレームワークの経験です。その業界の商習慣や、業界ごとに定められた決まりを知らなくても進みます。

ここは資料が述べていることではなく、項目名から読める分け方です。業界知識が要るかどうかを一律に決められる根拠は、この調査にはありません。任せる仕事がどちら側かで変わる、というところまでです。

どう切り分けるのか

切り分けは、委託したい仕事を17項目のどれか1つに当てるところから始めます。複数にまたがって見えても、いちばん工数を割く作業で当てはめてください。

委託する仕事を17項目に当てて条件を書き分ける手順を、左から右へ4つの箱で示した図。1つ目は委託したい仕事をIT組織の機能・能力17項目のどれか1つに当てること、2つ目はそれが上流か実装かを見ること(上流工程設計能力は不足60.1%、ウォーターフォール型の実装は不足44.9%)、3つ目は上流なら業務の経験、実装なら言語とフレームワークというように条件を書き分けること、4つ目は外部の要員に任せたうえで、業務がどう回っているかを説明する役は社内に残すこと。数値はJUAS「企業IT動向調査2026」図表6-3-3による。25年度で、回答は項目ごとに946社から949社。

上流工程設計能力に当たるなら、業界の経験を条件に入れる意味があります。不足と答えた企業が60.1%ある項目なので、社内に余力が無いことも多いはずです。*1 ただし、その業界の経験があれば自社の業務が分かる、とまでは言えません。

アプリケーション設計・開発に当たるなら、条件は言語とフレームワークの経験から書けます。不足が44.9%と17項目でいちばん低い項目なので、社内に担い手が残っている可能性もあります。*1 先に社内を当たってから外部に委託する順番でも間に合います。

つまずきやすい難所

一つめは、この調査に業界知識の要否を求めることです。17項目の名前に業界知識は出てきません。読めるのは、業務分析を含む項目とそうでない項目の割合までです。

二つめは、24年度と並べることです。上流工程設計能力とデータ活用・データマネジメントは25年度に加わった項目で、24年度は未調査です。*1

三つめは、「IT部門の機能・能力ではない」を不足と同じに扱うことです。これは自部門の担当ではないという回答であって、社内に担い手がいないという意味ではありません。

外注時に確認しておきたい点

依頼を書くときは、17項目のどれなのかと、対象と期間を並べます。「受注管理の業務分析を3か月」「受注画面の実装を来月末まで」といった粒度で構いません。外部の要員(フリーランスを含む業務委託)は、対象と期間が決まっているほど合わせやすい調達の仕方になります。

業界の経験を条件に入れるなら、どの業務のどの部分かまで書いてください。小売の受注なのか、小売の在庫なのかで、当てはまる人が変わります。業界名だけを条件にすると、候補は減るのに見極めの精度は上がりません。

一方、その業務がどう回っているかを説明する役は社内に残してください。ここを社外に委ねると、渡した仕様が自社の実態と合っているかを確かめる人がいなくなります。正社員の採用と外部の要員のどちらを選ぶかも、この役が社内にいるかどうかで変わります。

採用要件そのものを絞る手順は採用要件を決める手順と企業の49.9%が社内育成に悩む職種にあります。

工程のどこを外部に委託しているかはシステム開発の外部委託|設計・実装・テストで63.4%で扱っています。

品質が崩れた要因の切り分けはシステム開発の品質はなぜ崩れる?ベンダーのスキル不足が過半数で整理しました。

誰が何をできるかを社内で把握する話はスキルマップの整備の違い、未対応42.8%と整備済み33.7%にあります。

まとめ:業界知識で押さえる3つの視点

業界知識が要るかどうかは、任せる仕事によって変わります。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、業務分析を含む「上流工程設計能力」は「不足している機能・能力」と答えた企業が60.1%で、「充足している」は25.8%にとどまること。*1 第二に、「アプリケーション設計・開発(ウォーターフォール型)」は不足が44.9%と17項目でいちばん低く、上流とは15.2ポイント離れていること。*1 第三に、調査は「業界知識」という言葉を使っておらず、要否を一律に決める根拠はここには無いことです。この3点を踏まえておけば、「業界経験ありの人に来てもらったのに、結局は実装だけを頼むことになった」という事態を避けやすくなります。委託したい仕事を17項目のどれか1つに当て、対象と期間を書き出すところまでは社内でできます。その先、業務分析まで担える人が社内にいなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

委託する仕事が17項目のどれか決まったあとは、担い手を探す段階です。受注管理の業務分析を3か月、受注画面の実装を来月末まで——このくらいまで書けていれば、求める経験の条件も決まります。業務分析から任せるのか、渡した仕様どおりに作ってもらうのかで、声をかける相手が変わるためです。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材ニーズの発生から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で稼働まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

外部エンジニアに業界知識は必要ですか

任せる仕事によって変わります。JUAS「企業IT動向調査2026」は「業界知識」という言葉を使っておらず、要否を一律に決める根拠はありません。読めるのは、業務分析を含む上流工程設計能力を「不足」とした企業が60.1%、ウォーターフォール型の実装が44.9%だということまでです。*1 確認日は2026年9月18日です。

社内でいちばん足りていない機能は何ですか

IT人材の採用・育成の73.9%、データ活用・データマネジメントの71.9%、新技術の探索・評価の69.5%の順でした。*1 回答は項目ごとに946社から949社です。*1 確認日は2026年9月18日です。

実装は社内で足りているのですか

ウォーターフォール型の実装を「不足」とした企業は44.9%で、17項目のうちいちばん低い値でした。*1 ただし「IT部門の機能・能力ではない」と答えた企業も25.5%あります。*1 確認日は2026年9月18日です。

前の年度と比べられますか

上流工程設計能力とデータ活用・データマネジメントは25年度に新しく加わった項目で、24年度は未調査です。*1 この2つは前年と並べられません。確認日は2026年9月18日です。

「IT部門の機能・能力ではない」はどう読みますか

自部門の担当ではないという回答であって、社内に担い手がいないという意味ではありません。上流工程設計能力で14.1%、ウォーターフォール型の実装で25.5%でした。*1 確認日は2026年9月18日です。

委託する仕事が決まったら相談

「受注管理の業務分析を3か月」といった形で対象と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ17項目のどれに当たるか決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、業務分析から任せる要員も、渡した仕様どおりに実装する要員も、対象と期間を決めたうえでお探しいただけます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)報告書(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会発行。調査期間2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とその子会社、25年度の回収数957社・有効回答率21.3%、図表6-3-3(IT組織の機能・能力の充足状況)の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに図と表を筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
  2. *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が毎年実施され報告書が公開されていることの確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:JUAS 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行元の確認として(2026年9月確認)




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