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レガシー対応の情報共有|三者連携28.4%と共有なし16.4%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 三者連携は28.4%:109件です*2。
- 定期共有なしは16.4%:63件です*2。
- 全工程委託では38.6%:83件のうち32件です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
触れていた人が抜けたあと、まず誰に聞けばいいかが決まらない。よくある詰まり方です。
仕様を知っている人と、業務の要件を知っている人が別々にいます。両方に届いていないこともあります。
手がかりは、レガシー対応に関する関係者間のコミュニケーションを企業に聞いた設問です。
IPAの調査データを集計すると、経営者・情報システム部門・業務部門の三者で情報共有している企業は109件、28.4%でした*2。
「関連部門間での定期的なコミュニケーションは取られていない」は63件、16.4%です*2。
目次
誰に聞けばいいかが決まらない
引き継ぐ相手のシステムについて、質問を持って行く先が分かりません。仕様は情報システム部門、業務の決めごとは業務部門にあります。
その2つがつながっていないと、聞くたびに話が戻ります。着手が遅れます。
この状況を集計した資料があります*1。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」です*1。
日付も示されています*1。2025年2月27日公開・最終更新日は2025年4月25日、調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施されました*1。
回答の件数も示されています*1。2025年4月7日時点で企業799件、個人74件の計873件でした*1。この記事は企業向けの799件だけを扱い、個人向けの74件は含めません*1。
データの扱いも書かれています*1。回答を匿名化してオープンデータとして公開し、分析レポートを募集しているとされています*1。
今回見るのはQ5-11とQ5-9です*3。関係者間のコミュニケーションと、その工程を誰が持っているかを扱います*3。
母数は384件、絞り込みは2段
数値の出どころを先に決めます*2。この記事の比率は、公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です*2。
母数を実測します*2。絞り込みは2段です*2。
1段目は企業種別です*3。ユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件の682件が対象で、ベンダー系117件は回答対象ではありません*2。
2段目はレガシーの保有です*3。保有している322件と、過去に保有していた62件を足した384件が母数になります*2。
思い浮かべる対象の指示もあります*3。前段のQ5-3で「経営上及びビジネス上最も重要と考えられるシステムを一つ思い浮かべて」と指示され、以降の設問も同様とされています*3。
形式も確かめます*3。どちらも必須の単一選択で、丸めた比率を足すと100.0になります*2。補数は使いません*2。
この記事で計算した値も分けて書きます*2。経営者や業務部門が入っている側の束ね方、2つの設問の掛け合わせ、差と倍率はこの記事で計算したものです*2。
同じ384件を母数にした設問はレガシーの仕様書を引き継ぐ手順、可視化は47.9%でも扱っています*2。母数が同じなので、別の設問に同じ件数や同じ比率が現れます*2。
三者そろっているのは28.4%
まず情報共有の形を見ます*2。上端は三者がそろっている形でした*2。
「経営者、情報システム部門(情報システム子会社を含む)、業務部門の三者で情報共有を行い、計画や仕様を三者で連携して決定している」が109件、28.4%です*2。
2番目は二者です*2。「主に経営者と情報システム部門(情報システム子会社を含む)で情報共有を行い推進している」が96件で25.0%になります*2。
3番目が共有のない側です*2。「関連部門間での定期的なコミュニケーションは取られていない」が63件で16.4%でした*2。
4番目は経営者が抜ける形です*2。「主に情報システム部門(情報システム子会社を含む)と業務部門で情報共有を行っているが、経営者には共有されていない」が56件で14.6%です*2。
残りも並べます*2。「わからない」が31件8.1%、「主に経営者と業務部門で情報共有を行い推進している」が25件6.5%、「その他」が4件1.0%でした*2。
読み方はこうです*2。三者がそろっているのは28.4%で、7割強は誰かが抜けているか共有そのものがありません*2。
経営者が入らない側は31.0%
誰が入っているかで束ねます*2。この束ね方はこの記事の側で、資料が分類しているわけではありません*2。
経営者が入っている側は3つです*2。三者109件、経営者と情報システム部門96件、経営者と業務部門25件を足すと230件、59.9%になります*2。
経営者が入っていない側は2つです*2。経営者に共有されていない56件と、定期的なコミュニケーションがない63件を足すと119件、31.0%です*2。
業務部門の側も出します*2。三者109件、経営者と業務部門25件、情報システム部門と業務部門56件を足すと190件、49.5%でした*2。
合計も確かめます*2。230件と119件に31件と4件を足すと384件、比率でも100.0になります*2。
ただし資料からは、共有の頻度や中身は読めません*3。どの組み合わせで共有しているかを聞いた設問です*3。
工程を誰が持っているか
もう1つの設問を重ねます*3。同じ384件に、選んだシステムの内製化の状況を聞いています*3。
上端は上流を社内に置く形でした*2。「情報システム部門においてITシステムの企画・要件定義を行い、設計・開発・運用においてはベンダーと協力しつつ、業務部門からの要求などは情報システム部門にて把握している」が130件、33.9%です*2。
2番目は全部を外に出す形です*2。「基本的に全工程においてベンダーからの提案を受け、その内容を確認後、ベンダーに対応を依頼している」が83件で21.6%になります*2。
3番目は全部を社内に置く形です*2。「ITシステムの企画・要件定義、設計・開発・運用まですべて内製化している」が75件で19.5%でした*2。
残りも並べます*2。「情報システム部門において、ITシステムに関する企画を行い、その後の工程はベンダー主体で対応する形をとっている」が44件11.5%、「わからない」が43件11.2%、「その他」が9件2.3%です*2。
この設問には注記があります*3。ユーザー企業のシステムをユーザー系情報システム子会社が担当している場合、そのユーザー企業は内製化しているとみなすとされています*3。
全工程を任せている側で共有なしが38.6%
2つの設問を掛け合わせます*2。この掛け合わせはこの記事で数え直したもので、資料が示している表ではありません*2。
「定期的なコミュニケーションは取られていない」の割合を、内製化の状況ごとに出します*2。
上端は全部を外に出している側でした*2。全工程をベンダーに任せている83件のうち32件、38.6%です*2。
下端は上流を社内に置く側です*2。要件定義まで社内で行う130件のうち6件、4.6%でした*2。
差を計算します*2。38.6%から4.6%を引くと34.0ポイント、件数では32件を6件で割って約5.33倍です*2。
間も並べます*2。「わからない」43件では9件20.9%、すべて内製の75件では12件16.0%、企画のみ社内の44件では4件9.1%でした*2。
三者連携の側も同じように出します*2。要件定義まで社内の130件では60件46.2%が上端、企画のみ社内の44件では13件29.5%、すべて内製の75件では17件22.7%、全工程ベンダーの83件では11件13.3%、「わからない」43件では4件9.3%です*2。
こちらの差も出します*2。46.2%から13.3%を引くと32.9ポイントになります*2。
件数が小さい区分は出しません*2。「その他」の9件は比率にすると1件で大きく動くため、割合を書きません*2。
読み方はこうです*2。工程を全部外に出している側では、社内の関係者間で定期的に共有していない割合が上端になります*2。引き継ぎのときに聞ける相手が社内に残りにくい形です*2。
ただし資料からは、どちらが先かという因果は読めません*2。2つの設問を数え直した重なりであり、原因の向きは示されていません*2。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、共有の頻度や中身が読めません*3。どの組み合わせで共有しているかを聞いた設問です*3。
第二に、共有がない理由が読めません*3。選ばなかった側に理由を尋ねた設問はありません*3。
第三に、引き継ぎの成否との関係が読めません*3。成果を尋ねた設問ではありません*3。
第四に、因果の向きが読めません*2。掛け合わせはこの記事で数え直した重なりです*2。
第五に、産業別や規模別の内訳を出していません*2。384件全体の分布までです*2。
第六に、回答企業の偏りが残ります*1。任意の回答であり、母集団を代表する抽出ではありません*1。
第七に、時期の範囲があります*1。2025年4月7日時点の回答であり、それより後の傾向は読めません*1。
聞く相手を1つ決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 選択肢 | 件数 | 384件に対する比率 |
|---|---|---|
| 経営者、情報システム部門、業務部門の三者で情報共有し、計画や仕様を三者で連携して決定している | 109件 | 28.4% |
| 主に経営者と情報システム部門で情報共有を行い推進している | 96件 | 25.0% |
| 関連部門間での定期的なコミュニケーションは取られていない | 63件 | 16.4% |
| 主に情報システム部門と業務部門で情報共有を行っているが、経営者には共有されていない | 56件 | 14.6% |
| わからない | 31件 | 8.1% |
| 主に経営者と業務部門で情報共有を行い推進している | 25件 | 6.5% |
| その他 | 4件 | 1.0% |
1段目は、決めている人と使っている人を名前で書き出すことです。部門名ではなく、実際に答えられる人の名前にします。
2段目は、仕様を知っている人と業務の要件を知っている人を分けることです。同じ人であることは多くありません。
3段目は、どちらも社内にいない範囲を洗い出すことです。ベンダー側にしか残っていない部分がここに出ます。
4段目は、その範囲を期間で区切って読み解き、文書で受け取ることです。口頭の確認で終わらせません。
1段目を先に置く理由は、分布に出ています*2。三者がそろっているのは109件28.4%で、定期的なコミュニケーションがない側が63件16.4%あります*2。
2段目で分ける理由もここです*2。業務部門が入っている側は190件49.5%で、半分ほどです*2。仕様だけで進めると要件で戻ります*2。
3段目で洗い出す理由は掛け合わせに出ています*2。全工程をベンダーに任せている83件のうち32件38.6%は、社内の関係者間で定期的に共有していません*2。
4段目を期間で区切る理由は下端との差です*2。要件定義まで社内で行う130件では6件4.6%にとどまり、差は34.0ポイントです*2。上流が社内にあるかどうかで、聞ける相手の残り方が変わります*2。
実務では、3段目で洗い出した範囲と4段目の読み解きが外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。範囲と期間を区切って渡し、文書で受け取れるためです。
逆に、1段目の名前の書き出しと2段目の切り分けを外へ出すと、誰に聞くかの決めが外に出ます。ここは社内に置きます。
放置したままの影響はレガシー放置の影響とは、保守性77.3%と人材の欠乏44.8%で同じ調査の別の設問を扱っています。
移行で必要になる人材はレガシー移行に必要な人材の違い、設計43.8%と製造7.3%で整理しています。
稼働と契約期間の管理は人的リソースの管理|35.0%、システム資産は63.2%で扱っています。
最後に範囲を添えておきます*1。この調査は2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、企業799件の回答があったものです*1。
まとめ:答えられる人を名前で出してから、残りを期間で区切る
第一に、資料です。IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」は2025年2月27日公開・2025年4月25日最終更新で、2024年12月17日から2025年2月14日にかけて実施され、2025年4月7日時点で企業799件・個人74件の計873件の回答がありました。この記事は企業向けの799件だけを扱い、回答は匿名化されてオープンデータとして公開されています。第二に、母数です。絞り込みは2段で、1段目がユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件の682件、2段目がレガシーを保有している322件と過去に保有していた62件を足した384件です。ベンダー系117件は回答対象ではありません。どちらも必須の単一選択で、丸めた比率を足すと100.0になります。比率は公開されている調査結果のCSVから筆者が集計した値です。第三に、情報共有の形です。三者で情報共有し計画や仕様を連携して決定しているのが109件28.4%、主に経営者と情報システム部門が96件25.0%、定期的なコミュニケーションが取られていないのが63件16.4%、経営者に共有されていないのが56件14.6%、わからないが31件8.1%、主に経営者と業務部門が25件6.5%、その他が4件1.0%でした。第四に、束ねた値です。経営者が入っている側が230件59.9%、経営者が入っていない側が119件31.0%、業務部門が入っている側が190件49.5%で、いずれもこの記事の束ね方です。第五に、工程の持ち方です。要件定義まで社内で行うのが130件33.9%、全工程をベンダーに任せるのが83件21.6%、すべて内製が75件19.5%、企画のみ社内が44件11.5%、わからないが43件11.2%、その他が9件2.3%です。第六に、掛け合わせです。定期的なコミュニケーションが取られていない割合は、全工程をベンダーに任せている83件で32件38.6%が上端、要件定義まで社内の130件で6件4.6%が下端で、差は34.0ポイント・約5.33倍でした。三者連携の割合は要件定義まで社内で46.2%、全工程ベンダーで13.3%と、差は32.9ポイントです。
よくある質問
レガシー対応の情報共有はどのような形が多いのですか。
IPAの2024年度ソフトウェア動向調査の公開データを集計すると、母数384件に対して「経営者、情報システム部門、業務部門の三者で情報共有を行い、計画や仕様を三者で連携して決定している」が109件28.4%で上端でした。以下、主に経営者と情報システム部門が96件25.0%、定期的なコミュニケーションが取られていないのが63件16.4%、経営者に共有されていないのが56件14.6%と続きます(確認日2026年9月10日)。
経営者に共有されていない企業はどれくらいありますか。
経営者が入っていない側は119件31.0%でした。内訳は「主に情報システム部門と業務部門で情報共有を行っているが、経営者には共有されていない」56件14.6%と、「関連部門間での定期的なコミュニケーションは取られていない」63件16.4%です。この束ね方はこの記事の側で、資料の分類ではありません。
工程を外に出していると情報共有も薄いのですか。
分布としてはそうなります。全工程をベンダーに任せている83件のうち32件38.6%が「定期的なコミュニケーションは取られていない」でした。要件定義まで社内で行う130件では6件4.6%で、差は34.0ポイント、件数では約5.33倍です。ただしどちらが先かという因果は設問からは読めません。
三者がそろっているのはどういう企業ですか。
工程の持ち方で見ると、要件定義まで社内で行う130件では60件46.2%が三者連携でした。企画のみ社内の44件では13件29.5%、すべて内製の75件では17件22.7%、全工程をベンダーに任せている83件では11件13.3%で、差は32.9ポイントです。
この設問の母数はなぜ799件ではないのですか。
絞り込みが2段あるためです。1段目は企業種別で、ユーザー企業662件とユーザー系情報システム子会社20件の682件が対象、ベンダー系117件は回答対象ではありません。2段目はレガシーの保有で、保有している322件と過去に保有していた62件を足した384件がこの2問の母数です。
出典
- *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日・調査期間2024年12月17日から2025年2月14日・2025年4月7日時点で企業799件と個人74件の計873件の回答・匿名化してオープンデータとして公開し分析レポートを募集しているという方針の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。Q5-11とQ5-9の回答を集計した元データとして。この記事の件数・比率・束ね方・2つの設問の掛け合わせ・差と倍率はこのCSVから筆者が集計・計算した値であり、資料に印字された比率や資料が示す表ではない。示された値を用いた図表の作成という編集・加工を筆者が実施(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。Q5-11の設問文と7つの選択肢、Q5-9の設問文と6つの選択肢および内製化とみなす範囲の注記、どちらも必須の単一選択であること、回答対象がユーザー企業とユーザー系情報システム子会社の2種別であること、Q5-2のレガシーの定義とQ5-3の一つ思い浮かべるという指示の確認として(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ソフトウェア開発関連調査」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/index.html)。この調査が置かれている調査群の構成と、年度ごとに調査が公開されていることの確認として(2026年9月確認)