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高卒採用と大卒採用の違い|学校を通す仕組みを整理する
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 選考開始は9月16日:内定開始も同日以降とされています*1。
- 確認印のない求人票は推薦されない:先にハローワークを通します*2。
- 応募書類は統一用紙:様式外の使用は14事項の一つです*2*4。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
高卒採用を初めて検討する会社が最初につまずくのは、日程ではなく手順です。求人票を作れば学校に送れる、という進め方ができません。
新規高等学校等卒業者の採用は、文部科学省と厚生労働省の連名通知によって、求人の出し方から応募書類の様式、選考を始められる日まで全国共通の取り決めがあります*2。
令和9年3月に卒業する生徒については、企業による選考開始及び採用内定開始が9月16日と取りまとめられました*1。この日より前に選考はできません*2。
本記事では、大卒採用との違い、期日、求人票がハローワークを経由する理由、応募書類の様式、そして選考時に聞いてはいけない事項を整理します。
大卒採用と何が違うのか
いちばん大きい違いは、生徒とのあいだに学校が入ることです。
根拠は職業安定法です。令和8年2月25日付けの通知は、職業安定法(昭和22年法律第141号)第27条又は第33条の2の規定に基づき、新規高等学校等卒業者に係る求人申込みを受理する高等学校等に求人申込みを行う場合の手続きを定めています*2。学校が求人を受け付ける側に立つ構造です*2。
連絡経路も決まっています。通知は、高卒就職情報WEB提供サービスに関する生徒への指導事項として求人者への連絡は、高等学校等を通じて行うことを挙げています*2。企業から生徒へ直接というやり取りは想定されていません*2。
そのWEBサービスのIDにも取り扱いがあります。通知は生徒にのみ高卒WEBのID等を付与することとし、生徒は保護者の助言や理解を得るために保護者と一緒に閲覧できるが、保護者以外の第三者には教えてはならないとしています*2。
期日を決めているのも一社ではありません。全国高等学校長協会、主要経済団体(一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所及び全国中小企業団体中央会)、文部科学省及び厚生労働省による高等学校就職問題検討会議で取りまとめられています*1。
目的も通知に書かれています。就職希望者の適正かつ主体的な職業選択を確保するとともに、求人秩序の確立を図り、併せて適正な推薦・選考が行われるようという趣旨です*2。学業の時間を守る仕組みでもあります*2。
したがって、中途採用の感覚で「良い人がいたら早めに囲い込む」という発想は使えません。日程も様式も、先に決まっているものに合わせる採用です*2。
中途採用側の設計については中途採用の理由|情報通信業は拡大が7割で扱いました。前提が別物であることを押さえておくと混乱しません。
令和9年3月卒の期日
次に、動く順番です。
厚生労働省が取りまとめた令和9年3月新規高等学校卒業者の採用選考期日等は4段階です。ハローワークによる求人申込書の受付開始が6月1日、企業による学校への求人申込及び学校訪問開始が7月1日*1。
続いて学校から企業への生徒の応募書類提出開始が9月5日(沖縄県は8月30日)、企業による選考開始及び採用内定開始が9月16日です*1。
| 時期 | 起こること |
|---|---|
| 令和8年6月1日 | ハローワークにおける求人申込みの受理および確認のための求人票の受付開始 |
| 令和8年7月1日 | 学校における求人申込みの受理開始。ハローワークで受理した求人の学校への提示も同日から。企業による学校への求人申込みおよび学校訪問開始 |
| 令和8年9月5日 | 学校から企業への生徒の応募書類提出開始(沖縄県は8月30日)。推薦文書の到達がこの日以降となるようにする |
| 令和8年9月16日 | 企業による選考開始。採用内定の開始期日も選考の開始期日と同日以降 |
| 卒業後 | 就業(実習、研修等を含む)の開始。卒業後とするよう事業所を指導することとされている |
厚生労働省の報道発表および令和8年2月25日付け通知より作成*1*2。
採用内定の開始期日は、条文上も選考と切り離されていません。通知は採用内定の開始期日については、従前と同様、選考の開始期日と同日以降とすることとしています*2。9月16日より前に内定を出すこともできません*2。
就業開始にも線が引かれています。新規高等学校等卒業者については就業の開始期日については、卒業後とするよう事業所を指導することとされています*2。内定者に在学中の実習や研修を課す設計は、この趣旨と合いません*2。
逆算すると、企業側の実務は7月1日ではなく6月1日から始まります。求人票の内容がハローワークで確認されるまでに時間がかかるためです*2。
採用計画そのものの立て方は要員計画に必要な4つの数字と決める順番で扱っています。高卒枠は年1回しか入口が開かないため、前年度の計画に載せる必要があります*1。
確認印のない求人票では推薦されない
手続きの中心がここです。
通知は、求人申込みを行おうとする事業所は当該事業所を管轄する安定所に求人申込書を提出して、選考期日、求人内容等について適正であることの安定所の受理・確認(求人票への受理・確認印の押印)を受けた後、当該求人票により高等学校等に求人申込みを行わなければならないとしています*2。
守らなかった場合の扱いも明記されています。この手続によらない求人申込みのあった場合には、高等学校等は、生徒の推薦を行わず、安定所の受理・確認印の押印のある求人票の提出を求め、その提出後、推薦を行うものとすること*2。書類が戻ってくる形になります*2。
例外もあります。通知は括弧書きで民間職業紹介事業者を活用する場合は、この限りでないとしています*2。ただしその場合も、事業者に対して学校との連携や開始期日等の遵守、全国高等学校統一用紙の使用を徹底することとされています*2。
この確認が何を見ているかというと、選考期日と求人内容の適正性です*2。労働条件の書き方が実態と合っていなければ、そこで止まります*2。求人票の書き方は求人情報の的確な表示、企業に課される義務もあわせて確認してください。
学校訪問のタイミングにも決まりがあります。原則は安定所において確認を受けた求人票により学校に求人申込みを行った日以降ですが、学校の事前の了解の下に、安定所に求人申込みを行った日以降についても行うことができるとされています*2。
つまり、確認を待つあいだに動きたい場合は、学校の了解を先に取る形になります*2。無断で訪問する余地は残されていません*2。
ハローワーク側の日程も押さえておきます。新規高等学校等卒業者に係る求人申込みの受理および確認のための求人票の受付は6月1日から、学校における求人申込みの受理と学校への提示は7月1日から開始することとされています*2。
1か月の差は、確認作業のための期間です*2。7月1日に学校へ持ち込むつもりなら、6月のうちに申込書を出しておく段取りになります*2。
応募書類は統一用紙を使う
様式も自由ではありません。
通知は応募書類の取扱いについて、応募者の適性・能力に基づいた公正な採用選考が行われるよう、「職業相談票(乙)」又は「全国高等学校統一用紙」の使用の徹底を図るとしています*2。あわせて、選考と直接関係のない生徒の個人情報等に配慮することも求めています*2。
自社の応募用紙を使いたくなる場面はあります。ただ、様式外の応募書類の使用は、後述する14事項のうち本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用に触れる可能性があります*4。
作成方法については、企業側が選べる部分もあります。通知は、統一用紙のうち生徒本人が作成する履歴書の作成方法について求人者の意向を踏まえて、1手書き記入、2パソコン入力、3どちらでも可、のいずれかとするとしています*2。
ただし条件が付いています。応募書類の作成方法によって採用選考に有利不利が生じないよう、事業所への周知・指導を行うこと*2。手書きを指定した場合に、字の丁寧さを評価に持ち込むような運用は想定されていません*2。
配慮が必要な場合の扱いもあります。特別支援学校の卒業者については、履修している教育課程の内容や障害の状態等に応じ、様式通りに作成できない場合も想定されることから、職業相談票(乙)または統一用紙を参考としつつ応募書類を作成することも可能とされています*2。
裏を返せば、企業側が判断材料を増やしたければ、書類ではなく面接の設計で工夫することになります*4。何を聞けるかについては次章のとおりです*4。
なお、応募書類から人物像を読み取る作業そのものの限界についてはジョブ・カードのA評価は2種類あるでも触れています。様式が決まっている書類ほど、読み方の共有が要ります。
聞いてはいけない14事項
面接の設計に入る前に、ここを押さえます。
厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある具体的事項として14事項を挙げています*4。大きくは3つに分かれます*4。
1つ目が本人に責任のない事項の把握です。本籍・出生地に関すること、住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)、家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)、生活環境・家庭環境などに関することの4つです*4。
2つ目が本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握です。宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合や学生運動などの社会運動に関することの7つが挙げられています*4。
3つ目が採用選考の方法です。身元調査などの実施、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施、本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用の3つです*4。
把握の手段は問われません。エントリーシート・応募用紙に記載させる、面接時にたずねる、作文の題材とするなど、いずれの方法でも該当し得ます*4。
実態も公表されています。厚生労働省は、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち「家族に関すること」の質問が多くを占めていますとし、令和6年度にハローワークで把握した件数は854件としています*4。
理由の分析も添えられています。面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いようですので、注意しましょう*4。悪意のない雑談が該当しやすい、ということです*4。
法令上の裏づけもあります。求職者の個人情報を保護する観点から、職業安定法第5条の5及び指針(平成11年労働省告示第141号)により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などについては、原則として収集が認められません*3。
採用選考の基本として厚生労働省が挙げているのは、応募者に広く門戸を開くことと本人のもつ適性・能力に基づいた採用基準とすることの2点です*3。面接の質問リストは、この2点から逆算して作ることになります*3。
選考のあとに続く実務
9月16日で終わりではありません。
通知は、未内定者に対する職業指導を早期に実施するため、事業所に対し選考後は、採用内定取消しが生じないよう十分配慮しつつ、できる限り速やかに採否を決定し、選考を受けた生徒にその旨を通知するよう協力を求めることとしています*2。
結果を寝かせると、生徒の次の応募が遅れます*2。通常の中途採用より、返答の速さが制度的に求められる採用です*2。
内定取消しには別の仕組みがあります。通知は、採用内定取消しの防止等を図るため職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)等に基づく事前通知制度や事業所名公表制度、および青少年の雇用機会の確保等に関する指針(平成27年厚生労働省告示第406号)の一層の周知を求めています*2。
採用計画が固まらないまま内定を出すと、この制度に触れる場面が出てきます*2。求人の不受理の仕組みとあわせてはなぜ是正勧告2回で新卒求人が止まるのかで扱いました。
新しい義務も予告されています。通知は、労働施策総合推進法等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)の成立により、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に求職活動等に関するルールの明確化や相談体制の整備等の雇用管理上必要な措置が義務付けられる(令和8年10月1日施行予定)としています*2。
高卒採用の選考は9月16日から始まりますから、この義務の施行時期と重なります*1*2。窓口と手順を先に決めておくことになります*2。
地域差にも注意が要ります。応募・推薦方法の在り方は、都道府県教育委員会と都道府県労働局が共同で開催する都道府県高等学校就職問題検討会議で協議され、申合せや確認事項が公表される仕組みです*2。複数県で採用するなら、県ごとの申合せを確認します*2。
ここまで見ると、高卒採用は片手間で始めにくい採用だとわかります。前年度からの計画、6月からの手続き、9月の集中、そして地域ごとの確認が続きます*1*2。
採用担当が高卒枠の段取りに張り付く期間、通常の開発や運用は止まりません。その期間だけ業務の一部を業務委託で受け持たせるという分け方も、選択肢として持っておくと計画が動かしやすくなります。
まとめ:確認する3点
第一に、経路です。新規高等学校等卒業者の求人は、職業安定法第27条または第33条の2に基づいて高等学校等が受理します。企業は管轄のハローワークに求人申込書を提出し、選考期日や求人内容が適正であることの受理・確認(求人票への受理・確認印の押印)を受けたうえで、その求人票により学校へ申し込みます。押印のない求人票では学校は生徒の推薦を行わず、押印のある求人票の提出を求めることとされています。民間職業紹介事業者を活用する場合はこの限りではありませんが、その場合も開始期日や統一用紙の使用は徹底されます。第二に、期日です。令和9年3月卒については、ハローワークによる求人申込書の受付開始が6月1日、企業による学校への求人申込みおよび学校訪問開始が7月1日、学校から企業への応募書類提出開始が9月5日(沖縄県は8月30日)、企業による選考開始および採用内定開始が9月16日です。採用内定の開始期日は選考の開始期日と同日以降とされ、就業の開始は卒業後とするよう事業所を指導することとされています。第三に、選考の中身です。応募書類は「職業相談票(乙)」または「全国高等学校統一用紙」の使用が徹底され、履歴書の作成方法は求人者の意向を踏まえて手書き記入・パソコン入力・どちらでも可のいずれかとしたうえで、作成方法によって有利不利が生じないようにすることとされています。面接では、就職差別につながるおそれがある14事項を把握しないことが求められます。令和6年度にハローワークが把握した指摘は854件で、「家族に関すること」の質問が多くを占めています。
よくある質問
高卒採用の選考はいつから始められますか。
厚生労働省が取りまとめた令和9年3月新規高等学校卒業者の採用選考期日等では、企業による選考開始および採用内定開始は9月16日です。採用内定の開始期日は選考の開始期日と同日以降とされているため、9月16日より前に内定を出すこともできません。学校から企業への生徒の応募書類提出開始は9月5日(沖縄県は8月30日)です。
求人票を直接高校に送ってもよいですか。
令和8年2月25日付けの通知では、求人申込みを行おうとする事業所は、管轄のハローワークに求人申込書を提出し、選考期日や求人内容が適正であることの受理・確認(求人票への受理・確認印の押印)を受けた後、その求人票により高等学校等に求人申込みを行うこととされています。この手続によらない場合、学校は生徒の推薦を行わず、押印のある求人票の提出を求めることとされています。
応募書類に自社の様式を使えますか。
通知は「職業相談票(乙)」または「全国高等学校統一用紙」の使用の徹底を図ることとしています。また、本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用は、就職差別につながるおそれがある14事項の一つに挙げられています。履歴書の作成方法については、求人者の意向を踏まえて手書き記入・パソコン入力・どちらでも可のいずれかとし、作成方法によって採用選考に有利不利が生じないようにすることとされています。
面接で家族のことを聞くのは避けるべきですか。
家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)は、就職差別につながるおそれがある14事項に含まれています。厚生労働省は、応募者からの指摘のうち「家族に関すること」の質問が多くを占めるとしており、令和6年度にハローワークで把握した件数は854件でした。面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いと注意喚起されています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「令和9年3月新規高等学校等卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/press20260216_job_application_schedule_of_2025_highschool_graduates_00003.html)。令和9年3月新規高等学校卒業者の採用選考期日等(ハローワークによる求人申込書の受付開始6月1日、企業による学校への求人申込み及び学校訪問開始7月1日、学校から企業への生徒の応募書類提出開始9月5日・沖縄県は8月30日、企業による選考開始及び採用内定開始9月16日)と、高等学校就職問題検討会議の構成(全国高等学校長協会、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、文部科学省、厚生労働省)の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:文部科学省・厚生労働省「令和9年3月新規中学校・高等学校等卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等並びに文書募集開始時期等について(通知)」(令和8年2月25日付け)(https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001662285.pdf)。推薦・選考・採用内定の開始期日、職業安定法第27条・第33条の2に基づく学校の求人受理、ハローワークの受理・確認印と押印のない求人票では推薦を行わない取扱い、民間職業紹介事業者を活用する場合の例外、学校訪問の時期、高卒就職情報WEB提供サービスのID等の取扱い、就業の開始期日、応募書類(職業相談票(乙)・全国高等学校統一用紙)と履歴書の作成方法、選考結果の通知、採用内定取消しの事前通知制度・事業所名公表制度、求職者等セクシュアルハラスメント防止措置の施行予定、都道府県高等学校就職問題検討会議の一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「公正な採用選考の基本」(https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html)。公正な採用選考の基本(応募者に広く門戸を開くこと、本人のもつ適性・能力に基づいた採用基準とすること)と、職業安定法第5条の5及び指針(平成11年労働省告示第141号)により社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集が原則として認められない旨の一次情報として(2026年8月確認)
- *4 参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」(https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html)。就職差別につながるおそれがある14事項(本人に責任のない事項4項目、本来自由であるべき事項7項目、採用選考の方法3項目)と、令和6年度にハローワークで把握した854件のうち「家族に関すること」の質問が多くを占めるという実態の一次情報として(2026年8月確認)